超小型衛星を開発するアークエッジ・スペースは、シリーズBラウンドで総額80億円の資金調達を実施した。これにより、累計調達額は107億円となる。今回の調達には、インキュベイトファンドやJICベンチャー・グロース・インベストメンツ、WiLをはじめとする計15社が参加した。
同社は、超小型衛星の設計・製造から運用までを一貫して手がける。主力の6U衛星は、地球観測、通信、測位といった多様な用途に対応できる設計となっている。また、顧客の機器を衛星に搭載し、宇宙空間での実証を行うホステッドペイロードサービスや、静岡県牧之原市の地上局を活用した衛星運用サービスも提供する。2024年11月には、このバスシステムの基本設計・開発・量産試験を完了し、打ち上げ・軌道上実証の段階へと移行した。
2023年3月、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「経済安全保障重要技術育成プログラム」にも採択され、船舶向け衛星通信のための基本設計や重要技術開発を行ってきた。加えて2024年11月には、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の「商業衛星コンステレーション構築加速化」事業に採択され、商業衛星コンステレーションの構築に向けた準備を進めている。
代表取締役 CEO の福代 孝良氏は、東京大学大学院を修了後、JICA専門家としてブラジルに派遣され、環境・生態系保全のプロジェクトを担当した。その後、外務省や内閣府宇宙開発戦略推進事務局にて、宇宙利用や環境・気候変動に関する調査、研究開発を経て、2018年7月にスペースエッジラボ(現アークエッジ・スペース)を設立した。
近年、宇宙産業では民間企業の参入が活発化しており、超小型衛星を活用したコンステレーションによる地球観測や通信サービスの市場が拡大している。同社のような企業は、高度な技術力と柔軟な開発体制を活かし、宇宙利用の新たな可能性を広げている。
今回の資金調達により、商業衛星コンステレーションの構築を加速するとともに、光通信などの衛星基盤技術の開発、人材確保、大型の50kg級超小型衛星への対応など、量産体制のさらなる強化を進める計画である。
画像はアークエッジ・スペースプレスリリースより
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