増加する事業会社によるスタートアップ投資を後押しする、CVCコミュニティ「FIRST CVC」が発足

増加する事業会社によるスタートアップ投資を後押しする、CVCコミュニティ「FIRST CVC」が発足

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KEPPLE編集部

日本国内のスタートアップへの投資額が増加の一途をたどる中、岸田内閣による「スタートアップ5ヵ年計画」をはじめ、国や自治体もスタートアップエコシステムの育成・発展を後押しする動きが加速している。2023年以降は不安定な世界経済の影響が少なからず予測されるものの、この数年で最も追い風が吹いており、さらなる発展が期待される。

なかでも近年、特に盛り上がりを見せているのが事業会社によるスタートアップへの投資活動だ。スタートアップへの投資を実行した事業会社の数は年々増加しており、2021年には9年前と比較して、約3.2倍となる764社となっている。また、CVCファンドの新設も相次いでおり、その規模は10倍に拡大している。

説明資料

FIRST CVC提供

日本のスタートアップエコシステムの中で、事業会社が存在感を高めている一方で、新たに投資活動を開始する企業にとってはさまざまなハードルが存在する。社内に投資経験を有する人材を抱えるケースは稀であり、投資活動に必要な知見や人脈がゼロの状態からスタートする。また、ベンチャーキャピタルの投資活動とは異なり、自社事業とのシナジーを求められるなど、事業会社ならではの課題もあり、その成功事例は国内においてはまだ多くはない。

それらの課題の解決を目指すとともに、さらなる事業会社のスタートアップ投資活動を実現する団体として、コーポレートベンチャーキャピタルコミュニティ(以下、CVCコミュニティ)「FIRST CVC」が2022年12月に正式発足した。

発足にあたり、FIRST CVC の運営を行う合同会社ブルーサークルの代表を務める山田 一慶氏に立ち上げの背景や今後の活動について、話を聞いた。

投資担当が抱える事業会社ならではの課題

オープンイノベーションの重要性も高まりを見せる中で、事業会社によるスタートアップへの投資は年々増加しており、スタートアップ投資における国内資金の32%を占める。金融機関を含めた広義のCVCで捉えると45%を超え、グローバルと比較しても高い割合となっている。また、事業会社が多くの独立系VCファンドの出資者となっていることを踏まえると、スタートアップエコシステムにとって、事業会社が提供する資金は極めて重要であると言える。

国もスタートアップエコシステムの発展における事業会社の重要性を認識しており、「オープンイノベーション促進税制」など政策による後押しに動いている。

説明資料

FIRST CVC提供

大企業を中心とした事業会社にとって、一般的な選択肢となりつつあるものの、新たに取り組みを試みる企業にとって、その立ち上げは必ずしも容易ではない。自身も大企業とスタートアップ双方で数多くの投資担当者とやりとりをしてきた山田氏は、事業会社ならではの難しさを語る。

「事業会社で投資活動を始める際は、いつまで続けるプロジェクトか明確に決まるわけではないので、外部から経験者を採用することは難しく、基本的には社内の人がアサインされます。大半の投資担当者の方は投資経験もなければ、スタートアップ投資に必要なネットワークもないところからスタートすることになります。加えて、純粋な投資活動を展開するベンチャーキャピタルとは⽬的⾃体が異なり、事業⾯のシナジー創出も狙っているためその活動は必然的に複雑になります」(山田氏)

また徐々に、事業会社によるM&Aや資本業務提携などによる連携事例が出てきてはいるものの、類型化されていなかったり、担当者間で十分に共有されているわけではないという。

「スタートアップへの投資活動に取り組む各事業会社は業界も企業規模もさまざまで、お互いに通常の事業活動では接点がありません。その結果、投資活動を推進する⼈々が、事業会社特有の課題やノウハウを横断的に共有したり、議論を交わす機会が無いという課題がありました」(山田氏)

CVCコミュニティでさらなる裾野の拡大を目指す

山田氏自身の経験も踏まえて、2021年に少人数の事業会社の担当者が集い、情報交換を行う交流会からスタートした FIRST CVC は、徐々に規模を拡大していき、現在は150社、約200⼈のCVC・事業会社の投資担当者が所属するコミュニティとなっている。

正式に発足した今後は、事業会社の担当者同士の勉強会やネットワーキングだけではなく、CVCに関する調査・広報活動、スタートアップとの連携強化など、オープンイノベーションとスタートアップ投資を促進する活動を幅広く展開していく予定だ。

山田氏は今回の正式発足にあたり、「これまで以上に事業会社による活動量が増えていって欲しい」と期待を込めて、活動に向けた意気込みを語る。

「上場企業だけでも3,800社以上ある中で、積極的にスタートアップに投資したり連携している企業はまだまだ少ないと思っています。もちろん投資だけでなく、スタートアップのサービスを利用したり、一緒にサービスを拡大していく活動が増えていって欲しいです。そして、それらの取り組みがオープンに伝わっていき、日本全体でよりスタートアップをサポートしていけるように、事業会社における活動の裾野を広げていきたいと思います」

「FIRST CVC には、幅広い業種、規模の企業に所属する投資担当者・責任者が集まっています。各社のCVC活動で⽣まれた創意⼯夫を相互に共有し、業界全体のアセットに変える ことで、“CVC活動の⾼速道路”として事業会社・スタートアップ双⽅の踏み込んだ連携を促 進し、事業会社によるイノベーション創出とスタートアップエコシステムの進化に貢献し、 ⽇本経済全体の発展につなげていくことを⽬指していきます」(山田氏)

国も後押しをする中で、FIRST CVC による活動で、スタートアップと連携する事業会社の裾野が広がるとともに、より素晴らしい事例が数多く出てくることを期待したい。

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