株式会社Shippio

こんにちは!ケップルが運営するYouTubeチャンネル「スタセン!(スタートアップ潜入チャンネル)」制作チームです。今回は、貿易プラットフォームの開発・提供で輸出入業務のDXに取り組む株式会社Shippioを取材しました!
Shippio Platformによる貿易業務の一元管理
Shippioは、「国際物流を、アドバンストに」をビジョンに掲げ、貿易プラットフォーム「Shippio Platform」の企画・開発・運営を行っています。輸送状況や書類・タスク・関係者情報を一元管理し、関係者間の伝言ゲームや属人化を解消。専用アプリやソフトウェアの導入は不要で、ブラウザ環境だけで利用開始ができます。API連携機能により、基幹システムとのデータ連携も可能。荷主、フォワーダー、物流事業者を跨いで協業する国際物流プロセスのデジタル化を支える基盤として、多様なステークホルダーに対応しています。

今回の動画では、港区にある同社オフィスに伺い、代表取締役CEOの佐藤 孝徳氏やプロダクト部長の伊井 壮太郎氏、Shippio Works / Shippio Clear 事業部長の金城 健氏にインタビューしました。同社の開発するサービスの強みや今後の展望などについて詳しくお話いただきました。本記事ではその内容の一部をご紹介します!
産業の転換点を作る――貿易DXで輸出入業務を効率化
――事業概要や貿易業界の課題について教えてください。
佐藤氏:私たちは、「産業の転換点を作る」というミッションのもと、2016年に設立した会社です。中でも、サプライチェーン領域において貿易のDXを中心に進めています。
貿易業界というのはとにかくアナログです。日本は島国ということもあって、輸出入とは切っても切り離せない関係にあります。一方で、国境を越える物流や貿易の現場には、倉庫会社、船会社、航空会社、トラック会社など、非常に多くのステークホルダーが関わっています。
ところが、そうした関係者同士の調整や輸送管理が、いまだに電話・メール・FAXといったアナログな手段で行われているため、非常に手間や工数がかかっているのが実情です。私たちは、そうした非効率をテクノロジーで解消していくことが大きな課題だと考えています。

――創業の背景は?
佐藤氏:私は新卒で三井物産に入りました。国際物流を専門にしていたわけではないのですが、石油の取引などで、海を越えて物を運ぶ仕事に一時期関わっていました。
その後、「スタートアップをやりたい」と考えたときに、せっかく挑戦するなら日本の経済にインパクトを与えられるような、大きな産業に取り組みたいと思ったのです。
日本は島国で、輸出入がなくなることはありません。その中で、貿易という巨大産業がいまだにアナログなまま残っている現実を見て、「この領域であれば大きなスタートアップを作れるのではないか」と感じたのが、起業のきっかけです。
さらに、コロナ禍や越境ECの拡大などで、「物が届くのが当たり前ではない」という状況が身近になりました。物の取引量は伸びているのに、物流に携わる人の数は変わらず、むしろ減っているところもあります。そういった現実も、この領域に挑戦すべきだと感じた理由のひとつです。
デジタルフォワーディング×3つのクラウドで国際物流を再設計
――自社の強みは?
伊井氏:私たちは、国際物流という巨大産業において、現在4つのサービスを展開しています。まず1つ目が「デジタルフォワーディング」です。これは、私たち自身が物流のオペレーターとなり、荷主様から預かった貨物の輸送を実際に手配・管理するサービスです。
そして残りの3つがSaaS(ソフトウェア)型のサービスです。1つ目のSaaSは、荷主向けに提供している輸送管理クラウド「Shippio Cargo」。2つ目が、物流事業者向けの業務支援ツール「Shippio Works」。3つ目は、つい先月リリースした通関事業者向けの通関AIクラウド「Shippio Clear」です。このように、3つのSaaSと1つの物流オペレーションの計4つのサービス構成で、事業を展開しています。
私たちが事業を展開している国際物流は、非常に深いドメインナレッジが求められる世界です。インターネットで調べても、実際に現場で各社がどのようなオペレーションを行っているのかという情報は、まず出てきません。各社の業務を理解し、それをサービスに反映するのは非常に難しい領域です。
その中で私たちの強みは、自社で実際に物流オペレーションを行っている点にあります。現場での知見やノウハウが会社の中に蓄積されており、そこが他社にはないユニークな点だと考えています。
言い換えれば、社内に私たちのサービスの“顧客”が存在しているような構造になっており、現場からのフィードバックをリアルタイムでプロダクトに反映できる。このサイクルを回せることが、大きな強みだと思っています。
現在、国際物流に関わるさまざまなステークホルダーに、業種や規模を問わず導入いただいています。

