株式会社エアメンブレン

次世代半導体の製造工程で使われる保護膜を開発する株式会社エアメンブレンは、第三者割当増資、三井住友銀行からの融資、NEDO「GX分野のディープテック・スタートアップに対する実用化研究開発・量産化実証支援事業」の採択により、総額約8.5億円の資金を確保したと発表した。
第三者割当増資ではグローバル・ブレインがリード投資家を務めた。引受先は、グローバル・ブレイン9号ファンド、東日本旅客鉄道を主たる有限責任組合員とするTAKANAWA GATEWAY地球益投資事業有限責任組合、新韓-GBフューチャーフロー投資事業有限責任組合、エースタート、ケイエスピーが運営するNextG投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタル9号投資事業有限責任組合。これにより、出資・融資・助成金を含む累計調達額は約10億円となった。
エアメンブレンは、産業技術総合研究所(産総研)のグラフェン研究成果を基に創業したスタートアップだ。炭素原子がシート状に結び付いた極めて薄い素材「グラフェン」を活用し、半導体製造に用いる「EUV(極端紫外線)ペリクル」の開発・製造に取り組んでいる。
EUVペリクルは、半導体の回路パターンが描かれた原版(フォトマスク)を、微小な異物から保護する薄膜部品だ。先端半導体の製造では、EUVと呼ばれる光を使って微細な回路を形成する技術が用いられており、さらなる微細化を可能にする次世代技術「High-NA EUV」の開発も進んでいる。
こうした製造工程で使用するペリクルには、光を十分に透過させる薄さと、高温環境への耐性や放熱性、機械的な強度などが求められる。これらの性能を両立しながら、安定的に量産することが課題となっている。
同社は、産総研で培われたグラフェンの連続合成技術と自動転写技術を活用し、薄膜の品質を維持しながら効率的に製造する技術を開発している。同社によると、従来比100倍以上の合成速度を実現したほか、転写工程の自動化によって微細な欠陥や汚れを抑える技術を確立したという。
今回確保した資金は、グラフェンEUVペリクルの量産体制の構築に充てる。2027年には薄膜の欠陥や均一性、寿命を評価する計測体制を整え、試験的な生産(パイロット生産)を開始する計画だ。2028年には、次世代EUV露光装置向けの量産ラインの立ち上げを目指す。
あわせて、材料化学や薄膜製造、精密機械工学、光学計測評価などの技術者に加え、海外事業開発や経営管理を担う人材の採用を進める。研究開発から量産への移行に向け、製造体制と事業基盤を強化する方針だ。









