起業家の広報戦略における課題を解決へ導く!スペシャリストによる公開メンタリング

起業家の広報戦略における課題を解決へ導く!スペシャリストによる公開メンタリング

written by

KEPPLE編集部


8月3日、株式会社ココナラスキルパートナーズ主催の「起業家が抑えておくべき広報戦略の構築と実行」がオンラインにて開催された。

本イベントは、各分野のスペシャリストがスタートアップの成長を支援するベンチャーキャピタルであるココナラスキルパートナーズが、メンタリングの一端を公開するという新しい試みとなる。第一回目のテーマは「広報戦略」。

スタートアップにとって大きな課題となるのが、自社のサービスやプロダクトの認知促進。しかしながら、大きな広告予算を割いてプロモーションを打つことは難しいのが実情である。そのような中で、多くの潜在顧客にリーチができ、客観的な評価も獲得できるメディア露出は、事業の成否を分けることもある。つまり、広報戦略は起業家が取り組むべき大きなアジェンダの一つであるという。

ところが、スタートアップにおける広報のノウハウは、これまであまり共有されてこなかった。本ウェビナーでは、広報のスペシャリストである斉木愛子氏と、ココナラスキルパートナーズ投資先であるfixU代表の山岡源氏を迎え、具体的な広報戦略の課題に対するメンタリングが公開された。また、ココナラ代表の南章行氏も登壇し、自身の経験談も交えながら様々な事例が紹介されるなど、広報戦略において課題を抱える起業家や広報担当にとって学びの多い機会となったようだ。本レポートではその内容の一部を紹介していく。

ココナラスキルパートナーズの紹介とイベント開催の背景

まず、イベントの冒頭に主催者であるココナラスキルパートナーズの紹介が行われた。株式会社ココナラの代表取締役会長でもある南氏は、今年の二月にココナラ全額出資の子会社である「株式会社ココナラスキルパートナーズ」を立ち上げた。「質・量共に日本で最も投資先の経営をサポートするVCになりたい」というコンセプトを掲げ、ココナラスキルパートナーズの設立に至ったという。

同社は、創業から上場までを経験した経営者がフロントに立って推進する稀有なベンチャーキャピタルとして、「スキルパートナー」と呼ぶ各領域のエキスパートが、投資先に無償で経営支援していくことを特長としている。少しでも多くの会社をサポートしたいという想いから、あえてリード投資ではなくフォロー投資を行い、他のベンチャーキャピタルと共に業界全体を盛り上げていくことを目指している。


既に15社ほど投資を実行し、サポートも随時始めている中で、実は一番多く手掛けるのはPRの領域だ。意外と起業家自身、PRについて理解していなかったり、一定理解していても苦労してる企業が多いという。初期のスタートアップにとってPRについて理解を深めることはとても価値があるという。さらに、より具体的な思考を刺激した方が役立つという考えのもと、よくあるセミナー形式ではなくこのたびの公開メンタリングという形となった。

公開メンタリング

今回メンターとして登壇したのは、スキルパートナーの一人で、株式会社パレスサイドコンサルティング代表取締役CEOの斉木愛子氏。数々のスタートアップ広報をサポートし、成果をもたらしてきた広報戦略のプロフェッショナル。一方のメンティーは、ココナラスキルパートナーズの出資先である、株式会社fixU 代表取締役の山岡源氏。fixUは、無人化・省人化に特化した実店舗の運営を全面的にバックアップするサブスク型サービスを展開し、導入企業数拡大を続ける2021年設立のスタートアップ。創業から営業や開発に力を入れてきたため、広報活動については後手に回っていたという。そんなfixUの広報活動に、斉木氏から数々の的確なアドバイスが入る。


①メディア向けのプレゼンや資料作りのポイント

冒頭の山岡氏からの会社紹介では、スタートアップでありがちな膨大なピッチ資料から部分的にかいつまんで話すのではなく、与えられた時間内で簡潔に収まるプレゼン資料がきちんと用意されていた点が評価された。経営陣の略歴や写真掲載、視覚的にどのような会社なのかを押さえるのも重要だという。

ブラッシュアップのポイントとしては、市場規模や導入先企業、導入後の成果など対外的に出せる情報を加え、ファクトブックのようなかたちに仕上げることがアドバイスされた。さらに、業界の課題や競合と比較した際の自社の強みを盛り込むことにより、取材者への訴求力が強まるという。

また、なぜ今このサービスが必要なのか?という世の中の情勢や背景などを語れるとメディア露出につながりやすいそう。fixUの例であれば「コロナ禍でオフィスや店舗の縮小に伴って、無人化オペレーションへの問い合わせが急増している」といった事象などである。一度作成した資料は導入先の企業の増加など、大きな数字のアップデートがあれば更新していくことが推奨された。

➁広報における目的とゴールの設定

fixUが抱える広報の課題としては、新サービスの導入など差し迫った場面で都度プレスリリースを配信しており、戦略を持って計画的にアクションできていないことが挙げられた。斉木氏によると多くのスタートアップが同様の状況に陥っているという。

まず必要なのは、広報戦略における目的とゴールの設定。短期的、中長期的にどういう状態を目指すのか。その目指すべき姿と現在のギャップは何なのか、そこを埋めるためにどのような戦術を立てていくべきか。リソースが限られているスタートアップでは、経営トップがそういった戦略を考えていくことが非常に重要である。さらに余裕があれば、効果測定やPDCAの回し方について期間を分けて、きちんとロードマップを引くことが指摘された。

