英語が不得意でもグローバルビジネスは成立する 海外市場で戦うスタートアップのリアル(前編)

英語が不得意でもグローバルビジネスは成立する 海外市場で戦うスタートアップのリアル(前編)

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2024年11月6日から8日にかけて、福岡市で開催された日本最大級の招待制カンファレンス「B Dash Camp 2024 Fall in Fukuoka」。その中でも注目を集めたセッションの一つが「世界で稼ぐ!スタートアップの戦い方」だ。

このセッションでは、インターステラテクノロジズCOOの熱田圭史氏、ICHIGO代表の近本あゆみ氏、NextNinja代表の山岸聖幸氏が登壇し、モデレーターを経営共創基盤の塩野誠氏が務めた。各氏がグローバル市場での成功戦略や挑戦について語り合い、実体験をもとにした知見を提供した。本記事ではその様子をお届けする。

日本人比率は3割?採用戦略を聞く

塩野 グローバルセッションということでですね、世界の稼ぎ方ということなんですけども、控え室の方で軽く話をお伺いしただけでも、めちゃくちゃこれは楽しい興味深い話がいっぱいなので、ここでもかなりいろんなお話をお伺いできるかなと思います。まず最初に簡単に自己紹介を皆様の方からお願いできればと思います。

熱田 インターステラテクノロジズというロケットを開発してる会社なんですけども、今COOをやっております熱田と言います。要はディープテックと言われている分野です。お客様も、ほぼ8割ぐらいは将来的には海外のお客さんっていうところで、事業開発をどんどん整備するところをチームを作ってやっている状況にございます。本日はよろしくお願いします。

近本 株式会社ICHIGOの近本と申します。私達は2015年に創業した会社ですけれども、創業から一貫して越境ECをやっておりまして、お客様は100%外国人っていうようなことをやっています。売っているものとしては日本のお菓子が中心になるんですけれども、お菓子以外にも雑貨類ですとか化粧品なんかを箱詰めにして、それを海外に住んでいる個人のお客様に向けて直接日本から配送するというようなビジネスをやっております。

山岸 NextNinjaの山岸と申します。我々はですね、スマートフォンのゲームを提供している会社なんですけど、大体海外売り上げ50%ぐらいで、将来的には90%ぐらいまで持っていきたいなと思っています。今伸びているのが海外のほうが大きく、日本のアニメIPをゲームで海外に提供しているというような会社です。

塩野 もう宇宙・越境EC・ゲームとかなり違うジャンルではあるんですけども、皆さんかなり会社を多国籍化・多様化しているというところだと思います。今回グローバルセッションですけども、市場として海外市場を狙うというお話と、スタートアップであれば投資家が海外から来るみたいなところで、海外でマーケットとして投資家インバイトすると、バリュエーションがめっちゃ上げられるみたいなありますのでちょっとそこら辺をですねいろいろお伺いしたいと思いますけども、熱田さんのほうから順に、今社内の外国人比率を教えていただけますか?

熱田 弊社ですと、いろいろ規制というところがあってまだ全然多くはないんですけども、だいたい3%ぐらいの割合です。将来的には50%ぐらい増やしていこうって感じですけども、時間軸でいうと大体2年以内にはそういうふうにしていこうになっています。

近本 うちは、正社員で見ると7割くらいが外国人になっています。

塩野 日本人が3割?マイノリティーですね。

近本 めちゃくちゃマイノリティーですね。私は全然英語が堪能じゃないんですけど、7割外国人がいると、日本語がペラペラな外国人とちょっと片言な方、日本語が全く喋れない方っていうのがいらっしゃったとしても、結構その組織としてしっかり回ってくるんですね。

日本が好きな外国人材を採用する

塩野 山岸さんにもお伺いします。

山岸 うちは10%くらいですね。なので弊社の場合は、全部日本語で話しています。90%が英語を喋らないので、日本語能力試験1級を持っている方だけを採用して、日本語で10%の海外の人と国内も海外の事業も作っています。

塩野 なるほど。その1割の方っていうのは、どういう属性なんですか?

山岸 1つはアニメ好き。アニメ・ゲーム・日本大好き。たぶんうちに来てくれるメンバーが本国に帰ると、もしかしたら給料上がるかもしれません。一部のメンバーとかはお父さんに帰ってきなさいと言われているんですけど、「帰りたくない、Nextninjaで働きたい」と。皆さんテレビやアニメに関わりたいと思ってくれています。

Nextninjaの山岸氏

塩野 日本語がバリバリできる。そういう方ってホイホイ取れるものなんですか?

