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zeroboardで排出量算定、脱炭素へ取り組む企業の武器になる

GHG(温室効果ガス)排出量可視化サービスのゼロボードが、Dataseedが展開するESG情報収集・分析ソリューション事業の買収を明らかにした。
今回は、Dateseedの事業を受け継ぐ形で買収する事業譲渡契約。ゼロボードのESG分野におけるソリューション開発を強化する目的だ。Dataseedから社長を含む全役員と従業員がゼロボードに転籍する。
Dataseedの設立は2022年8月。新卒でソフトバンクに入社し、大企業とAI・IoT技術を利用した提携プロジェクトに携わったのち、リクルートで新規事業開発を推進した福田 匡史氏が代表を務める。サステナビリティ領域でシステム開発を手掛けるRecursiveからスピンオフする形で設立された。
事業買収の背景には、ゼロボードが23年8月に発表した「Zeroboard Sustainability Platform」構想がある。これまで同社は、GHG排出量の算定・可視化サービスを主軸に事業展開してきたが、代表の渡慶次氏は「ZeroboardはESGのE(環境)に対応するが、S(ソーシャル)とG(ガバナンス)を含めて管理したいという声を聞くことが増えた」と話す。
欧州ではサステナビリティ情報開示を義務付ける流れが強い。日本では近年CO2排出量可視化の取り組みが徐々に進んだが、欧州に倣ってESG情報を管理するニーズが高まっている状況だ。そこで既存のGHG排出量可視化に加え、プロダクトの幅を広げる方向に舵を切った。
ゼロボードはESG全般のソフトウェアについて、下記3つの類型があるとしている。
①グループ企業やバリューチェーンのデータ収集
②ESG情報の開示
③ESGデータの可視化/ダッシュボード
ゼロボードがこれまで対応していたのは、①におけるGHGデータの収集。GHGの領域で培ったノウハウをもとに、人的資本やその他の領域にまで展開する想定だ。Dataseedが取り組んでいるのは③の部分。②と③については構想がありつつもゼロボードのプロダクトとしてはリリースしていなかった。「事業買収により、ESGデータ開示・可視化プロダクトの一つを市場投下するまでの時間軸を早めることができた」(渡慶次氏)
ESGという大きな観点の中で、足元の課題として注目されてきたのが気候変動や脱炭素だ。国内では、東証プライム上場企業を対象にCO2排出量の開示を義務付ける方針など、排出量削減は他分野と比較して重点的に取り組まれてきた。国内におけるサステナビリティ情報の開示義務化にはまだ数年かかるという見方が強いものの、欧州のサステナビリティ開示規制の影響で、今後は日本企業にも対応が求められる。
ESG情報の可視化ダッシュボード「dataseed」は、ゼロボードが持つサービス群の一つとして今後提供される。データやUIの統合は徐々に進めていくという。
「契約がすんなりまとまったのはカルチャーフィットが大きい。我々には、両社の文化やプロダクトを共に発展させるための素地が備わっている」(渡慶次氏)
この5月には、東南アジアにおけるクリーンエネルギーの導入や普及に関する米国国際開発庁との提携を発表するなど、ゼロボードは海外展開も積極的に進めている。国際色豊かなDataseedメンバーのジョインによる組織力強化も事業買収の目的だという。
トップ画像はゼロボードプレスリリースより
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