クイックコマースサービス「QuickGet」を運営するクイックゲット株式会社は6月29日に、3.5億円の資金調達を実施したことを明らかにした。
クイックコマースとは、注文から数十分で食料品や日用品などが届く即時配達サービス。主に、オンラインで注文を受け、配達専用の無人店舗(ダークストア)、自店舗・提携店舗から配達される。
今回のラウンドの引受先は、Spiral Capital株式会社、マネックスベンチャーズ株式会社、株式会社ココナラスキルパートナーズの3社と個人投資家。
調達した資金はサービスエリアの拡大や人材採用に充て、更なる組織拡大とサービスの普及を目指すとしている。
今回の資金調達に際して、クイックゲット代表の平塚氏に、詳しく話を伺った。
―― まずは、御社の事業についてお聞かせください。
平塚氏:弊社は、2019年にβ版をローンチして日本初のクイックコマースを開始しました。これまで、スーパーやコンビニが購買のイノベーションを築き上げてきましたが、今後は我々の手で次世代に繋げていく新しい変革のイノベーションを起こし、より良い未来を作っていくことをミッションに掲げています。
また、「規模は日本最大、顧客体験は世界最高」をビジョンに掲げており、誰もが知るような規模を目指しながら、世界最高の顧客体験により最も顧客に愛されるコマースカンパニーを目指しています。
―― 日本においてもクイックコマースが盛り上がりをみせています。
実は、弊社は日本で初めて、世界で3番目にクイックコマースサービスを始めました。
購買の分野では、20年サイクルでイノベーションが起きています。1953年のスーパー誕生を筆頭に、71年に24時間営業のコンビニ、96年にEC、そして2019年に我々が日本で初めてクイックコマースを登場させ、このイノベーションストリームの最先端となっています。
特に、2020年の後半から世界中でクイックコマースが注目され、大きな投資が集まっています。コロナ禍となりフードデリバリーが急速に台頭する中で、さらに大きな市場として小売産業、すなわちクイックコマースが注目され始めました。
また、日本では2019年に弊社が開始した後、coupang や OniGO がサービスを開始し、そして2021年12月にはUber Eats がアプリ内で UberEatsMarket という形でクイックコマースを始めました。
さらに、2022年はじめには Zホールディングス がローンチしたことでようやく大手が参入し、日本でも盛り上がりをみせるようになりました。2022年はクイックコマース元年とも言われています。
―― 御社のサービスの特徴について、教えてください。
クイックゲットの特徴は、配送体験、データドリブンな商品ラインナップ、収益性の3つです。
弊社はここ半年間で、全てのエリア全ての期間のどこで区切っても、平均配送時間11分、30分以内の配送率は99%を実現しています。これは世界でもあまり類を見ない上、日本ではおそらく弊社のみなので、圧倒的な顧客体験、配送体験を提供しています。
商品ラインナップについても、お客様からはコンビニよりも良い品揃えと好評です。我々は全ての購買で「誰が、いつ、どこで、何を買ったか」を把握することができるので、そこから利用シーンを逆算して、お客様の欲しい商品をクイックゲットで探せる状態を作っています。具体的には、生鮮食品はもちろん、ワインショップでしか手に入らない本格ワインや、高級スーパーでしか手に入らない高級菓子、ドラッグストアでしか手に入らないペット用品など、包括的な商品ラインナップを提供しています。
また、クイックコマース業界はある事例を機に収益性や事業性という点で懐疑的な目が向けられていますが、弊社では一配送あたりで既に黒字化しています。
ドイツのクイックコマースサービスであるGorillasは、2020年5月に設立後、翌2021年には1400億円の資金調達、従業員規模1万人への成長を遂げ、ドイツでは誰もが知る企業となりました。しかし、以前より収益としては成り立たないのではないかと言われており、結果的に、300人の従業員を解雇し、イタリア、スペイン、デンマーク、ベルギーなどの市場から撤退せざるを得なくなりました。
