クライメートテックスタートアップの出口戦略─新たな局面における資金循環と成長の選択肢


2025年の国内脱炭素スタートアップ市場は、資金調達・雇用の両面において、実証段階を越え、社会実装・事業拡張フェーズへと移行していることが確認された。
資金調達ランキングを見ると、EV充電インフラを手掛けるTerra Chargeが104億円(融資含む)、空飛ぶクルマを開発するSkyDriveが83億円を調達するなど、初期投資が大きくスケールを前提とする領域が上位に並んだ。再生可能エネルギー関連企業や核融合関連スタートアップも複数ランクインしており、日本のGX市場への投資が実証・実装フェーズへと明確に移行していることが読み取れる。
特に、上位15社の内4社が核融合スタートアップとなり、研究開発中心の段階から工学的実装・実証へと軸足を移しつつある状況が示されている。
資金調達ランキング 上位3社(2025年1月~12月)

※プレスリリース情報に基づく
※集計期間:2025年1月1日~12月31日
雇用動向に目を向けると、脱炭素スタートアップ446社の従業員数は、2024年12月の10,788人から2025年12月には11,302人へと増加し、年間増加率は4.76%となった。
太陽光発電、電池、再生可能エネルギー、リサイクル分野では着実な人員増が見られる一方で、新素材分野では減少も確認されており、セクターごとの成熟度や事業フェーズの違いがより明確になっている。
これは、脱炭素領域全体が一様に拡大しているのではなく、実装が進む分野では人材が積み上がり、転換点にある分野では調整が進むという、より成熟した成長局面に入っていることを示唆している。
また、2025年12月末時点の時価総額ランキングでは、クリーンプラネットが約1,937億円で首位となり、TRIPLE-1、Spiberなどが続いた。 1位のクリーンプラネットは、CO₂を排出しない「量子水素エネルギー」技術を開発する次世代エネルギースタートアップであり、商業化は途上にあるものの、エネルギー供給のあり方を根本から変え得る潜在性が評価されている。
投資家動向を見ると、三菱UFJキャピタルが9件、環境エネルギー投資が8件、みずほキャピタルが6件と、金融系VCや独立系VCが上位に位置している。さらに事業会社や金融機関、官民ファンドなども継続的に投資を行っており、脱炭素が一過性のテーマ投資ではなく、中長期的に資金が投じられる成長分野として位置づけられていることが分かる。

※プレスリリース情報に基づく
※集計期間:2025年1月1日~12月31日
総じて、脱炭素スタートアップは「技術を開発する存在」から「社会システムの一部として実装される存在」へと役割を変えつつある。2025年は、その転換がデータとして明確に表れた一年であった。
今後、脱炭素領域では研究開発の成果がどこまで社会実装へと結びつくかが、スタートアップエコシステム全体にとって重要なテーマとなるだろう。資金調達や雇用の動きは、その変化を映し出す指標の一つとなる。
ケップルでは、スタートアップデータベース「KEPPLE DB」を基に国内スタートアップの動向を継続的に分析しており、今後も脱炭素領域を含むスタートアップ市場の変化を追っていく。
※本記事は以上です
本記事のもととなった「脱炭素スタートアップの動向(2025年)」は、国内514社を対象に、資金調達額、雇用動向、時価総額、投資家別動向を多角的に分析したレポートです。分野別の注目企業や投資動向の詳細を網羅しており、脱炭素市場の成長性と課題を体系的に理解できる内容となっています。
<内容>
1. 資金調達ランキング
2025年に国内脱炭素スタートアップが実施した資金調達額をもとに上位15社をランキング形式で整理し、資金の流入先や市場の変化について解説。
2. 従業員数の動向
脱炭素スタートアップを対象に従業員数の推移を集計し、セクター別の雇用動向や企業ごとの組織拡大の状況を分析。
3. 時価総額ランキング
2025年12月末時点の推定時価総額をもとに上位15社をランキング化。
4. 投資家別投資件数
2025年における投資家別の投資件数を集計し、どの投資主体が脱炭素スタートアップへの投資を積極的に行っているのか掲載。
<このような方におすすめ>
・新規事業開発・投資を担当している方
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本レポートは、ケップルが運営する「クライメートテック・コンソーシアム」の活動の一環として作成しています。脱炭素領域に関心のある方に、国内外の脱炭素スタートアップ・VCとつながる機会や最新トレンドの把握、ネットワーク形成の支援をしています(参加無料・50社以上が加盟)。ご関心のある方は、ぜひこちらより加盟申請ください。
Writer

株式会社ケップル / Data Analysis Group / アナリスト
新卒で全日本空輸株式会社に入社し、主にマーケティング&セールスや国際線の収入策定に従事。INSEADにてMBA取得後、シンガポールのコンサルティング会社にて、航空業界を対象に戦略策定やデューディリジェンスを行ったのち、2023年ケップルに参画。主に海外スタートアップと日本企業の提携促進や新規事業立ち上げに携わるほか、KEPPLEメディアやKEPPLE DBへの独自コンテンツの企画、発信も行う。
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