山岸 意外と取れます。頑張れば結構採用できます。

塩野 NextNinjaの場合は、みんなが英語対応するぞとかではなく、外国の方々に日本に寄せていただいている?

山岸 そうなんですよ、寄せていただいてて。海外の人をめちゃくちゃ雇わないと駄目、英語を勉強しないと駄目とかではなくて、日本が好きで日本語をしゃべれる方を入れると、いきなりグローバルいけるよっていう。

塩野 なるほど。近本さんの7割ってすごいですけども、創業時からそんな感じですか?

近本 2015年に始めたんですけど、私と共同創業者の2人で始めてまして。その方がまず外国人なんですね。日本に留学していた元々留学生で、日本語のほかに英語、中国語と4か国語がペラペラという方とそもそも始めているので、言語の壁みたいなものは、私はそんなには感じなかったです。

塩野 最初から越境ECでお菓子であったり日本の雑貨を売ることを考えていたんですか?

近本 私が元々前職で会社員時代に国内向けのECのサービスに携わってまして、そこでECの知見というのを持っていたんですけど。ちょうどその頃、インバウンドとか爆買いみたいな言葉が入り始めて2010年代の前半ごろだったんですけども、「日本のものを海外に売ったらめちゃくちゃポテンシャルってあるんじゃないかな」と思ってまして。そのときはまだそんなにプレイヤーとかも多くなかったし、自分にもできるかもっていうふうに思ったんですけど、私が全然英語が堪能じゃなかったので、初めから外国人のパートナーと一緒にやりたいなっていう思ってそれで探してそういう人と一緒に創業したという感じです。

ICHIGOの近本あゆみ氏

ピンポイントでその人を探したってわけじゃないですけど、いろんなコミュニティに出ていって自分がこういうことやりたいんだけどみたいなことを言い続けてたら、たまたま出会うことができて。

なので私の感覚としては、英語とかできなくても全然グローバルビジネスって仕組み化すればできるなっていうふうに身をもって感じています。

海外人材の採用ルートは多様 求人媒体にSNSも駆使

塩野 宇宙ですと政府も絡むハードコアなビジネスでもありますし、先端のエンジニアを集めなきゃいけないですけども、そういう仲間ってどう集めるんですか?

熱田 仲間集めは、一番初めは海外のカンファレンスに行ったりしてたんですけれども、めちゃくちゃ効率悪いなって2年前ぐらいに思い始めて。それからLinkedInを使ってます。

例えばですけども、実はロケットの分野で言うと、ロケットを打ち上げられる国というのは大体5ヶ国ぐらいしか世界にありません。やっぱり自分の国でロケット打ち上げられないっていう国の方、かつ日本と比較的安全保障の文脈で近い国でいえば、LinkedInから結構流入してきてます。昔は、採用されたいという人はそんなにいなかったんですけど、今はだいたい日本人と同じぐらいの数が来てて。

経営共創基盤の塩野氏(左)とインターステラテクノロジズの熱田氏(右)

塩野 LinkedInはありですよね。海外のカンファレンスとか行くと、今ってもう全然名刺交換ってしなくなっちゃいました。LinkedInでつながるみたいな感じになっちゃってるんで、そういう人材とるんだったらLinkedInまず最初に来ますね。

山岸 僕らは初めは人づてで、一番初めに採用したのがハーフの方。そういう人がまずいないかどうか人づてで集めていって、あと留学生の媒体とかいろんな媒体があって、日本に来たい人向けの媒体もあるんですよ。

塩野 近本さんいかがですか?

近本 私達は一番最初は結構日本人の方を採用したりしてました。デザイナーとかマーケターとか。日本人の方を採用したりしてたんですけど、やっぱり100%海外向けで、海外の方にきちんと買ってもらえるようなプロダクトを作らないといけないっていうことで、日本人はなかなか難しいんですよね。

やっぱりもうずっと慣れ親しんできたデザインだったりとか、マーケティング、クリエイティブとかっていうのが日本と私達の一番のターゲット国はアメリカなんですけど、全く違うものなので、これはもう日本人には作れないなと思いまして、途中から採用路線とかも切り替えて、外国人の方を積極的に採用するようになりました。

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