フェイガー、11.7億円調達—脱炭素農業と環境価値市場の拡大を目指す

エストニアを拠点とする日本人創業の気候テック・スタートアップ、Carbontribe Labs OÜは、AIとブロックチェーン技術を活用し、植林プロジェクトの環境価値をデジタルアセットとして生成するサービスの受付を開始した。NGOや中小企業による小規模な脱炭素プロジェクトでも、環境価値を可視化・収益化しやすくする仕組みであり、環境価値市場の裾野拡大が期待されている。
同サービスでは、独自のAI技術とブロックチェーン技術を組み合わせ、衛星画像とAIによる画像解析を通じて、植林の位置や面積を正確に把握。これにより、従来の現地調査に頼らず、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)に準拠したリモートでのクレジット生成プロセスを実現している。また、過去20年分の衛星データを活用し、初回から過去数年分のクレジットを生成することも可能だ。
生成されたデジタルアセットは、プロジェクト関連データが全て書き込まれたNFT(ERC1155)としてブロックチェーン上に記録され、発行や取引の透明性が確保される。企業は、購入したクレジットの出所や削減実績をリアルタイムで検証でき、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)報告やサステナビリティ戦略の強化に活用することができる。
Carbontribe Labs OÜは、2023年10月に設立されたエストニア本拠地のスタートアップだ。米Techstarsがバックアップし、AIとブロックチェーン技術を応用したボランタリーカーボンクレジットのスタンダードを開発・提供している。同社の独自開発したカーボントライブスタンダード(方法論)は、IPCC準拠の科学的手法にAIプロセスとWeb3技術を組み込み、現地調査を必要としない森林解析を実現。第三者認証機関であるEarthood社の認証を受けている。
CEOの矢野 圭一郎氏は、SalesforceやGoogleなどの外資系IT企業で法人向けクラウドサービスの事業開発に従事した後、2015年よりドイツ・ベルリンを拠点に活動を開始。2017年には、欧州と日本の企業やスタートアップを結ぶビジネスマッチングプラットフォームInteracthubを設立し、オープンイノベーション支援事業などを展開してきた。
植林は気候変動対策の有効な手段として注目されており、CO₂の吸収、生態系の保全、地域経済の活性化など多面的な効果が期待されている。一方で、従来の植林クレジットは、認証や管理にかかる高コストや複雑なプロセスにより、プロジェクトの実態把握が困難であるといった課題を抱えていた。Carbontribe Labs OÜのサービスは、こうした課題の解消と普及拡大を目指すものであり、既存のカーボンクレジットがリーチできていなかった市場へのアプローチとして注目されている。
画像はCarbontribe Labs OÜプレスリリースより
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