New Innovations、シリーズBラウンドで累計調達額68.1億円に──自動調理ロボで「次世代メーカー」への転換加速

New Innovations、シリーズBラウンドで累計調達額68.1億円に──自動調理ロボで「次世代メーカー」への転換加速

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株式会社New Innovationsは、シリーズBラウンドで約11.6億円の第三者割当増資を実施し、累計調達額は68.1億円に達した。引受先には、スパークス・アセット・マネジメント、KDDI Open Innovation Fund 3号、SBIインベストメント、ニッセイ・キャピタルなど計10社および経営株主等が名を連ねている。

調達資金は、OMO(Online Merges with Offline)事業の量産体制構築、販路拡大、営業・マーケティングの組織強化などに充てられる。代表取締役 CEOの中尾氏は「前回2023年の調達が『つくるため』だったのに対し、今回は『広げるため』プロダクトの社会実装に本格的に取り組むフェーズに入った」と語る。

今回の発表では、全自動調理ロボット「Burger Cooker」の提供開始もあわせて明らかにされた。同製品は世界初の狭小スペースに対応したハンバーガーの全自動調理ロボットであり、2021年に初期検証・開発が開始され、約4年をかけて構想が形になった。すでに複数のハンバーガーチェーンと連携し、包装仕様やレシピ構成ごとのカスタマイズにも対応しているという。

筐体は「家庭用冷蔵庫程度のサイズ」とされ、1時間あたり最大120食、1食あたり約55秒の調理が可能とされる。厨房の既存レイアウトを変更せずに導入でき、POSシステムとの連携やタッチパネル操作による予約調理にも対応する。定量的な目標として、2030年までに1000台の出荷を目指すとしている。

Burger Cooker写真
幅900mm・奥行き750mm・高さ1800mmの筐体に、パティ72食分、バンズ60食分、包装資材600食分以上などを内部に収めた構造

フロント業務領域では、無人店舗向けの注文・決済・調理指示を一元管理する「Store Meister」が新たにブランド化された。これまで無名で展開されていた機能群を体系化したもので、Blue Bottle Coffeeの店舗における省人化オペレーションの支援実績がある。今後は同ソリューションを活用し、飲食業界におけるオペレーションコスト削減支援を進めていく構えだ。

Store Meister写真
「Store Meister」は注文や決済を無人化するKIOSK端末も提供している

2021年にリリースされた無人型コーヒースタンド「root C」は、わずか一坪の空間に設置可能な筐体を活かし、現在全国20カ所以上で運営されている。アプリ注文とロッカー受取を組み合わせた形式で、累計ユーザー数は13万人に達した。法人向けには、筐体のブランドカスタマイズや豆の選定を含むソリューションの提供も開始されており、今後2年間で40〜50台への拡大を目標としているという。

root C写真
アプリからの注文で、受け取りたい時間に合わせて挽きたて・淹れたてのスペシャルティコーヒーを専用のロッカーから提供

2024年に登場した全自動かき氷ロボット「Kakigori Maker」は、氷の盛り加減や環境条件に応じて品質を調整できるビジョン制御機構を備える。出荷台数は累計30台を超えており、サントリーが出展する大阪・関西万博のブースや、カフェチェーン「プロント」などでも導入されている。高価格帯業態からの相談が増えており、2026年夏の導入に向けた調整が進められているという。

Kakigori Maker写真
氷の盛り加減をビジョンシステムを通じてリアルタイムに制御し、気温・湿度・氷の密度などに左右されることなく、一定の品質を実現

製造業向けのクラウド図面管理ソリューション「図面バンク」も拡大を続けている。AIによる類似形状検索や文書管理機能を搭載し、町工場からスタートしたが、現在ではセイコーエプソンをはじめとする大手エンタープライズ企業への導入が進んでいる。ユーザー課金が発生しない料金体系が特徴で、全社横断的な展開がしやすい点が評価されている。売上構成では、大企業向けが過半を占めているという。

同社は、2028年5月末までに全プロダクトで累計出荷台数300台の達成を目標としており、「Kakigori Maker」で100台の展開も視野に入れている。今後は飲食・小売に加え、宿泊業界への進出も計画しており、清掃・搬送といった業務自動化にも取り組む構えだ。

同社では現在、シンガポールなど海外に展開する顧客企業との取引がある。今後、こうした顧客企業との連携を通じて、自然なかたちで海外展開が広がることを期待している。中尾氏は「国内で実績を積み上げ、顧客とともに自然な形で海外に展開していくのが理想」と語った。

「人類を前に進め、人々を幸せにする」という理念のもと、New Innovationsは、ロボティクスとソフトウェアを融合させた製品群を展開している。人の業務を代替するだけでなく、創造性を高める“余白”をつくることを目指しているという。今後も、人手不足や業務の属人化といった社会課題に向き合いながら、各プロダクトの展開と量産体制の整備を通じて、現場での実装と価値創出を進めていく方針だ。

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