【開催レポート】アカデミア発の技術を事業へ──「1stRound」第15回採択企業ピッチ交流会レポート

【開催レポート】アカデミア発の技術を事業へ──「1stRound」第15回採択企業ピッチ交流会レポート

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KEPPLE編集部
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東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)が運営する創業成長支援プログラム「1stRound」の採択企業交流会が、2026年10月2日、東京都文京区で開催された。第15回採択の8チームのうち、当日は7チームが登壇。AI、資源循環、がん検査、再生医療などの分野で、事業化に向けた取り組みを紹介した。

1stRoundは、大学・研究機関の技術シーズを事業につなげるプログラム。株式の取得を伴わないノンエクイティ型の資金支援に加え、資金調達や実証実験、チームづくりなどを支える6カ月間のハンズオン支援を提供する。

東大IPCによると、過去9年半で累計118チームを採択し、会社設立や資金調達を支援してきたという。採択先の資金調達成功率は約90%、大型助成金の採択率は50%以上にのぼる。10月5日の採択発表では、茨城大学と物質・材料研究機構(NIMS)の新規参画も公表され、共催機関は24大学・6国立研究機関となった。

今回の交流会では、各チームが技術の特徴や事業構想を発表するとともに、実証や市場への展開に向けた課題についても議論が交わされた。当日の発表から、採択チームの取り組みを紹介する。

技術を現場に届ける、採択チームの挑戦

株式会社Layer8

攻撃者の視点でシステムの弱点を調べる、AIペネトレーションテストサービス「Trident」を手がける。専門家の手作業を中心とする診断では、費用や実施期間が障壁になると指摘。AIによる探索・検証と専門家のレビューを組み合わせ、低コストで継続的な診断を目指すという。

株式会社エンカーマス

静岡大学発の超臨界・亜臨界流体技術を活用し、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)のリサイクルに取り組む。高温・高圧下の流体で樹脂を分解し、強度の低下を抑えながら、長い状態の炭素繊維を回収できるという。使用済み製品を再び構造材として利用し、高品質な再生材を新品より安価に供給することを目指す。

SonarPore

東京大学の1分子計測技術を基盤に、がんの診断を支援する血液検査の開発に取り組む、設立準備中のチーム。微細な穴「ナノポア」を用いた計測と機械学習により、血液中の分子集団のパターンを解析するという。まずは炎症とがんの判別を研究対象とし、今後は医療機関と連携してヒト検体での検証を進める方針だ。

株式会社GENSHI AI

医師としての知見とAIの開発力を生かし、医療現場向けの生成AI基盤やアプリケーションを開発する。病院向けの「MedLocal」や医師向けの「CHUBEN」、音声認識技術を通じ、文書作成や情報検索などを支援するという。患者情報の取り扱いを踏まえ、院内での運用や国内での推論を重視しているとしている。

株式会社AiMii

ウェアラブルデバイスと、画像・映像と言語を扱うVLM(視覚言語モデル)を活用し、業務の観測と自動化に取り組む。会話の記録とPCの画面収録を組み合わせ、自動化できる箇所の発見から提案、実行までを支援するという。効率化の技術に加え、「効率化できる業務を発見する価値」を提供すると強調した。

株式会社IntES

ES細胞(胚性幹細胞)から作製する「腸シート」を用い、潰瘍性大腸炎やクローン病などの治療法を開発する。損傷した部位にシートを貼り、腸粘膜の再生を促すことを目指すという。チームが過去のES細胞の臨床開発で培ったノウハウを生かし、大学病院での医師主導治験を経て、企業治験へ移行する計画を示した。

Metis Technologies, Inc.(旧DesignFlowAI)

設計者の情報探索を支援する「Metis」を開発する。CADなどの既存ツールと連携し、社内に散在する設計要件や過去の知見を、設計中の部品に関連付けて提示する仕組みだという。設計者とのやり取りを通じて暗黙知も記録し、情報探索の負担軽減と、ベテランの知識を組織に残すことを目指している。

採択から実証・事業化へ、次の一歩

交流会では、各チームによるピッチに加え、支援担当者のコメントや質疑も行われた。技術の特徴だけでなく、実際の導入方法や事業化に向けた課題についても議論が及んだ。

大学や研究機関の研究成果を事業につなげるには、研究開発を支える資金や経営人材の確保に加え、顧客ニーズの把握や実証の積み重ねが求められる。今回の発表では、各チームが顧客へのヒアリングや産業界との連携を進めながら、技術の実用化に向けた課題に取り組んでいることがうかがえた。

1stRoundの支援を受け、各チームが研究成果を今後どのように社会実装へつなげていくのか。各チームの実証や事業開発の進展が注目される。


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