診断薬開発を支援、研究者のための新たな原料調達プラットフォーム

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KEPPLE編集部


診断薬のバイオ原料を輸入販売するCentral Link株式会社がシードラウンドにて、DUAL BRIDGE CAPITALを引受先とした5000万円の資金調達を実施した。

今回の資金調達により診断薬の原料販売を進め、M&Aや事業譲渡を通じた事業規模の拡大を目指す。

診断薬原料の仕入れをスムーズに

診断薬(体外診断用医薬品)は、がんやインフルエンザなどの疾病を体外で検査する医薬品だ。

主に血液や鼻水、便といった患者検体に含まれる病原体に、診断薬中の抗体・抗原が反応することで陽性か否かを判定する。新型コロナウイルスの感染拡大時には、新型コロナウイルス検査キットを用いて感染有無の確認をすることも増えた。

現状、診断薬の原料のほとんどは海外からの輸入に依存している。原料調達には商社や代理店など、複数の取引を経るために研究者や開発者の手元に届くまでに時間がかかる。

Central Linkは診断薬材料の調達サービス「検体ナビ」を提供し、専門商社として中間マージンを排除して調達を行うことで、短納期で原料を納入することが可能だ。2022年度の売上は、創業2期目ながら3.6億円となった。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 側原 正太氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

業界構造に起因する研究者の課題を解決

―― 診断薬の原料調達に関する現状について教えてください。

側原氏:身近なものでは新型コロナウイルスの検査キットなど、疾病の検査をする際に利用するのが診断薬です。特異的反応により病原体やバイオマーカーと結合する抗体や患者検体などをもとに、日々新たな診断薬が研究開発されており、試薬の制作が行われております。

そのため、診断薬の開発を行う上で、抗体や血液といった原料を取り扱う専門商社の存在は欠かせません。自社で原料を調達することもありますが、常に適正な環境下で管理することが難しいために、専門商社から原料を調達することが一般的です。

原料のほとんどは、海外からの輸入に頼っている現状があります。診断薬の主な原料となる抗体・抗原の多くはマウスやウサギといった動物から採取しますが、国内では生産数が少なく、診断薬原料の開発は海外で積極的に行われているために、海外で製造された原料を輸入する場合がほとんどです。

また、ヒトの血液も原料として利用されますが、日本の法律では、日本人の血液を採取して販売することはいわゆるグレーゾーンとされています。規制を緩和しようとする動きはあるものの、依然として海外で製造された血液の輸入に頼っている現状です。

―― 原料の調達に関してはどのような課題がありますか?

原料輸入を海外に依存していることや業界特有の構造に起因して、最新の情報や原料を入手しづらく、診断薬の開発が遅れてしまう課題があります。

診断薬の原料商社は従業員50名以下、年間の売上高が50億円ほどの中小企業10社程度が存在する市場です。領域が非常にニッチで競合も少なく、付き合いの長い取引先からの、需要が一定な主要原料の注文で発生する売上で満足してしまう企業が少なくありません。

そのため研究者に対して、積極的に最新の情報を提供する営業はほとんどいません。研究者が必要とする情報提供がされず、取引時の連絡の遅れなども多々あります。こうした業界構造は、診断薬の研究開発スピードに影響します。

研究者の悩み

―― 原料商社としての御社の特徴について教えてください。

多重構造的な業界のサプライチェーンに対して、弊社では直接海外のサプライヤーと取引を行っています。サプライヤーから、新たな原料の情報をいち早くキャッチアップして研究者に有益な情報を提供し、主流でない原料であっても販売することが可能です。加えて従来は約4週間かかっていた原料調達を、弊社では半分の2週間で行うことができます。

また、原料の中でも血液をメインに扱う商社は年々減少しています。当社は世界中のサプライヤーとのコネクションを活かし、検体ナビ上で血液の在庫情報を確認することが可能です。必要な血液を即座に届けられる仕組みを構築している点は大きな特徴です。

―― どのようなきっかけからCentral Linkを創業したのでしょうか?

前職ではバイオ原料の専門商社に勤めていたのですが、ヒトやその他、皆さんがご存じの動物が関連する商材がビジネスになるということに面白みを感じていました。世界で最新の情報を研究者に提供し、研究開発に少なからず貢献できる仕事にワクワクしており、社会的意義や・得られる達成感も非常に大きく、この領域で仕事を続けたいと思っていました。

やりがいのある仕事である一方で、研究者への積極的な情報提供をする営業は多くありませんでした。研究者に必要な情報が届かず、それでも安定した売り上げが立ってしまう業界構造に違和感を覚え、業界の底上げをしたいという思いで創業しました。

診断薬分野から研究開発を促進

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

これまでは、自身の業界経験をもとに診断薬・製薬メーカーへ営業をしながら売上を作ってきましたが、我々は他の商社を超えて、業界トップの売上規模になることを目指しています。今後さらに成長していくための専門的な経営支援を目的として、DUAL BRIDGE CAPITALからの資金調達を行いました。

主には検体ナビの開発、人材採用に資金を充当する予定です。業界での勤務経験がある方を中心に、CXOクラスのポジションやエンジニア、営業の採用を強化していきます。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

足元では、2024年度に売上5億円を達成するために、検体ナビを通して業界のアナログな構造を変え、原料の流通を支援していきます。加えて、M&Aや事業譲渡を通じた成長も予定しています。

サイト上で原料の購買記録を共有できるなど、検体ナビの利便性向上にも取り組みます。研究に関する情報は、これまで研究者間では積極的に共有されてきませんでした。例えば、研究室に検体を保管したまま研究者が異動してしまうと、残された研究員はその検体が何なのかすら把握ができないこともあります。その結果、購入した検体を有効利用することができず、効率的な購入が出来ないこともあると思います。研究者間で情報が共有できれば、より効率の良い研究にもつながるはずです。

商材としては診断薬の原料に限らず、より市場の大きなワクチンや再生医療で使われる原料を扱えるように規模を拡大する想定もしています。こうした取り組みを通じて、10年以内に売上高は50億円以上に成長させることが目標です。

さらに、今後は我々自身が原料のサプライヤーとなり、海外で原料を生産してエンドユーザーへ届けるまでを、一貫して行うことを構想しています。商社のレベルが高くなければ、研究開発は進歩しません。我々が業界を牽引し、海外と日本をつなぎながら革新的なサービスを提供していきたいと思います。

Central Link株式会社

Central Link株式会社は、国内の体外診断薬メーカーや医薬品メーカー向けに、バイオ原料・研究用試料(ヒト生体試料・抗原・抗体など)を輸入・販売する企業。 同社は、血液や生体試料の調達の際に、疾患名やマーカー名を検索できるサービス『検体ナビ』を運営する。健常人検体も取り扱う。 そのほか同社では、FBS(ウシ胎児血清)の販売を行う。主にアイルランド産とメキシコ産の2種類を取り扱うが、その他も取り寄せ対応が可能だという。

代表者名側𠩤正太
設立日2020年10月12日
住所東京都八王子市みなみ野3丁目11番21号
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