27日、フィンテック分野で事業展開するJammが、A2A(口座間)決済サービス「デジタル現金払い!Jamm」のローンチを発表した。代表取締役CEOの橋爪 捷氏と、GMOイプシロンの元代表取締役社長の新井 悠介氏が説明した。
アプリのダウンロードは不要。IDや暗証番号の入力も不要で、顔認証のみで瞬時に銀行口座からの決済を実現する。「クレジットカードの申請が面倒」、「限度額が低くて使えない」などの理由から、クレジットカードを持たない / 持ちたがらない若年層を中心に利用を促す考えだ。
初回利用時は個人情報と銀行口座を登録する。決済時にはJammでの支払いを選択し、利用する携帯端末の認証機能で承認することで即座に銀行口座から引き落とされる。
一度に自身の口座情報を登録すれば、別の加盟店での支払いであってもその都度口座情報を入力する必要がない。加盟店は、サービスの導入で305の金融口座から代金を受け取ることができる。
サービス提供の背景には、クレジットカードの不正利用や若年層の多重債務問題、EC事業者の決済手数料負担の増加などがある。日本におけるクレジットカードの決済手数料は約3.2%と言われるが、Jammのサービス手数料は1.8%だ(2026年以降は2.5%を予定している)。
また、決済時にポイントが貯まるクレジットカードとは違い、支払金額の1%が値引きされる。100円の決済時には1円が値引きされ、実際に引き落とされるのは99円といった具合だ。
支払いと同時に銀行口座から引き落としされるデビットカードは、クレジットカードと比較して立替払いの回収や未払いに対するコストが発生しない。さらにJammのA2A決済ではパスキー認証(生体認証など)を採用することで、端末の紛失や盗難などによる不正な決済を防いでいる。こうしたコスト構造の圧縮が決済時の値引きにつながっているという。
Jammはマッキンゼーで経験を積み、不動産スタートアップのestieで新規事業立ち上げに携わった橋爪 捷氏が2023年3月に創業した。創業時から、決済プラットフォームを開発していること以外は詳しく明かされてこなかったが、今回対外的にお披露目した形だ。今回のサービス発表をきっかけに、今後もいくつかのリリースが控えているという。