ChatGPTの個別最適化を実現、独自の巨大言語モデルでAI活用の道しるべに

ChatGPTの個別最適化を実現、独自の巨大言語モデルでAI活用の道しるべに

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KEPPLE編集部


巨大言語モデルソフトウェア開発を行うSpiral.AI株式会社がプレシードラウンドにて、第三者割当増資による1.5億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回の資金調達によりソフトウェアの開発やエンジニア採用を進め、巨大言語モデルを活用した新規事業を手掛けていく。

個別にカスタマイズ可能なAIサービス開発を可能に

同社が開発する「Spiral.Bot」は、自社向けにカスタマイズした対話型AIを作れる高機能AI言語モデルプラットフォームだ。自社サービスにChatGPTを組み込んで提供したい企業向けに、ChatGPTを自社に最適化した口調や回答をするように設定を行うことが可能となる。

サービスイメージ
また同社では、独自の巨大言語モデル(LLM)である「Spiral.LLM」の提供も行う。リアルタイムな情報を持たず、情報を海外サーバーに送信する必要があるChatGPTと異なり、ローカルデータやリアルタイム情報を学習させることで、企業向けにカスタムされた言語モデルを提供する。特定分野に特化して専門的に学習させることで、高精度で安価なモデルの提供が可能となる。

※巨大言語モデル(LLM)大量のデータによりトレーニングされた機械学習モデル。

Spiral.Botは2023年6月よりクローズドベータを開始。今後は自社で開発する独自の言語モデルを活用したビジネス開発を行う。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 佐々木 雄一氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

AI活用の制約から解放する

―― これまで、企業による巨大言語モデル活用にはどのような課題がありましたか?

佐々木氏:LLMを活用したビジネスや概念自体は以前から存在しましたが、ChatGPTの発表により、急激に世界の注目が高まりました。かなり衝撃的な技術の進歩で、文章作成やプログラミングなど、あらゆる点でとても賢いアウトプットを出します。現時点で人間の能力を超え始めているのは驚くべきことですが、この進化は今後もさらに続いていくであろうことが実験で証明されています。人間よりもさらに賢いAIにより世の中が徐々に変わっていく中で、LLMを使いこなしていくことが重要です。

ChatGPTは多くの人が使っていますが、モデルの学習に利用しているデータは2021年頃までのものになるため、最新の情報をアウトプットすることには向きません。またアウトプットの口調も真面目な人格であったり、新たにデータを学習させることもできません。つまりChatGPTを組み込んだサービス上で誤った回答が生成された場合、正確な回答をするための改善難易度が高いです。そのため自社サービスにChatGPTを搭載する際に、独自の作りこみを簡単にする仕組みが求められています。Spiral.Botではデータの自動学習や回答内容の修正など、個別に最適化したサービス開発を柔軟に行うことができます。

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―― 創業のきっかけを教えてください。

幼い頃から、私が存在することで世界の技術を10年加速させることに貢献したいと考えていました。AIに関しては常に興味を持っており、物理全般、例えばブラックホールに関する研究に取り組んでいたこともあり、いつか技術系の会社を起業することは決めていました。画像解析のAIベンチャーであるニューラルポケットにCTOとして入社をし、創業から2年半でのIPOに携わりました。ニューラルポケット代表の重松さんが37歳で起業しており、私も37歳で独立しようと決めていた中で、言語モデルの盛り上がりを感じてこの分野で起業をしました。まさに世界の技術が10年加速するような予感がしています。

研究開発を通じて技術を10年先へ

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

LLMの分野は本当に各社の動きも早く、ミニマムにスタートするよりも大きな金額を調達しつつ、採用の強化や、モデル学習に利用するGPUなどの計算資源を確保する必要があると考えているため、今回の資金調達に至りました。Spiral.Botのクローズドベータも開始してユーザーも獲得し始めています。続けて今年の夏ごろにはシードラウンドの資金調達を予定しており、ご興味いただける投資家の方々と接点を持っていきたいと思います。

現在15名ほどの組織ですが、今年中に20名以上、来年には40名規模にまで拡大予定です。多くの人を積極採用するというよりは、なるべく少数精鋭で、必要に応じて優秀な人材を獲得したいと考えています。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

これから1年は、Spiral.BotやSpiral.LLMなど、LLMを利用した当社の基礎技術をしっかりと磨きこみ、日本国内のスタートアップやLLMを導入する企業向けの支援を通じて、当社の存在感を高めていきます。その後は技術を応用して、研究開発を加速するような新規事業を手がけていきます。LLMを活用することで、あらゆるシミュレーション結果の出力を行い、自分が本来知りえなかった情報や知識に対するアクセスが容易になります。高度な知識を扱う研究開発分野に応用することで、技術の進歩が進んでいくはずです。

LLMを活用した新規事業を立ち上げながら、5年後にはIPOを目指しています。これから先、電卓を使うように巨大言語モデルを活用するような状況は必ず到来すると思います。プログラマーなどの働き方も大きく変わるはずです。巨大言語モデルが起こす変化を過小評価せず、この潮流を捉えて、言語モデルを味方にして使いこなしていく必要があります。IPOで得たキャッシュをもとにCVCのような事業投資の部門を設立し、M&Aで買収した企業を言語モデルによって最適化していくようなビジネスをイメージしています。LLMを活用した事業開発を仕組み化しながら、巨大言語モデルという技術の根幹を持つ、日本を代表するコングロマリット企業となることを目指します。

Spiral.AI株式会社

Spiral.AI株式会社は、LLM利活用プラットフォーム『Spiral.Bot』や、LLMを活用した事業開発『Spiral.X』などを運営する企業。 LLMとは、大規模言語モデルのことで、大量のテキストデータを使ってトレーニングされた自然言語処理のモデルのこと。 同社では、LLMを活用したプラットフォームや、新規事業開発を行う。

代表者名佐々木雄一
設立日2023年3月1日
住所東京都文京区本郷4丁目16番6号
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