――新サービス立ち上げの狙いは?
金城氏:私たちは、国際物流のパートナーとして荷主だけでなく、物流事業者も重要な存在だと捉えています。会社としてプラットフォームを広げていくためにも、双方にとって使いやすいサービスを提供することが不可欠です。
これまでは「Shippio Forwarding」や「Shippio Cargo」など、荷主向けのサービスを中心に展開してきましたが、物流事業者向けのサービスがなかったため、そこに新たに注力することにしました。その第一弾として、昨年9月に「Shippio Works」をリリースしました。
国際物流に携わる方々の中には、通関業務に関わる方も多くいらっしゃいます。そうした現場の課題にも応えていきたいという思いから、先月、新たに通関事業者向けのサービス「Shippio Clear」も立ち上げました。
Shippio Worksは、国際物流における業務オペレーションやカスタマーサービスの情報共有を効率化するためのサービスです。国際物流現場では、案件ごとの情報がメール・Excel・紙といったアナログな手段でやり取りされており、業務が属人化しやすいという課題がありました。
担当者一人が把握できていても、それをチーム内でタイムリーに共有するのは難しく、情報が点在してしまう構造的な問題があります。Shippio Worksでは、そうした分散した情報を一元化し、誰が・いつ・どの案件を担当しているかがすぐに把握できるようになります。
また、物流事業者は荷主に対してのサービス内容で差別化しづらいという課題もありますが、Shippio Worksを使えば、荷主も同じ画面で情報を確認できるため、好きな時間・場所で状況を把握することが可能になります。社内の業務効率化だけでなく、荷主とのスムーズな情報共有も実現できる、双方にとって使いやすいプラットフォームです。物流事業者にも荷主にも高い評価をいただいております。

――どのように事業グロースさせているのでしょうか?
金城氏:Shippio Worksについては、国内に約3000社あると言われている物流事業者の中でも、特に「国際フレイトフォワーダーズ協会(JIFFA)」に加盟している約550社を中心にアプローチを進めています。昨年のサービス立ち上げから1年で、すでに80社以上に導入いただいており、今後もこの領域を軸に拡大していく方針です。
Shippio Clearについても、フォワーディングと通関業務をセットで担う企業が多いため、既存のShippio Worksユーザーへのクロスセルを進めつつ、新規での提案も並行して行っています。国内には約1000社の通関事業者がいると見ており、そこにも積極的にアプローチしていきたいと考えています。
日本の貿易に不可欠なプラットフォームを目指す
――今後のビジョンについて
佐藤氏:ひと言で言うと、日本の貿易にとって“必要不可欠なプラットフォーム”をつくることです。私たちはこれを「Shippio Platform構想」と呼んでいます。
現在は4つのプロダクトを展開していますが、今後はそこにさらに必要な機能やサービスを加えたり、M&Aも活用しながらプラットフォームの完成を目指していきます。実際、2022年には協和海運という会社を買収し、PMIも順調に進んでいます。
また、体制面でも今の約100名から、今後2〜3年で約300名規模まで拡大する予定です。将来的には、M&A先のPMIや経営戦略の実行をリードできるような人材と、ぜひ一緒にチャレンジしていきたいと考えています。
動画では採用情報についてもメッセージをご紹介!
同社は、現在積極的に採用活動を行っているということで、代表の佐藤氏より最後に採用に関するメッセージも伺っています。ぜひ動画でご視聴ください!
「スタセン!」では今後も注目スタートアップを取材していきます。次回もぜひお楽しみに!
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「スタセン!」制作チーム
「スタセン!」制作チーム
ケップルが運営するYouTubeチャンネル「スタセン!(スタートアップ潜入チャンネル)」制作チーム。注目スタートアップ企業に潜入取材し、その開発技術やサービス、企業の魅力を紹介する。










