寒気がいよいよ厳しくなってきた12月中頃、株式会社ストライクが主催する「Conference of S venture Lab.」が開催された。
「Conference of S venture Lab.」は、スタートアップ企業と事業会社の提携促進を目的とした会員制サービスの一環として、株式会社ストライクが開催しているイベントだ。
第4回となる今回は、株式会社チェンジの福留大士氏によるトークセッションと、事業会社との連携により事業の加速を狙うスタートアップ5社によるピッチが行われた。
トークセッション
イベントは2部構成となっており、第1部では株式会社チェンジ 代表取締役兼執行役員社長 福留 大士 氏がトークセッションを行った。モデレーターは、株式会社ABAKAM 代表取締役 松本 直人 氏が務めた。
この日のテーマは「スタートアップM&Aで挑むDX × 地方創生」。株式会社チェンジは、祖業の企業向けITサービスに加えて、2019年から、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」や自治体向けITサービスで公共マーケットに参入している。
そのきっかけとなったのが、2018年11月に行った「ふるさとチョイス」を運用するトラストバンクのM&Aだ。このM&Aを通じて、地方創生事業に参入するとともに、トラストバンクが有する日本全国1500以上の自治体の顧客基盤を活かして、自治体向けのSaaSサービスやプラットフォームサービスを展開している。
現在は、トラストバンクを含む6社のM&Aを実施しており、売上/利益ともに連結で大きく伸ばしている。福留氏は当時を振り返り、M&Aの重要性を語る。
「上場して2年くらいは、上場した時のビジネスモデルの延長線上で事業をやっていた。この延長線上でコツコツ積み上げていくのは時間がかかることで、自分たちが解決したい人口減少のスピードと成長スピードが合わなかった」
「上場して、ファイナンスの能力が高くなった時に求められるのは、オーガニックな成長ではない。レバレッジを効かせた投資をするときに、M&Aは素直な選択肢。事業会社はどんどんM&Aをした方が良い」(福留氏)
また、福留氏は「M&Aは仲間集め」「M&Aが完了してPMIが始まった時からが勝負どころ、テコ入れが一番重要な成功要因」と、自身のこれまでの具体的な経験も交えて話した。
「ともにビジョンを追っていく、一緒になってビジネスをやっていく仲間になるので、経営陣のモチベーションが最大化されるポイントがすごく大事」(福留氏)
最後は、福留氏から参加者に向けたメッセージにて、トークセッションは終了。
「イスラエルのスタートアップは立ち上げた時に、どこにM&Aされるかを決めて起業している。日本にもそういう発想のスタートアップが増えて良いと思うし、事業会社もそういったスタートアップのM&Aを通じて、自分たちの出島を増やす動きを加速していけると、もっとイノベーションが起きるのではないか。私たちも率先してやっていきたいし、周りの大企業の方々とも一緒になって世の中を変えていけると嬉しい」(福留氏)
スタートアップピッチ
続いて、第2部では、事業会社との連携により事業の加速を狙う、スタートアップ5社が登壇して、それぞれ5分間のピッチを行った。第1部に続き、福留氏と松本氏もコメンテーターとして参加し、ピッチを終えた各社と質疑応答が行われた。
ストライク提供
今回登壇した企業は以下のとおり。
株式会社SAGOJO
旅人と仕事のマッチングサイト『SAGOJO(サゴジョー)』を運営
リアルワールドゲームス株式会社
自社の3D地図エンジンを用いた位置情報サービスの開発・運営
Crezit Holdings株式会社
金融サービス事業における与信プラットフォームの展開
株式会社ピーステックラボ
モノの貸し借りアプリ 『Alice.style(アリススタイル)』の開発・運営
株式会社スルミ
女性向けのヘルスケアアプリを中心とした、フェムテック企業
クロージング
オンラインを含めると100名以上が参加した本イベントの最後には、会場の参加者同士の交流会が実施された。各社による盛んな情報交換が行われ、盛り上がりをみせて終了。
また、既に次回の開催も発表されている。スタートアップと事業会社の連携促進を目指して、継続的に開催するという。今後も本イベントにはさらなる注目が集まりそうだ。
<イベント概要>
日 時:2022年12月15日(木)18:00-20:00
主 催:S venture Lab.(株式会社ストライク)
協 力:認定NPO法人インデペンデンツクラブ、株式会社Kips
ストライク提供