株式会社Tancee

特定技能ビザを持つ外国人材の採用支援プラットフォームを開発・運営する株式会社Tanceeは、インキュベイトファンドを引受先としたシードラウンドで総額4500万円の資金調達を完了した。
Tanceeは2025年7月に設立されたスタートアップで、人材マッチングと義務的支援(後述:外国人材採用後の定着支援)の両方をデジタル化する二層構造のプロダクトを開発する。対象とするのは介護、建設、外食、農業、工場など、人手不足が深刻化しているブルーカラー領域の雇用現場だ。
代表取締役の西雅也氏は新卒でリクルートに入社し、SUUMO、ホットペッパーグルメなどの事業に携わった経歴を持つ。HR事業も兼務した経験から、外食領域等の人手不足の深刻さを実感し、解決策として外国人材の採用に着目。ベトナムやインドネシアなどアジア各国を自ら訪問し、現地で日本での就労を希望する人と対話した経験が起業の契機となったという。
「インドネシアで出会った方が、『私の村には介護を必要とする人がいる。日本で介護を学び、お金を貯めて村を支えたい』と話してくれた。単純に労働力として外国人材受け入れを捉えていた視点の転換があった」と、西氏は振り返る。
日本の労働力不足は構造的な課題として拡大を続けている。リクルートワークス研究所によると、2040年には1100万人の労働力が不足すると予測されており、特に介護、外食産業、農業といったエッセンシャルワーカー領域での不足が顕著だ。政府は2019年に創設した特定技能制度を通じた外国人材の受け入れを拡大しており、2024年には今後5年間の受け入れ見込み人数を82万人と設定している。矢野経済研究所によると、2023年度の外国人採用・管理支援サービス市場(特定技能支援、技能実習生監理、外国人材紹介の3分野合計)は前年度比34.8%増の約2467億円に達しており、市場は拡大基調にある。

一方で、同社によると、特定技能領域の市場構造は、依然として高度に断片化されている。一般の人材市場ではリクルートなど大手が市場をけん引する一方、外国人材領域では支配的なプレイヤーが不在で、関連事業者は約1万社に上るという。これにより、求人情報や候補者情報が分散して可視化されにくくなっており、多数のエージェントが絡む採用プロセスはアナログかつ属人的な運用が中心となっている。
加えて、受け入れ後の企業による負担も大きい現状がある。特定技能ビザを持つ外国人を採用した企業は、就職者に「義務的支援」を提供することを制度上義務付けられているが、アウトソーシングせざるを得ない状況・コストが採用の障壁となっている。
このような状況の解決を狙うのがTanceeだ。
まず、求人企業・外国人求職者・人材エージェントの三者が参加できる採用プラットフォームを開発する。企業は求人情報を掲載することができ、求職者やエージェントはプラットフォームで求人にアクセスすることができる。収益モデルは月額固定+成果報酬としており、マッチング成立時に受け入れ企業から報酬を得る形態だ。国内外の人材エージェントを巻き込むことで、分散した求人・候補者情報を集約し、企業が多様な候補者へ直接・効率的にアプローチできる仕組みを構築する。
そして、これまでアウトソーシングしがちだった義務的支援をデジタル化することで、人材受け入れ企業による内製化を支援する。

現在、外国人材採用支援領域には、永住権保有者など就労制限のない外国人向けプラットフォームを展開するプレイヤーは存在するものの、特定技能に絞ったプラットフォームは少ないと西氏はみている。
今回の調達について、「やるからには、このマーケットをいい形にしていくポジションを取りたい。そのための資金とスピードを早めたいというのが調達の狙い。将来的にはマーケットの10%以上を自社のマッチングプラットフォームでとっていきたい」と同氏は語る。調達資金は採用強化とプラットフォーム開発に充当する計画だ。










