Z世代向けショートドラマレーベルHA-LUが資金調達、IP活用した事業拡大へ

Z世代向けショートドラマレーベルHA-LUが資金調達、IP活用した事業拡大へ

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ショートドラマ制作のHA-LUがシードラウンドにて資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドの引受先は、サイバーエージェント・キャピタル、スタートアップファクトリー、ブーストキャピタルの3社。

同社が制作するのは、10代や20代をターゲットとした青春・学園生活がテーマの縦型ショートドラマ。TikTokなどのプラットフォームで配信している。総再生回数は1億回を超える。この8月には、元放送作家の鈴木 おさむ氏、yutoriの片石 貴展氏からエンジェルラウンドの資金調達実施を発表して話題を呼んだ。(調達額は非開示)

HA-LU学園のイメージ画像

代表の岡 春翔氏はモデルでインフルエンサー。TikTokやInstagramなどのSNS総フォロワー数は約50万人だ。会社の設立自体はHA-LUが初めてではない。アパレル事業を営んだ後、2024年にHA-LUを設立した。

今後は国内外のショートドラマアプリへの長編オリジナルドラマ配信などを計画している。今回の資金調達に際して、岡氏に同社の事業や今後の展望などについて詳しく話を伺った。

キャストは脚本ごとにオーディションで こだわりの青春ショートドラマ

―― 御社の事業について教えてください。

岡氏:私たちは、「数分で心が夢中になるショートドラマ」というキャッチコピーで縦型のショートドラマを作っています。尺は1分から3分ほど。メインは「ハル学園」という青春学園ドラマで、TikTokで配信しています。企業とのコラボ動画も20本ほど出しています。現在は1作品あたり30話から100話の長編ドラマの制作も進めていて、公開していない動画も100本以上ストックがあります。年内に合計500本の動画を制作することが目標です。

HA-LUの属性情報

―― ショートドラマを目にする機会はこの数年でかなり増えました。

中国で流行が始まったショートドラマは、今では日本や欧米でも人気を集めています。ラジオの時代からテレビになり、YouTubeが出てきたように、端末の進化を経てコンテンツの在り方も変わってきました。短く手軽に見れるコンテンツとして、ショートドラマが流行っているのだと思います。

日本では不倫などのインモラル系の動画が多く、体感では全体の8割ほどです。市場が立ち上がるタイミングということもあり、尖ったコンテンツが求められているのではないでしょうか。ただ、エンタメの中でも学園ものは今後絶対に来るはずです。HA-LUはまずそこを取ろうとしています。

スタートアップスカウト

縦型ショートドラマ制作の流れ自体は、基本的にテレビとあまり変わりません。テレビ番組では横画面を前提とした広く細かい背景美術の制作が求められるのに対して、縦画面では表示される範囲が狭まります。それだけでも全然かかるコストが違いますよね。キャストの人数も少なく済みますし、テレビに比べて圧倒的に短い期間で安く制作できるのです。

―― コンテンツ制作におけるこだわりについて教えてください。

HA-LUでは固定のキャストをほとんど抱えず、作品ごとにオーディションを実施しています。多くの役者さんと関係を持つ中で知ったのは、演技の仕事を取れずにアルバイトに多くの時間を費やしている人が多くいることです。本来は少しでも演技の時間を増やしたいはずですよね。製作費を下げるには自社の役者を起用することも重要ですが、脚本ごとの最適なキャスティングでユーザーを楽しませ、結果的に多くの役者が演技でお金を得られるような状況をHA-LUでは作っていきたいと思います。

「ノリ」で始めた青春ショートドラマ 配信1ヶ月で2000万再生

―― 以前はアパレル事業を営んでいました。経営に関心があったのでしょうか?

元々サッカー選手になりたかったんですが、高校2年生の時に諦めたんですよ。「次にかっこいいものは何だろう?」と考えたときに、「社長になろう」と思ったんですよね。でも、経営学部のある大学にはすべて落ちてしまって。

それから1年間アルバイトをして、そろそろ会社を設立しようと思ったときに「有名になった方がうまくいきそうだな」と思い始めて、SNSを始めたらフォロワーが急激に増えたんです。ある程度お金を稼げるようになった20歳で、全財産をかけてアパレル店舗を開業したのが初めての起業です。

アパレルのオンライン販売は結構売れたものの、リアル店舗はあまりうまくいかず、結果的に事業を閉じることになりました。それからYouTubeを中心に活動する中でスタートアップという言葉を知り、29歳での上場を目指そうと立ち上げたのがHA-LUです。

―― ショートドラマ事業を展開することになったきっかけについて教えてください。

男子校出身ということもあって、少女漫画の「君に届け」がすごく好きで。あれが理想の青春なんです。大人になって、「そんな青春を作ってみたい」みたいなノリで始まったんですよ。カメラマンやキャストを集めて青春ショートドラマを作ってみたら、最初の1カ月で約2000万再生を記録して。これをきっかけに大手企業からの案件が次々と舞い込むようになりました。ショートドラマの市場自体も成長しているタイミングと重なり、本格的に事業を開始しました。

重要性増すIP活用 ドラマ起点でモノ売る仕組みを

―― 調達資金の使途について教えてください。

今回の調達資金は、主にコンテンツ制作とそのための人材採用に充当します。質の高い縦型ショートドラマを継続的に制作するため、クリエイターなどの採用を積極的に進めていく予定です。

また、AIなどの最新テクノロジーへの投資も重点的に行います。もちろん最後は人の手を加える必要がありますが、企画や脚本の作成にAIを活用していきます。制作費を削減していくためにも非常に重要な取り組みです。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

ヒット作を作り続けることは変わりません。今後注力する点でいえば、ドラマからIPを生み出して「HAーLU」というブランドを確立すること。たとえばスイーツ関連のショートドラマであればコンビニとのコラボスイーツ販売など、「ドラマをきっかけにモノを売る」ことには、来年以降さらに力を入れて取り組みます。

HA-LUのロゴは、ハートの中に星をあしらったデザインです。会社というコミュニティの中で、一人ひとりがスターとして輝くという意味を込めています。20代や30代の人が残りの人生でどこに身を置くかって、かなり重い選択ですよね。それでもHA-LUを選択してくれる人とは向き合って可能性を最大限に引き出し、一緒に未来を切り開いていくことで、日本の良いところを世界に広めていきたいと思います。

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