介護記録を“話すだけ”で完結──NAGARA、6200万円を調達し音声AIサービスの全国展開へ

介護記録を“話すだけ”で完結──NAGARA、6200万円を調達し音声AIサービスの全国展開へ

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介護現場向けのAI記録支援サービス「ながらかいご」を提供する株式会社NAGARAは、Theta Times Ventures、エフベンチャーズ、STATION Ai Central Japan1号投資事業有限責任組合、タイミー 代表取締役 小川 嶺 氏、TRINITYPARTNERS 代表取締役 澤田 昌志 氏を引受先とするシードラウンドで、総額6200万円の資金調達を実施した。

NAGARAは、介護現場向けAI記録支援サービス「ながらかいご」を開発・提供するスタートアップである。このサービスは、介護士がケアや会話を行いながら音声入力のみで記録や報告書を自動生成するSaaS型アプリケーションで、業務効率化と現場負担の軽減を狙っている。現場経験をもとにユーザー課題を反映し、導入ハードルが低いことが特徴となる。設立後2か月で全国41施設にトライアルを展開し、リアルタイムのプロダクト改善を継続している。

代表取締役CEOは岡田一輝氏。岡田氏は高等専門学校卒業後、法人営業などに従事。介護業界を本気で変えるために、介護しながら事務作業を終わらせる音声特化AIサービス「ながらかいご」を開発し、2025年7月にNAGARAを創業した。

岡田氏は、「介護士と高齢者を救いたい——その一心で人生を賭けて起業しました。高専で技術を学ぶほど、技術の進歩と社会の間に横たわるデジタル格差に問題意識を抱き、祖父にWiiを贈ったときの笑顔が原点です。これからも現場とともに検証→実装→改善を高速に回し、ケアの時間を利用者さんへ取り戻し、『人と人のつながりを最大』にする介護社会を実現してまいります。」とコメントしている。(一部抜粋)

介護業界は2025年を迎え、団塊世代が後期高齢者に達することで介護需要が急増している。一方、生産年齢人口の減少で介護人材不足が顕在化し、2025年に約32万人の人材確保が必要とされている。この構造的課題への対応として、記録・事務作業のDX化やAI活用が強く推進されている。2024年の介護報酬改定では、生産性向上加算の新設によりICT・AIサービスの導入がさらに加速している。既存プレイヤーでは、マルチAI記録や音声入力型記録支援システムを扱う大手介護ICTベンダーとの競合もある。

NAGARAは「やりたいことに専念できる社会を実現する」をミッションとし、介護士が本来のケア業務に集中できる環境作りに取り組むスタートアップである。今回調達した資金は、介護現場向けのSaaS「ながらかいご」の開発体制や営業体制強化、実証実験の推進、さらに大学や自治体と連携した共同研究に活用される予定だ。

同社はAI記録支援サービスを軸に、短期間で実証と機能改善を重ねつつ現場連携を重視している。行政や大学との共同研究体制を構築しながら、介護職員の負担軽減と人材不足解決に資するサービス開発を継続すると意気込む。

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