リスク管理を軸に構想する次の展開、未来のサプライチェーンを形作るResilire

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KEPPLE編集部

サプライチェーンリスク管理サービスを開発する株式会社ResilireがシリーズAラウンドにて、第三者割当増資による総額約6.2億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先はDNX Ventures、Archetype Ventures、DEEPCOREの3社。

今回の資金調達により、さらなるプロダクトの機能拡充や組織体制の強化を目指す。

サプライチェーンのブラックボックス化を解消

新型コロナウイルスの感染拡大は、多くのサプライチェーンに影響を与えた。中国の工場が稼働停止し、原材料の調達ができずに製品供給の一時ストップも珍しくはなかった。

同社が提供する「Resilire(レジリア)」は、自社のサプライチェーンをツリー構造で可視化してサプライチェーンリスクを管理するサービスだ。災害時には、被災の影響が予想される拠点にアンケートメールを自動配信し、回答結果をもとにレポートを作成することで、サプライチェーンへの影響を迅速に把握できる。

ツリーイメージ

サプライチェーンをツリー構造で可視化する(画像:Resilire提供)


直接の取引先だけではなく、その先の二次取引先以降も含めてサプライチェーンを可視化する。取引先にIDを付与し、二次取引先以降の情報を登録してもらう仕組みだ。Resilireで情報開示することで災害時の情報共有もスムーズになるため、取引先が情報を登録するインセンティブになる。

Resilireは2021年5月にリリース。医薬品や自動車などをはじめとした大手製造業を中心に数十社が利用する。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEOの津田 裕大氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

急務となったサプライチェーンのリスク予防

―― 御社が解決に取り組む課題について教えてください。

津田氏:変化の激しい現代では、コストを下げて効率的に生産するためにサプライチェーンが複雑化しています。日本国内に限らず、世界中から原材料などの調達を行うようになりました。

サプライチェーンが複数の国にまたがるようになったことで、リスクは増大しています。サプライチェーンのコストは下がったものの、リスクに対する対応力は低くなってしまっているのです。こうしたリスクへの対応には各企業が以前から取り組んでいましたが、コロナ禍をきっかけに急速に進む形になりました。

―― 従来のサプライチェーン管理ではリスクへの対応として不十分なのでしょうか?

多くの製造企業はサプライヤーの管理をExcelで行っていますが、数千・数万の拠点データをExcelで管理するのは容易なことではありません。また、トラブルが起きた際には、取引先に1件ずつ電話をして影響範囲を確認するようなことも珍しくありません。

一部の企業では、自社で内製したソフトウェアを用いてサプライチェーンの管理を行っています。システムを利用する際に課題となるのは、サプライヤーに、その取引先の情報をシステムに登録してもらうことです。

サプライヤー側には、システム上に自社の取引先情報を入力するメリットがないため、そもそもシステムに情報が登録されず、登録されたとしても情報が古くなっていってしまいます。結局Excel管理の場合と同様に、トラブルが起きた際の影響把握が困難になっています。

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―― 創業のきっかけは?

きっかけは、大阪北部地震・西日本豪雨で自身が被災したことです。ITを活用して、気候変動のリスクを予防できる仕組みが社会に必要なのではないかと考えるきっかけになりました。

投資家にピッチをする中でよく言われたのが、「気候変動のリスク予防は儲からない」ということでした。実際、事業として成り立たせるのはかなり困難で、防災のウェブメディアやボランティアの受け入れ管理サービスなどを作ったものの、当事者からマネタイズすることが難しいのです。

そこで大企業への営業も行いましたが、やはり未来のリスクに対して積極的に予算を割ける企業は多くありません。そこからサプライチェーンのリスク管理に転換したのは、コロナ禍にある製薬企業から問い合わせがあったことでした。

中国のロックダウンにより、その企業が直接取引しているサプライヤーではないものの、間接的に取引している二次・三次のサプライヤーからの薬の原料供給が止まってしまったのです。

一つでも原料が欠けると、製品の安定供給ができなくなってしまいます。これまで何度も事業アイデアを考えてきた中でも、この課題は一番根が深いと直感しました。それからサプライチェーンのリスク管理にフォーカスして事業展開しています。

リスク管理を軸にものづくりの安定性を

―― 資金調達の背景について教えてください。

これまでのサービス提供を通じて、サプライチェーン領域の繋がりの可視化をすることで、大手と比較しても遜色ない価値をユーザーに提供できるようになりました。

繋がりの可視化という点では、ここからさらに人権のデューデリジェンスなど、規制関連の対応に活用できます。リスク管理の入り口で事業を始めたことで得たデータから解決できる課題は大きく、それらを横断的に解決するためのプロダクト開発資金として資金調達を実施しました。
※ 強制労働等の人権リスクを特定して防止・軽減・情報開示を行う一連の流れ

Resilire利用の様子

人権尊重や紛争鉱物等のサプライヤー監査の取り組みにも注力する(画像:Resilire提供)


―― 今後の長期的な展望を教えてください。

今後は、サプライヤーとのリレーションシップをより効率的に管理するSaaSとして進化させていく予定です。規制対応だけではなく、品質やセキュリティなど、サプライチェーンに関するあらゆるリスクを管理できるよう広げます。

例えば営業が顧客管理ツール(CRM)を利用するように、見積や価格交渉など、取引に関する証跡・履歴を管理するようなイメージです。それを分析することで、よりコストやリスクを下げた意思決定につながるはずです。社会情勢の変化にスムーズに対応できるよう、サプライチェーンマネジメントを最適化できる製品を目指しています。

サプライチェーンの課題はグローバルにまたがるものです。現在は日本企業を中心にResilireを導入いただいていますが、導入企業のサプライヤーとしてIDが付与された海外企業がデータを登録することも増えています。2025年に100社へのResilire導入を達成し、ものづくりの安定性を実現していきたいと思います。

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