そのような中、弊社では平均配送時間11分を実現しながら、黒字化しています。これは世界でも類を見ないことです。お客様からは、クイックゲットを使い始めてからコンビニに行く回数が全くなくなったという声もいただきました。
結果として、App Store の評価でクイックゲットは他社と比較しても非常に高い 4.3 を獲得するなど、お客様から評価いただいており、また、売上も直近半年で約3倍と急成長を遂げています。
―― 「QuickGet」を始めようと思ったきっかけを教えてください。
一番は、自分自身が欲しかったサービスだからです。実は、この事業は3つ目、起業前から含めると5つ目、6つ目ぐらいの事業になります。何度も事業を立ち上げを経験する中でやはり最後に重要だと思うのは、「自分自身がいかに欲しいか」です。
未来から正しく逆算できているか、収益性が合ってかつスケールできるか、そういった点を考えるのも大事です。ただ、最終的には、100年後の未来をみたときに今とギャップがあるか、それを現時点のテクノロジーでちゃんと実現し、世の中に普及している姿を想像できるか、そして、自分自身がいかにそれを欲しいと思うかなのですよね。
実際、僕は今もほぼ毎日クイックゲットを使っていて、ユーザーの利用金額ランキングでもTOP10に入るくらいです。欲しくないと、続かないと思うんです。だから自分が欲しいかを大事にしていました。
―― 今後の展望を教えてください。
サービスエリアの拡大や人材採用に力を入れていきます。
現在の弊社の配送エリアは、港区・渋谷区・目黒区の一部ですが、今後グロース期で拡大、成長を目指し、まずは「3年で200店舗」を実現させます。そのために直近1年で、フルタイムを4倍の80名にし、プロダクト開発、マーケティング、サプライチェーンのチームを強化したいと考えています。また、グローバルな組織作りも進めていきたいです。現在もエンジニアは、外国人比率が100%で日本人がいません。世界各地で採用するのはもちろん、日本にいる外国人の方の採用も行っていこうと考えています。
今後の展開としては、欲しいものがすぐ届くというところから、コンビニが持っているような付随機能をボタン1つで解決する、クイックサービスEC事業を目指します。具体的には、クリーニングや郵送代行など、弊社の倉庫・配送ドライバー・お客様などのアセットを活用して展開していきます。
また、弊社で集めた顧客情報から逆算してお客様が本当に求めるプライベートブランドの販売なども検討しています。
そして最終的には、人手不足が続くラストワンマイルの配送へ進出したいと考えています。例えば、ナイキのECアプリで10分配送のボタンを押せば、弊社の物流網を使ってお客様にナイキの商品を10分で届ける、といった世界を見据えています。
我々は次世代のコンビニでありながら、ラストワンマイルを持っている物流企業でもあります。弊社として目指しているのは、セブンイレブンとヤマト運輸を足したような企業として、次世代のインフラになることです。
―― 最後に御社からメッセージをよろしくお願いします。
世界的にみてもクイックコマースは伸びており、このオンデマンドニーズは不可逆だと思います。100年後の未来を考えたら、より多くのものがオンデマンドになることは当たり前で、翌日まで待っているわけはないと思います。そのような中で、一瞬で届くということと収益性のバランスを構築できている会社は世界でも稀ですし、日本では私たちしかないと考えています。ですので、クイックコマースといったら「QuickGet」だよね、と皆さんに知ってもらいたいです。
また、今回の資金調達のリリースを出しましたが、今後に向けて、興味のある事業会社の方や投資家の方がいましたら、ぜひ連絡いただけますと嬉しいです。
クイックゲット株式会社
クイックゲット株式会社は、アプリで商品を注文すると30分以内に届けてもらえるサービス『QuickGet』を運営している企業。 『QuickGet』では、食品や飲料、日用品までを、注文から30分以内に届ける。取扱商品は、高級スーパーやコンビニで売られているようなものや日用雑貨品まで1,000点以上。現在東京都港区と渋谷区の一部エリアで実施。
代表者名 | 平塚登馬 |
設立日 | 2017年9月20日 |
住所 | 東京都渋谷区東2丁目25番3号 |