地域の人と人をつなぐ、ピアッザが描くご近所づきあいの未来形

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KEPPLE編集部


地域コミュニティアプリを運営するPIAZZA株式会社が、第三者割当増資による1.2億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、三井住友海上キャピタル、NCBベンチャーキャピタル、CARTA VENTURES、JR東日本スタートアップの4社。

今回の資金調達により、自治体連携によるエリアの拡大とマネタイズの強化を目指す。

地域住民同士の交流を促すコミュニティアプリ

同社が提供する地域コミュニティアプリ「ピアッザ」は、地域の住民同士やそこで働くひとたちをつなぎ、地域全体で支え合うことができるコミュニティプラットフォームだ。

アプリ上では地域のイベントや習い事、リユース品のお譲りなど、さまざまな情報交換が可能であり、知りたい情報や困ったことについて相談し合える。
サービスイメージ
ユーザーがホームエリアを選ぶと、隣接する近隣エリアも自動的に設定され、1タップで近くの情報も簡単に閲覧ができる。

さらに、デベロッパーや事業会社、自治体などと連携することで、地域に密着した情報がSNSに慣れ親しんだ若い世代にも簡単に届けられ、多くの店舗や施設に加え、企業、自治体のサポートも可能となる。

2015年9月のリリースから2023年7月時点で、東京、名古屋、大阪、神奈川を中心に88エリアへ展開している。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 矢野 晃平氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

現代で求められるご近所づきあいの形

―― 地域コミュニティの現状や必要性について教えてください。

矢野氏:これまで街の価値は、建物や立地などに影響されてきました。現在では人口減少や新規着工数の減少により、コミュニティやサービスが重視される傾向に変化しています。

人口減少や核家族化などの背景もあり、困ったときに支えてくれるご近所さんの数が4人以上だと答えた方はわずか6%です。一方で、85%の方々がご近所づきあいが盛んであってほしいと感じているなど、地域コミュニティの重要性は高く、ニーズが高まっています。

ソーシャル資産の必要性
特に求められているのは、日常的に顔を合わせなくとも、何か困ったことがあったときには助け合えるようなご近所づきあいです。SNSやコミュニケーションアプリを活用することで、地域コミュニティへの参加のハードルを下げ、距離感を保ちながらコミュニケーションすることができます。

―― 地域になじむことやコミュニティの運営には、どのような課題がありましたか?

引っ越しをする方が増えたため、引っ越しのたびにその人のコミュニティはリセットされます。新たにご近所づきあいを始める労力もあるため、地域の情報をあまり持たず、ご近所づきあいもないという方々が多くなっています。携帯電話やスマートフォンの普及により、対面せずとも連絡を取ることができるようになったことも理由の一つです。

また、地域コミュニティを支えてきた町内会の高齢化も問題視されています。次の世代にコミュニティを継承することが難しくなっているんです。子育て層に対して、細かな情報発信をしていきたい一方で、デジタルを活用できずに紙媒体での発信が主になってしまい、適切に情報を届けることができていません。

スタートアップスカウト

―― 創業のきっかけについて教えてください。

幼少期からオランダやアメリカなどの海外で過ごす中で、人々が集まるピアッザ(広場)という空間概念に関心がありました。都市設計の道を志し、設計者を目指していましたが、新卒では証券会社で投資に携わりました。

いつか広場を創りたいという思いは変わらず持っていましたが、ある時、子どもが事故に遭ったんです。そんな時に心配して声をかけてくれたのは、名前も知らない近所の方でした。ITでグローバルにつながれる時代にもかかわらず、地域の方のことを知らないのはなぜかと疑問に思い、こうした経験から、ピアッザの開発を決意しました。

証券会社の後はオンラインゲームを展開している企業で働いていたこともあり、ゲーム内でのオンラインコミュニティの活性化に衝撃を受けました。こうした経験はピアッザにも活かされています。

開発当初は、各地域でユーザーを効率的に集めることに大変苦労しました。地域の方々に直接会ってお話をさせていただいたり、地道に努力をしてきた結果、自治体との連携も徐々に進み、少しずつ拡大していきました。

地域それぞれに最適なサービスを

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

これまで、ピアッザのプロダクトを通じてエリアの展開やコミュニティの形成、マネタイズを順調に進めてきました。今回の資金調達では、さらなるエリアの拡大とマネタイズの強化に注力します。

地域コミュニティは鉄道沿線上を中心に形成されることが多いです。今回株主になっていただいたJR東日本スタートアップなどとの連携を強化し、2025年までにピアッザの対応エリアを200エリアに拡大します。

これらの目標を達成するために、2024年までにセールスメンバーを中心に現在の20名から40名ほどに組織を拡大する予定です。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

今後は不動産仲介や求人情報などを扱うことも検討しています。ピアッザのメインターゲットである30代や40代のファミリー層に向けて、各地域のニーズに最適なサービスを提供しながら、2027年ごろのIPOを目指しています。

このたび、交通新聞社の地域紙媒体「さんたつby散歩の達人」がピアッザ上でも閲覧ができるようになりました。今後も各地域のローカルメディアとの連携を進めます。ローカルメディアの広告主がピアッザ上でも広告を掲載できるなど、リアルとデジタルを掛け合わせた広告商材の提供を目指しています。

また、海外からも複数お問い合わせをいただいており、アジアやヨーロッパへの展開も検討しています。各地域にはすでに日本人コミュニティサイトが存在していますが、まずはそこからニーズに合ったものを提供できるよう展開していく予定です。

事業会社やデベロッパー、鉄道会社、インフラ事業者などと連携し、さらなる地域のコミュニティの構築と事業の拡大を進めていきたいと考えています。


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