スタートアップ成長のカギとなるストックオプション、その活用法とは

スタートアップ成長のカギとなるストックオプション、その活用法とは

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KEPPLE編集部

3月28日、「急成長企業の事例から見るストックオプションを活用したスタートアップの組織運営」と題して、スタートアップ経営層向けのウェビナーが開催された。

本ウェビナーは、後払い決済サービスを手掛けるネットプロテクションズとスタートアップ・投資家向け事業を展開するケップルによる共催のシリーズセミナー。

強い組織作りに活かすべきストックオプション(以下:SO)の活用事例や注目を集めるデットファイナンス、セールスイネーブルメントによる営業力強化など、経営に役立つさまざまな知見を総合的に深めることを目的とした全3回の第1回目となる。

イベント前半では、スタートアップにおけるSOを活用した組織運営について、ケップルのチーフアナリストを務める谷口 毅が実際の事例をもとに解説した。後半は、ネットプロテクションズのシニアアカウントエグゼクティブである三上 高広 氏が「アウトソーシングを活用した組織の運営方法」というテーマについて触れた。

本稿では、ウェビナーの内容を一部抜粋してお届けする。

SOの概要と最新動向

イベントの冒頭では、あらためてSOの概要と昨今のSOに関する動向について触れた。

ご存知の通り、SOとは一般に、新株予約権(将来一定の条件・価格で株式を購入できる権利)のうち、役員や従業員等に対して報酬として付与されるものを指す。

特に相対的にさまざまなリソースや信用力が不足している未上場のスタートアップにおいて、優秀な人材の獲得や企業価値向上のインセンティブ付与として、重要な成長戦略の一つと言える。

一方で、SOの導入・活用にあたっては、行使価額や付与株数などの設計次第で、不公平感を生み出し、むしろ逆効果となってしまう可能性もあるため、慎重に検討しなければいけない。

また、SOの発行・運用には、株式に関する法律や税制の知識が必要となるため、必要に応じて、専門家へ相談することが求められる。取締役会もしくは株主総会での決議も必要となるため、制度運用の計画が大切となる。

いくつかの留意点はあるものの、特に未上場のスタートアップにとっては採用上の大きな武器の一つとなるため、その活用に関して国も積極的な後押しを進めている。

2023年7月に国税局より公表された改正租税特別措置法関係通達で、スタートアップ企業などの未上場の株式については、財産評価基本通達に基づく特例方式で株価を算定できるとした。これにより、これまでより低い権利行使価額の税制適格SOの発行が可能になった。

また、令和6年度税制改正大綱には、保管委託要件の緩和、権利行使限度額の引き上げ、社外高度人材への適用緩和が盛り込まれ、税制適格SOの使い勝手が向上するなど、さらなる活用が期待される。

ストックオプション税制拡充の概要

画像:経済産業省「令和6年度税制改正に関する経済産業省要望【概要】」より

急成長企業におけるSOの活用事例

上場企業の事例:ウェルスナビ

続いて、本題であるSO活用事例として、まず取り上げたのはロボアドサービスを提供するウェルスナビだ。典型的な設計事例として、ケップルのチーフアナリストを務める谷口 毅が解説した。

ウェルスナビは2015年4月に創業。創業からわずか5年後の2020年12月にマザーズ市場への上場を果たしたことで注目を集めた。

同社は2016年から上場するまでに毎年役職員にSOを付与し、早期からインセンティブを付与していた。上場前年の2019年にはSO付与を年2回に増やしている。

SOの付与対象は企業によりさまざまだが、ウェルスナビは従業員の多くにSOを付与していると推測される。ウェルスナビのように、多くの従業員にSOを付与することで採用候補者への訴求にもなる一方、優秀層の不満を招く可能性がある点は考慮が必要だ。

SOによるリターンはIPOの可能性、SO保有比率、企業の成長期待の主に3つの要因で見積もられる。IPO直前でSOが付与された場合、IPOの可能性は高いと考えられる一方、SO付与対象者が多い場合、各自の保有比率は少なくなると想定できる。「リターンの最大の変動要因は成長期待であり、企業は成長ストーリーを示すことが最重要。上場後に株価を上昇・維持できるかどうかで従業員から見たSOの魅力が変わる」と強調された。

未上場企業の事例としては、評価額ランキング上位で建設DX関連の事業を手掛けるアンドパッドに触れ、続いてネットプロテクションズのセッションに移った。

アウトソーシングを活用した急成長組織の運営方法

後半は、スタートアップの成長過程における間接業務の増加や、それに伴うバックオフィスの人員不足に焦点があてられた。解決策として取り上げたのがネットプロテクションズの「NP後払い」だ。

NP後払いは、取引先企業の与信管理から請求書発行、債権管理まで代行するサービスだ。取引データを入力するだけで、ネットプロテクションズが紙や電子の請求書を発行し、入金遅延時は補償も行う。スタートアップは経理業務に時間を取られずに本業に専念できるメリットがある。

スキマバイトのタイミーや勤怠管理サービス開発のDONUTSなど、急成長を遂げたベンチャー企業が多数利用している。発行する請求書が10倍に増える中でも経理担当者を増やさずに済んだ事例もあるほどだ。

NP後払いの活用により、バックオフィス業務の効率化に留まらず、役職者や従業員へのSO付与を検討する前のフェーズから組織作りに専念できる。登壇したネットプロテクションズの三上氏は、「事業そのものの魅力で人材を惹きつけ、優秀な人材の定着に注力することが大切」と述べて後半セッションを締めくくった。

気になる「SOの付与タイミング」

セッション後は質疑応答の時間も設けた。当日挙がった質問と回答を紹介する。

質問. SO付与は入社時と役職就任時のどちらが良いか?

回答. 「会社の状況に合わせて判断が必要。CXO就任を見越した候補者の入社時はSO比率を高めた付与が多い。幹部候補者が複数の場合は、段階的に付与するのも効果的」(谷口)

質問. SO行使後の退職リスクにどのように対応すべきか?

回答. 「基本的なところではベースの給与を上げる方法がある。また新たな挑戦に魅力を感じるスタートアップの幹部クラスは多いので、新規事業や組織構築を任せるなど仕事に関するモチベーションを高めることが重要。一方で、幹部クラスの退職は発生してしまうので、引き継ぎできる右腕的な存在の育成を当初からミッションに組み込むとスムーズ」(谷口)

次回テーマは「セールスイネーブルメント」

政府の「スタートアップ育成5か年計画」策定に象徴されるように、日本経済発展においてスタートアップが果たす役割への期待は大きい。スタートアップに流入する大企業出身の人材も増えた。

創業初期のスタートアップが優秀層の獲得に活用するSO。今後、新たな税制に関する変更の可能性もある。SO関連の話題には今後も注視が必要だ。

SOを活用した組織運営に続き、第2回はセールスイネーブルメントをテーマに4/22(月)16時よりウェビナーを実施予定だ。営業支援サービス提供のSales Markerとネットプロテクションズが、「注目のBtoB企業が語る急成長を実現するためのセールスイネーブルメント」について語る。

セールスイネーブルメントウェビナーのバナー

<イベント概要>
日 時:2024年3月28日(木)17:00-18:00
共 催:株式会社ネットプロテクションズ / 株式会社ケップル

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