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がん治療薬の最前線、リンクメッドが挑む診断と治療のシームレスな進化

放射性医薬品の開発を手がけるリンクメッド株式会社は、シリーズBラウンドのセカンドおよびサードクローズにおいて総額20.5億円の資金調達を実施した(第三者割当増資)。これにより、シリーズB全体での調達額は35.5億円、累計資金調達額は約47億円に達した。
今回のラウンドには、新規株主として慶應イノベーション・イニシアティブ、ロッテホールディングス、三井住友信託銀行、野村スパークス・インベストメント(日本グロースキャピタル投資法人)、三菱UFJライフサイエンスが参加。さらに、大阪・関西万博活性化投資事業有限責任組合、ちばぎんキャピタルといった既存株主も追加出資を行った。
同社は2022年7月設立のスタートアップで、放射性同位体「銅-64(64Cu)」を活用したがん治療薬・診断薬の研究開発を進めている。中でも、再発・難治性悪性神経膠腫を対象とした放射性治療薬「64Cu-ATSM(LM001)」の臨床開発に注力しており、2024年6月には第三相試験を開始した。
64Cuはがん細胞のDNAを高エネルギーで効果的に攻撃できる特性を持ち、がん特異的に結合するさまざまな分子と結合させることが可能であるため、高い治療効果が期待される一方、副作用の低減にも寄与する特性を持つとされている。
代表を務める吉井幸恵氏は、福井大学・高エネルギー医学研究センターでの勤務を経て、2011年に独立行政法人放射線医学総合研究所(現・量子科学技術研究開発機構、QST)分子イメージング研究センターに着任し、主任研究員、主幹研究員、上席研究員を歴任した。QSTでは10年以上にわたり、放射線を利用したがん治療薬の研究に従事し、診断と治療を同時に行える「見える」がん治療薬の開発を主導。2022年7月、QST認定ベンチャーとしてリンクメッドを創業し、代表取締役社長に就任した。
放射性医薬品分野では、診断と治療を融合させた「サーノスティクス(Theranostics)」の注目が高まっており、特に64Cuのような中長半減期の放射性同位体は次世代治療の鍵を握る技術として期待されている。リンクメッドは、こうした業界動向の中で、安定供給体制の構築と臨床導入の加速を進めることで、医療現場への貢献を目指すとしている。
今回の調達資金では、LM001の第三相試験の推進をはじめ、その他のパイプラインにおける臨床・研究開発、新規パイプラインの創出、建設中の64Cu製造工場の稼働準備、人材採用や組織体制の強化などを進める計画だ。
画像はリンクメッド HPより
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