(2022年5月16日週) 海外資金調達 Weekly <Seed&Early編> Thrasioスタイルの企業が過熱するインドのEコマース市場

(2022年5月16日週) 海外資金調達 Weekly <Seed&Early編> Thrasioスタイルの企業が過熱するインドのEコマース市場

    この記事では、5月16日週に資金調達が報道されたシード・シリーズA・シリーズB(それぞれプレラウンドを含む)の企業を調達額順に紹介します。

    シード第1位 Neso Brands(資金調達額1億ドル)

    シードラウンドで1億ドルを調達したNeso Brandsは、先日1億ドルの調達を43億ドルの評価額で行った、オムニチャネルで眼鏡・サングラスを販売するシンガポールのユニコーン企業Lenskartのインドにおける子会社です。同社はアイウェアブランドのロールアップを進めています。

    インドのEコマース市場は2021年の462億ドルから2030年には3,500億ドルに成長すると想定されています。(※1)E-commerceブランドを買収して拡大させるロールアップ企業(米国のスタートアップに倣いThrasioスタイルと呼ばれる)は一つの潮流となっており、Mensa Brands(2021年11月シリーズBにて1億3,500万ドル調達。企業評価額10億ドル超)やGlobalBees(2021年12月シリーズBにて1億1,000万ドル調達。企業評価額11億ドル)などのユニコーン企業も誕生しています。


    シード第2位 Pemo(資金調達額1,200万ドル)

    シードで1,200万ドルを調達したPemoは中東・北アフリカ・パキスタン地域で中小企業向けにスペンドマネジメントを展開する企業です。同社は法人用プリペイドカード、請求書支払いシステム、費用管理機能を一括で提供しています。IMFの2019年のレポート(※2)によると、同地域では中小企業が企業全体の96%を占めていますが、8割近くの企業が銀行のクレジットにアクセスできておらず、クレジットギャップの大きなマーケットとなっています。クレジットカードを持たない企業の支払い管理プロセスをデジタル化する役目をスペンドマネジメント企業が担っており、今年3月には同じくアラブ首長国連邦拠点とするPluto(600万ドル)やAlaan(250万ドル)もシードラウンドでの資金調達を行いました。


    シリーズA第1位 Elwood Technologies(資金調達額7,000万ドル)

    シリーズAの調達で調達額が大きかったのはElwood Technologiesです。同社は暗号通貨交換所や流動性プロバイダー、カストディアン等とAPIで連携し、大規模な取引が必要な機関投資家や法人に対応できるデジタル資産のトレーディングプラットフォームを開発・運営しています。同プラットフォームには注文実行管理システム、ポートフォリオ管理システム、マーケットのデータ・分析等が含まれます。本ラウンドにはGoldman SachsやBarclaysといった伝統的な金融業界と、BlockFi VenturesやChimera Venturesといったデジタル資産業界双方の投資家が参加しています。

    米国大手暗号通貨交換所であるCoinbaseにおける機関投資家の取引量は2021年に約1.14兆ドルとなり2020年の約1,200億ドルから9.5倍超の成長となりました。リテール投資家の取引量はその50%にも満たない約535億ドル(前年比約7.3倍)であり、機関投資家の取引はリテール投資家を上回る伸びを記録しています。

    同社の注文実行管理システムのインフラでは最初の顧客の取引があった2021年の6月から今年の初めまでに数百億ドル規模の取引量が処理されたといいます。


    シリーズA第2位 Heartex(資金調達額2,500万ドル)

    シリーズAで2,500万ドルを調達した企業は賃貸物件の小額投資を可能にするArrived Homesとデータラベリングツールを提供する企業Heartexです。今回はHeartexを取り上げます。

    機械学習/AIはラベリングされたデータをもとに学習を行うため、高精度の機械学習/AIを開発するうえではデータセットの質が重要となりますが、ラベルの品質にはばらつきや課題があるのが実態です。こうした中、データラベリングに関するソリューション・サービスの市場規模は年23.5%で成長し、2028年には381億ドルに届くと予測されています。(※3)

    データラベリング企業は昨年4月に73億ドルの評価額3億2,500万ドル調達したScale AIなど複数の競合が存在しますが、その多くがデータラベリングをサービスとして提供しているのに対し、同社は機械学習/AIの開発のためのデータラベリングツールLabel Studioを提供することによって、データラベリングをサポートしている点が特徴です。オープンソースで提供しているプロダクトはGitHub上で8,800Starを獲得しており、#data-labelingとタグ付けされたツールの中では最も人気を集めています。Label Studioは様々なユースケースのラベリングフローに対応可能であり、これまでのLabel Studioの利用者は10万人を超えています。


    シリーズB第1位 Fashinza(資金調達額1億ドル)

    シリーズB1社目は、ファッション小売ブランド向けにデザインから納品まで、一貫した生産サポートを行う製造プラットフォームを運営・開発するFashinzaです。同社プラットフォーム上では、デザイン選択、記事調達、サプライヤー選択、クイックサンプリング、品質チェックなどが可能であり、さらにオーダー後は同社担当者による製造の管理、物流や支払いサポートまで提供しています。

    現在インド、バングラデシュ、中国、ベトナムの約250のメーカーと提携し、米国、カナダ、UAE、インドの200以上のファッションブランドにサービスを提供しており、同社の事業は過去12ヶ月で10倍に拡大し、GMV(商品総額)のランレートは1億5,000万ドルを超えたと言います。(※4)


    シリーズB第2位 StoryBlok(資金調達額4,700万ドル)

    シリーズBで4,700万ドルを調達したStoryBlokはヘッドレスCMSを提供しています。
    The Insight PartnersによるとヘッドレスCMSの市場規模は2019年に3億2,850万ドルであり、2027年には16億2,860万ドルに成長し、CMS全体の成長率を上回る見込みです。(※5)

    ヘッドレスCMSを手がける企業はグローバルに多数存在しており、昨年7月に1.75億ドルのシリーズFラウンドでユニコーンクラブ入りしたContentful(評価額30億ドル)などが代表格として挙げられます。
    同社はAdidasやNETFLIX、Harvard Business Schoolなどを顧客に抱えており、同社CMSを利用した顧客のプロジェクトはこれまでで130カ国・12万件にのぼり、7万4000人の開発者とマーケターが利用してきたといいます。



    ラウンド別の主要案件は下記のとおりです。


    ※1
    https://www.ibef.org/industry/ecommerce
    ※2
    https://www.imf.org/en/Publications/Departmental-Papers-Policy-Papers/Issues/2019/02/11/Financial-Inclusion-of-Small-and-Medium-Sized-Enterprises-in-the-Middle-East-and-Central-Asia-46335
    ※3
    https://www.prnewswire.com/news-releases/data-labeling-solution-and-services-market-worth-38-11-billion-by-2028-grand-view-research-inc-301481404.html
    ※4
    https://yourstory.com/2022/05/fashinza-funding-100-mn-prosus-westbridge-capital-equity-debt/amp
    ※5
    https://www.digitaljournal.com/pr/headless-cms-software-market-expected-to-reach-us-1628-6-million-by-2027-says-the-insight-partners
    ※6
    https://techcrunch.com/2022/05/17/storyblok-raises-47m-to-build-out-its-headless-cms-aimed-at-non-technical-users-like-marketers/

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