その中で、同じような事業規模の競合や異なる領域で似たような事業をやっている企業などが、どのような媒体に露出しているか、SNSの活用方法やどんな温度で発信してるかなどをベンチマークとすることがおすすめだという。

事業面においては徐々に認知拡大を実感しているという山岡氏だが、一方で採用面においては企業認知の低さが課題となっている。採用広報の観点でもやはり大事になってくるのは情報の整理や、採用計画・スケジュールの立案。そして「どのようなキャリア、スキルセットの人にどのような部分に共感して入ってきてほしいのか」というペルソナの設定がポイントとなる。候補者に提供できる自社の魅力は何なのか、採用面での自社の強み・弱みを把握し戦術を考え、採用向けの会社説明資料もきちんと整える。また、こちらも定期的に更新していくことが重要となる。

④自社のビジネスにおいてターゲットとなる媒体・チャネルとは

戦略PRの観点では、アプローチする広報チャネルを複数持っておくことの重要性が語られた。また、媒体特性を理解し、自分たちはどの媒体でどのように取り上げられたいか。BtoB企業の場合は、ターゲットがマスではないため、効果的な媒体・チャネルを絞ってリソースを投下していくのが大事になってくるという。

⑤対外的に出せる数値は積極的に活用を

「事業面で近々達成しそうな大台の数値など定期的に出すことも効果的」と斉木氏。きちんと対外的に事業進捗が見えるということと、重要なリリースの合間にも定期的に情報が発信されていくことがポイントとなる。また、開示できる数字があるとメディアにも取り上げられやすい。その際に可能であれば導入先企業一覧や導入先の成果、直近の増加割合、今その業界自体が注目されている理由など見せられるとより記事化にもつながりやすいという。

⑥メディアリストの重要性

取材された記者の方の情報は、メディアリストとしてしっかり管理することも重要。リリース情報は自動配信よりも、個別にアプローチしたほうが確実に見てもらえる。直接コミュニケーションを取れるつながりを徐々に増やしていくことが、コンスタントなメディア露出につながっていく。地道なリレーション作りで着実に実績を積み上げてきた斉木氏の言葉には説得力がある。


限られた時間の中ではあったが、今回の公開メンタリングを終えて、fixU山岡氏には多くの学びや発見があったようだ。ココナラスキルパートナーズとしては、これからも広報に限らず様々な領域で支援を広げていくと南氏は語る。早速次のイベントはエンジニア採用のためのピッチ大会を予定しているという。今後も同社の取り組みにはさらに注目が集まりそうだ。


<イベント概要>
イベント名 :起業家が抑えておくべき広報戦略の構築と実行
       【ココナラスキルパートナーズ公開メンタリングvol.1】
開催日時  :2022年8月3日(火)16:00~17:30
開催方法  :Zoomによるオンライン開催(Peatixにて事前申し込み)
参加人数  :約90名

ココナラスキルパートナーズについて https://skillpartners.coconala.co.jp
シード/アーリーステージの起業家と、志を支援したいスキルパートナーとの出会いを生み出すマッチングプラットフォーム型のベンチャーキャピタル。スキルマーケット「ココナラ」のサービスと同様、ココナラのミッションである「個人の知識・スキル・経験を可視化し、必要とする全ての人に結びつけ、個人をエンパワーメントするプラットフォームを提供する」を実現していく。



斉木愛子氏 プロフィール
2008年大学卒業後、大和証券SMBCにて債券セールス、プライベートバンカーとして勤務。2014年よりUBS銀行東京支店、2016年からCredit Suisse AGシンガポール支店にプライベートバンカーとして勤務、2018年よりbitFlyerならびに日本ブロックチェーン協会にて広報・渉外業務に従事。2019年に独立して個人事業主として開業、ベンチャー企業を中心に広報・渉外支援に携わる。2020年にPRASにCFOとして参画し同年10月より取締役就任(現職)。2021年10月にパレスサイドコンサルティング創業(現職)。2022年2月にファンドクリエーション社外取締役に就任(現職)


山岡源氏 プロフィール
学生時代から株式会社美学生図鑑にてデータアナリストとしてwebサイトの改善や新規コンテンツを立ち上げ。その後、コワーキングスペースWAY OUTの 運営責任者としてオンライン・オフライン集客、無人化に従事。大学卒業後、 同WAY OUTの運営会社であるone knot trades株式会社入社。
fixUの前身となる無人化支援サービスを新規事業として立ち上げ、2021年2 月に同社からスピンアウトし、株式会社fixUを設立。現在に至る。


CSP次回イベント 本日開催!
8月23日(火)19:30から、「いつか自分もCTOに?創業フェーズのスタートアップで挑戦したいエンジニアのためのピッチ大会」が開催される。
スキルパートナーとしてCSPに参画する柄沢聡太郎氏(スターフェスティバルCTO)、渡辺洋司氏(サイバーセキュリティクラウド代表取締役CTO)が、エンジニアとしてスタートアップにジョインする際、気になるポイントを深ぼっていくパネルセッションコンテンツも!参加費は無料。
申し込みURL:https://csprecruit1.peatix.com/


Share
notelinkedInfacebooklinetwitter

新着記事

STARTUP NEWSLETTER

スタートアップ資金調達情報を漏れなくキャッチアップしたい方へ
1週間分の資金調達情報を毎週お届けします

※登録することでプライバシーポリシーに同意したものとします

※配信はいつでも停止できます

STARTUP NEWSLETTER

投資家向けサービス

スタートアップ向けサービス

notelinkedInfacebooklinetwitter
notelinkedInfacebooklinetwitter