シードVCのmintが2号ファンド組成、総額100億円の調達目指す──M&A・IPO支援など体制強化

シードVCのmintが2号ファンド組成、総額100億円の調達目指す──M&A・IPO支援など体制強化

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KEPPLE編集部
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プレシード・シード期を中心に投資を行うベンチャーキャピタル(VC)「mint」は、このたび2号ファンドの組成を発表した。具体的な資金規模は現時点では明らかにされていないが、最終的には100億円の調達を目指している。実現すれば、52億円で組成された1号ファンドを大きく上回る規模となる。

mintの設立は2021年。シード期のスタートアップに投資をするアプリコット・ベンチャーズの白川智樹氏(写真右)とTLMの木暮圭佑氏(写真中央)が合流する形で立ち上げたファンドだ。昨年11月には博報堂DYホールディングス等で投資業務に携わった武田紘典氏(写真左)が新たにジェネラル・パートナー(GP)に加わった。

mintは、前身となるアプリコット・ベンチャーズとTLMを含め、約150社に投資してきた。2021年から投資活動を開始しているmint1号ファンドでは、SNSコラボ支援のCasteeや衣服のデザインシステムを開発するSynfluxなどへの投資を実行した。

「ファンドとしてのパフォーマンスベンチマークを上回る成果を着実に上げている」(白川氏)

「プレシード・シード投資で100億円規模のファンドを組成する難しさはあるが、組織体制の拡充や これまでのファンドでのパフォーマンスを評価いただき、機関投資家や事業会社からの資金調達につながった」(武田氏)

異なる強みを持つGPが生む投資の多様性

mintは、3名のGPがそれぞれ異なるバックグラウンドと得意領域を持っており、多角的な視点で投資判断を行えることに加え、多様な投資先支援をできる点が特徴だ。

木暮氏は大学在学時から独立系ベンチャーキャピタルに在籍し、以降、一貫してスタートアップ投資に携わっている。自身が設立したTLMでは、Vtuber事務所を運営するカバーにシードラウンドで出資。その後、カバーは2023年3月に上場し、時価総額は1900億円(25年2月6日時点)を超える。

一方の白川氏は、新卒でサイバーエージェントに入社し、広告営業やゲーム関連子会社でプロデューサーや事業責任者を務めた。その後、サイバーエージェント・キャピタルでスタートアップ投資に携わり、2018年にアプリコット・ベンチャーズを設立。この2月に上場予定のTENTIALにシードラウンドで出資するなど、確かな実績を積み重ねている。

そして、昨年新たにGPに加わった武田氏は、博報堂DYベンチャーズでスタートアップ投資に携わる以前は、監査法人や証券会社に勤務。IPO支援やM&Aアドバイザリー業務で豊富な経験を持つ。

「それぞれが異なるコミュニティや投資のアングルを持ち寄ることで、シード領域においても多様な投資アプローチが可能になっている」(白川氏)

世代や得意領域が異なる3名のGPが運営するmintは、プレシード・シード特化のVCとして、幅広いネットワークと豊富な知見を活かし、今後はアーリーステージのスタートアップへの投資も視野に入れ、投資対象をさらに拡大していく方針だ。

VCとして進化を続け広がる支援の可能性──M&A・IPO支援にも注力

mintのように、マイクロVCと呼ばれる小規模組織のVC同士が合併して、ファンド規模を拡大していくケースは、日本国内ではまだ少ない。

また、ファンド規模の拡大に閉じず、新たな視点を持つGPを迎えて、その組織規模も拡大している点もユニークだ。

武田氏は、これまでの自身の経験を活かして「大企業との連携やM&Aなど、スタートアップのインオーガニックな成長も支援したい」と語り、スタートアップの成長戦略や出口戦略のサポートにも積極的に取り組んでいく。

mintとしてこれまで得意としていた創業初期の支援に加え、グロースステージまでの各成長フェーズに応じた支援を行える体制を構築している。

こうしたVCとしての組織拡大もあり、2025年1月には一般社団法人東京国際金融機構(FinCity.Tokyo)が選出する新興投資家(Emerging Managers)の「EM Showcase 2025」に選ばれるなど、その動きはスタートアップエコシステムの内外から注目を集めている。

シードから長期支援へ──mintの新たな挑戦

今後、ファンド規模の拡大に伴い、どのように投資活動を変化させていくのか尋ねた。

「ファンド規模の拡大に左右されず、これまでどおり自然体で投資を行っていきたい。一方で、これまではシード投資を行った後に追加投資を十分に行えなかったケースもあった。今回の2号ファンドでは追加投資も積極的に行い、『シード投資以降もずっと頼りになるVC』を目指したい」(白川氏)

これまでと同様に特定のセクターに絞った投資は行わない方針だが、社会の大きな変化を見据えたテーマに注目しているという。

木暮氏は「日本市場の縮小を考えると、グローバル市場を前提にしたスタートアップへの投資が今後さらに重要になる」と話し、海外展開を視野に入れたスタートアップや、AI・ディープテックなどの先端技術領域への投資も積極的に検討していく方針だ。

「シードから長期的にスタートアップを支援し続ける存在でありたい」

世代もバックグラウンドも異なる3名のGPが共通の志のもとに集い、変化を続けてきたmint。今後の投資活動とともに、自らがどのようなVCへと進化していくのか注目だ。

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