「縦型ショートドラマ」で世界目指すGOKKO、2億円調達で投稿数3倍に

「縦型ショートドラマ」で世界目指すGOKKO、2億円調達で投稿数3倍に

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KEPPLE編集部

縦型ショートドラマを制作するクリエイター集団「ごっこ俱楽部」を運営する株式会社GOKKOがプレシリーズAラウンドにて、第三者割当増資による2億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、i-nest capital、セプテーニ・ホールディングス、KEPPLE Capital、Wventures、および個人投資家の佐渡島庸平氏、亀井智英氏など。

調達した資金は、コンテンツクオリティ向上のための制作環境の整備、チーム拡大・強化のための人材採用、国外へのコンテンツ発信の強化に充て、日本発のグローバルエンターテイメント企業を目指す。

180秒の濃厚なストーリーで日本一を達成

日本のドラマ制作は分業制作が主流である中、「ごっこ倶楽部」は、脚本、撮影、編集、投稿、マーケティングまでをワンチームで行っている。これは、韓国や欧米の人気ドラマ制作会社などが採用する世界基準の制作方法だ。さらに、視聴データの分析も全て自社で行っており、これからの時代の新たなドラマ制作のあり方を世の中に提示している。

ごっこ俱楽部は2021年5月からTikTokにショートドラマを投稿し始め、わずか1年で200本を超える幅広いジャンルのドラマコンテンツを公開している。若者を中心にテレビ離れが叫ばれて久しいが、2022年9月時点で累計再生数5億回、イイね1800万、総フォロワー120万人を突破。ショートドラマカテゴリーの中で日本一だ。2022年9月の単月再生数は1億回を超えた。

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その特徴は、180秒に濃厚なストーリーを詰め込んでいる点だ。ショートドラマ特有の"短尺の密度"を大切にしながら、作品を見た人がちょっと前向きになれたり、大切なものに気づけたりするようなきっかけを提供している。そして、ワンチームの体制で制作費用を抑え、スピーディーにクオリティの高い作品を制作し続けている。

今回の資金調達に際して、代表取締役 田中聡氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

ハイクオリティで見応えのあるドラマを守りたい

―― どのような点でショートドラマに勝機を見出されたのですか?

田中氏:日本ではドラマ制作の際、広告主から資金を集めてから制作し始めるというプロセスになっています。そのため、お金が集まらなければドラマが作れないという点が課題でした。今や韓国やハリウッドでは1話あたり2億円程の予算がかけられている一方、日本では3000〜4000万円程度にとどまっています。ドラマや映画など長尺の作品において、それだけ予算に差がある中では、クオリティで世界に勝つことは難しいです。

しかし、縦型ショートドラマであれば低予算でクオリティが担保でき、世界で戦うことができます。また、最近は長時間動画にストレスを感じる人が二人に一人いると言われており、短尺な作品が好まれると予想しています。さらに、車通勤が主流のアメリカとは違い、日本は電車通勤時間が長いため、世界の中でも縦型ショートドラマはより馴染みやすいと考えていました。

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―― ごっこ倶楽部を始めようと思ったきっかけを教えてください。

縦型ショートドラマは2019年に中国で始まり、その後に1話購入視聴が開始した影響などで2021年にショートドラマブームが起きました。縦型コンテンツに置いては、中国が先行しており、中国で流行ったコンテンツが2年後に日本で流行るという流れがあります。そのため、2022年、2023年で中国と同じように日本でもショートドラマのブームを起こせると考え、立ち上げたのがきっかけです。私たちは、中国版TikTokと言われる「抖音-Douyin」と「快手(クワイショウ)」をベンチマークに置いています。縦型ショートドラマでハイクオリティかつ見応えのある作品を作り、日本のドラマを世界に届けることを目標に立ち上がりました。

2023年は、縦型ショートドラマで世界一になる

―― 今回調達した資金の使途を教えてください。

今回の資金調達の一番の目的は、売り上げを考慮せずにコンテンツ作りに没頭し自分たちのポジションを確立、ショートドラママーケットの拡大に集中します。現状この市場には私たちしかいません。そのため、二番手三番手の登場を促し市場全体を盛り上げていくことが、日本一となった我々の使命だと感じています。そこで、一定期間はコンテンツを増やすことに注力していきます。2022年6月からは毎月15本の作品を制作していますが、2023年12月には45本に引き上げることを目指しています。そのために従業員数も現在の14名から40名まで3倍に増やします。

―― グローバル展開についてはどのように考えられていますか。

国外へのコンテンツ発信の強化については、基本的にTikTokを活用していきます。各国のTikTokのアルゴリズムに合わせ、動画にテロップや吹き替えを加えたり、国によって音楽を変えたりするなど、海外でもスムーズに観てもらえるように改善していきます。現在はテスト的にベトナムアカウントとインドネシアアカウントを運用しており、ベトナムアカウントは再生回数5000万回を突破しています。東南アジアでは、日本ドラマの人気が高く、人口増加やスマートフォン普及率が高いといった背景があります。そのため、まずは東南アジアからグローバル展開していく予定です。

―― 今後の展望を教えてください。

2023年には、縦型ショートドラマで世界一になることを目標にしています。2022年は縦型ショートドラマで日本一を目指した結果、TikTokの指標である再生回数、フォロワー数、イイね数などで一番になることができました。次は強者中国を抑えて世界一を取るべく全力で取り組んでいきます。

まずは、アジアを中心に多言語対応を進めるなどコンテンツ制作に力を入れていきます。私たちはプロモーション費用にお金をかけるのではなく、コンテンツで勝負したいと考えています。そこで年明けにオーディションを行い、非言語で楽しめるノンバーバル作品を手がけるチームを新たに作る予定です。ごっこ倶楽部は日本のユニットとして生まれたので、ノンバーバルチームは世界を狙うためにダイバーシティに富んだチームにしたいと思っています。

映像制作経験者と共にショートドラマ業界を盛り上げたい

―― 今後は映画やドラマではなく、縦型ショートドラマが主流になっていくのでしょうか。

「テレビ離れが加速している」という声を最近よく聞くこともありますが、それは時代の流れの話だと私自身は思っています。長尺のテレビコンテンツに魅力がなくなったのではなく、今は短尺な作品が好まれているだけです。ただ、短尺だと作品の表現に限りがあるので、いずれまた長尺が好まれるようになります。このように短尺と長尺を行ったり来たりして、「どちらも面白い」状態となれば良いと考えています。

ただ、日本のコンテンツ市場ではマネタイズができないと制作費がかけられず、クリエイティブに費やせる予算は減り、クリエイターが疲弊しているのが現状です。そこで、今まで映画やドラマの制作現場に関わってきた人材が縦型ショートドラマのマーケットに入ってきてくれたら、私たちとしては一番嬉しく思います。競合ではなく、共に協業してこの業界を盛り上げていきたいです。

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