(2022年5月2日週) 海外資金調達 Weekly <Seed&Early編>  Xepelinが1.1億ドル調達 SMEsが9割超の南米で「全ての企業に金融サービスを。」

(2022年5月2日週) 海外資金調達 Weekly <Seed&Early編>  Xepelinが1.1億ドル調達 SMEsが9割超の南米で「全ての企業に金融サービスを。」

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KEPPLE編集部


この記事では、5月2日週に資金調達が報道されたシード・シリーズA・シリーズB(それぞれプレラウンドを含む)の企業を調達額順に紹介します。

シード第1位 Ankere Therapeutics(資金調達額711万ドル)

シードラウンドで711万ドルを調達したAnkere Therapeuticsは、独自の低分子科学に基づき、肺炎症疾患の新治療法を開発するバイオテクノロジー企業であり、本シードラウンドの調達とともにローンチされました。炎症性肺疾患は全世界で約5億5千万人がかかっているといわれ、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症、慢性・急性気管支炎、肺気腫、嚢胞性線維症などがあり、診断後3~5年と生存率が低いタイプもあります。(※1)なかには治療法が確立されていない疾患もあり、Ankere Therapeuticsは新たな治療法を開発することで肺疾患患者を支援します。


シード第2位 DeltaX(資金調達額100万ドル)

シードで100万ドルを調達した企業はナイジェリアのNorebase、南アフリカのGoMetro、ボリビアのDeltaXと3社ありました。今回はDeltaXを取り上げます。

ボリビアのスタートアップエコシステムは未だ黎明期にあり、Crunchbase上で確認できる資金調達は2021年に5件、2020年以前は年1件にとどまっています。ボリビアには法的根拠がないためにアクティブなVCファンドが存在せず、多くのスタートアップがVCファンドへのアクセスが限られている状況です。こうした困難な環境下で今回調達を行ったDeltaXは貨物輸送のプラットフォームであり、チリのMagma Partnersが調達を主導しています。同様の領域でサービスを展開している企業にはユニコーン企業であるConvoyやLoadsmart、Sennder等がありますが、DeltaXはアンデス地域に特化しています。

アンデス地域では路上輸送を担う100万人近い独立系トラックドライバーがおり、路上輸送に約500億ドルが費やされていると推定されていますが、アナログで事業が行われており非効率かつ分断が生じています。DeltaXは荷主と運送会社、多数のトラックドライバーをつなぐとともに、貨物のトラッキングやコミュニケーション支援、出荷書類表示などを展開しています。同社はドライバーのニーズに即したサービスを展開することで、1,300人のトラックドライバーを同プラットフォームに抱えています。(※2)


シリーズA第1位 Walnut(資金調達額1億1,000万ドル)

シリーズAの調達で調達額が大きかったのは医療費支払いのBNPLを手掛けるWalnutです。同社によると、アメリカでは毎年50万世帯が多額の医療費を理由に破産を宣告しており、3人に1人が医療費の負担を懸念し、医療を受けるのを控えているといいます。Walnutは医療費の大きな負担を緩和するため、POS型融資としてBNPLを展開することで医療を手の届くものにしています。

Walnutの通常の後払期間は3,6,12か月ですが、金額が大きい場合には48か月の期間を選択することができます。同社は、この半年間で毎月50%ずつ収益を伸ばし、今では数千人の患者による請求書の分割支払いを支援しているといいます。(※3)


シリーズA第2位 KAWO(資金調達額1,000万ドル)

シリーズAで1,000万ドルを調達したのは中国のKAWO(科握)、米国のAva、Heardと3社ありました。今回はブランディング・マーケティングのためのソーシャルメディア管理プラットフォームであるKAWOを取り上げます。

KAWOのプラットフォームではソーシャルメディアのアカウント管理、キャンペーンのスケジューリング、チームや顧客とのコラボレーション、データ分析、競合モニタリングなどを行うことができます。微博(Weibo)、微信(WeChat)、TikTok中国版の抖音(Douyin)、快手(Kuaishou)に対応しており、小紅書(RED)やビリビリ動画(Bilibili)等も対応予定です。

現在、ロレアルやFIFA(国際サッカー連盟)、ナイキなど500以上の国際ブランドがKAWOのサービスを導入しており、プラットフォームの売上高はすでに1000万元(約2億円)規模に達しています。契約更新と付加価値サービスの販売を含むリピート率は100%を超えています。(※4)

同様のサービスを展開するグローバル企業としてはSprout Social、Sprinkler、Hootsuiteなどがあります。このうち、KAWOと提携しているSprout Socialは2019年12月に約8.1億ドルの時価総額でNasdaqに上場しており、2022年5月10日時点での時価総額は約21億ドルとなっています。Sprout Socialの上場した2019年の売上は約1.0億ドル、2021年の売上は約1.9億ドルでした。


シリーズB第1位 Xepelin(資金調達額1億1,100万ドル)

シリーズB1社目は1億1,100万ドルを調達したB2Bフィンテック企業のXepelinです。Xepelinのプラットフォーム上で、中小企業は請求書の支払い指定、ビジネスの収入、支出、買掛金の管理、キャッシュフローの予測といったリアルタイムの財務情報管理ができるとともに、融資を受けることが可能です。

同社はチリ、メキシコを中心にサービスを展開しています。昨年7月のシリーズA以来、同社はチリとメキシコで顧客数を5倍以上に増やし、メキシコでの収益を60倍に伸ばしたといい、この3年間での融資実績は10億ドル超に上ります。(※5)


シリーズB第2位 Redcliffe Lifetech(資金調達額6,100万ドル)

シリーズBで6,100億ドルを調達したRedcliffe Lifetechは病理診断サービスを展開しています。同社は、14都市に22の最新鋭ラボを有しており、オンラインチャネルと、100都市以上で在宅サンプル採取を行う高度な訓練を受けた400人の採血担当者、500の採取センターのオフラインネットワークを組み合わせてサービスを展開しています。従来の競合他社よりも25~60%安い非常に手頃な価格で3,500種類以上の病理検査や遺伝学などの専門的検査を提供できるようになっています。(※6)

世界銀行によると、約14億人の人口を抱えるインドでは、人口の65%が農村部に住んでおり、医療へのアクセスは継続的な課題となっています。同社は今回の資金を大都市だけでなくより広範なTier-2~4の都市(人口10,000~99,999人)に展開するために利用する予定であり、今後5年で5億人以上にリーチすることを目標としています。



ラウンド別の主要案件は下記のとおりです。



※1
https://www.unisa.edu.au/media-centre/Releases/2022/$10-million-investment-fuels-promising-treatments-for-inflammatory-lung-disease/
※2
https://techcrunch.com/2022/04/28/deltax-wants-to-digitize-the-andean-regions-trucking-sector/
※3
https://techcrunch.com/2022/05/05/walnut-buy-now-pay-later-health-series-a/
※4
https://36kr.jp/183953/
※5
https://xepelin.com/blog/fintech/xepelin-levanta-111-mdd-en-serie-b
※6
https://yourstory.com/2022/05/healthtech-startup-funding-online-diagnostics-platform-redcliffe-lifetech-leapfrog-investments/amp


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