(決算) Okta 4Q 2022決算、来期以降の費用増加が懸念

(決算) Okta 4Q 2022決算、来期以降の費用増加が懸念

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KEPPLE編集部

IDaaS(複数のSaaSのIDやパスワードをクラウド上で一元的に管理するソリューション)のOktaが3月2日に第四半期決算を発表した。売上63%増(Okta単体ベースで39%増)で市場予想売上を6%程度超過して好調な勢い。在宅勤務などによるセキュリティニーズの高まりやSaaSの一層の普及が後押ししていると考えられる。

同社は、2023年通期予想では売上37-38%増を見込んでおり、市場予想を2%程度上回った。FORTUNE BUSINESS INSIGHTS(※1)によると、世界のSaaS市場は2021年から2028年の間で27.5%の年平均成長率で拡大すると予想されており、当面は高い成長率が続くとみられる。同社も2026年度まで最低35%の年間売上成長率を目指す計画を掲げている。

しかし、採用、販路開拓、買収したサイバーセキュリティ会社Auth0への支援などにより、費用がかさむことで、市場が想定していたよりも今回の決算及び2023年通期予想の赤字額が大きく、決算翌日は8%程度株価が下落した。株式相場が弱い局面では、売上成長率の伸びよりも利益額の確保が重視されたと見られる。



日本では、マザーズ銘柄のHENNGEが類似企業。Oktaは日本でも事業展開をしているため、競合になっているが、Oktaは大企業向け、HENNGEは中企業向けと現状はすみ分けができている模様。



Oktaに比べて、HENNGEの株価売上高倍率(PSR)は割安であり、直近のマザーズ指数の暴落、Oktaと比べた時の売上成長率の弱さ、狙える市場の小ささ(Oktaはグローバルに対して、HENNGEは日本)などが要因と考えられる。日本は、SaaSの黎明期であるため、IDaaSの必要性を感じていない顧客もまだ多くいることがOktaと比べた時の売上成長率の弱さに繋がっているとみられる。HENNGEも日本におけるIDaaSの認知が課題と感じており、2021年9月期決算から販促活動を一層強化している。

売上総利益率を見ると、70-80%台と2社とも共通して高い。一般的にSaaSビジネスの粗利率は高くなる傾向があるが、2社はSaaS業界の中でもかなり高収益の部類に入ると思われる。販促活動の強化のため、営業利益はしばらく抑えられると思われるが、販促活動を減らした時にどれくらい利益率が上がるか注目である。

IDaaSの魅力の一つに、解約率の低さがある。HENNGEが公表している月次解約率は0.24%と日本のSaaS企業の中でもかなり低い部類に入る。解約が少ないということは、アップセル・クロスセルが容易になる。その中で、OktaがAuth0を買収して事業領域を広げたのは、自然の流れに見える。

注)
(1)
https://www.fortunebusinessinsights.com/software-as-a-service-saas-market-102222
(※2)
HENNGEの時価総額、売上、売上総利益は1ドル115円で計算。

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