(2022年4月25日週) 海外資金調達 Weekly <Seed&Early編> 中国の配車サービスが資金 調達、DiDiなどへの規制強化が新規企業の商機となるか

(2022年4月25日週) 海外資金調達 Weekly <Seed&Early編> 中国の配車サービスが資金 調達、DiDiなどへの規制強化が新規企業の商機となるか

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KEPPLE編集部


この記事では、4月25日週に資金調達が報道されたシード・シリーズA・シリーズB(それぞれプレラウンドを含む)の企業を調達額順に紹介します。

シード第1位 Zenda(資金調達額940万ドル)

シードラウンドで940万ドルを調達したZendaは、教育費支払いに際して即時支払い・後払いのオプションを選択できるペイメント分野のフィンテックです。現在UAEとインドに拠点を置いており、エジプト、そしてアフリカへと進出を検討しています。

私立教育機関への教育費は、湾岸地域で年間約370億ドル(うちUAE単体で80億ドル)、その他の中東・アフリカ地域では340億ドル、インドでは年間700億ドルに上ります。(※1)これらの支払いのほとんどはオフラインで行われ、オンラインで行われるとしても手間のかかる作業となっていますが、同社サービスは保護者の支払いを便利にするだけでなく、学校側の徴収の手間削減にも繋がっています。

2021年にZendaのユーザーは20倍に成長し、契約支払金額は1億ドルに達したそうです。(※2)


シード第2位 OwnID(資金調達額620万ドル)

第2位はイスラエルのOwnIDです。OwnIDは携帯電話の認証システムを利用することで、一つ一つのウェブサイトにパスワードなしでログインすることを可能にするスタートアップです。同社は資金調達と同日にOwnID(プロダクト)公開に至っていますが、既にNestleやDeLongiとの連携を行っています。Nestleによると、同社サービスを利用することでアカウント復元依頼が38%減少したとのことです。(※3)

OwnIDの創業チームは、顧客ID管理を提供するGigyaを創業し、3億5,000万ドルでSAPへの売却に成功した経験も持つチームです。


シリーズA第1位 OnTime(資金調達額1億5,300万ドル)

シリーズAの調達で調達額が大きかったのは、中国のライドヘイリング(配車)サービス企業OnTimeです。OnTimeは中国最大の自動車メーカーの一つ、国営広州汽車集団(GAC)の子会社であり、ライドヘイリングサービスを展開しています。

2020年のDaxue Consultingのレポート(※4)によると、中国のライドヘイリングサービス市場は2016年の1,288億元から2019年の3,044億元(約460億ドル)に成長しており、約3億6000万人が利用し、3,000万人のドライバーが登録されています。中国においてはDiDi Chuxing、Dida Chuxing、Hello Chuxing、CaoCao Chuxingなどがメインプレーヤーとして同サービスを展開していますが、当局のデータ統制強化の影響により、DiDiアプリの新規ダウンロードができない状況が続いています。

また、ライドヘイリングプラットフォームにドライバーの待遇改善を求める規制も進む中、各社は人件費削減ソリューションを模索しています。その中で、本ラウンドではロボットタクシー大手のWeRide、Ponyも参加している点は特徴的です。


シリーズA第2位 Pyka(資金調達額3,700万ドル)

Pykaは世界初、唯一の商業認証を受けた自律型電動航空機Pelicanを開発・製造しています。Pelicanは複雑な農作業のために設計された航空機であり、操縦式航空機の5分の1の運用コストで1時間で130エーカーの散布作業ができます。ランウェイは450フィートで離陸することができるため、インフラも10倍削減可能です。

これまでに7機を製造しており、また、顧客との3億2000万ドルを超えるMOUや商業契約を抱えています。(※5)現在は、同じ設計を半径200マイルの貨物輸送用に改良しています。世界中に複数の顧客がおり、農業と貨物の両分野でさらに十数社の顧客の立ち上げが計画されています。


シリーズB第1位 RelationalAI(資金調達額7,500万ドル)

シリーズB1社目は7,500万ドルを調達したデータ分析・ビジネスインテリジェンスのサービスを展開するRelationalAIです。RelationalAIによるデータ分析は、データだけでなくそれをつなぐロジック・関係性を一つのナレッジグラフとして示すことで、ビジネスモデルやそのルール・制約などを含む複雑な関係性を可視化しソリューション分析・ビジネス分析を行うことができます。現在は複数組織とトライアルを行っている段階ですが、来年には広い開発者ベータでセルフサービスとして使えるよう準備を進めているとのことです。


シリーズB第2位 BandLab(資金調達額6,500万ドル)

6,500万ドルを調達したBandLabは、楽曲制作・共有を支援する無料のソーシャル音楽制作プラットフォームであり、現在4,000万人以上が利用しています。同プラットフォームではMix Editor、ロイヤリティフリーのサウンド、マスタリング、AI搭載のアイデアジェネレーター等を利用できるほか、音楽を共有することで、クリエイター同士のコラボレーションも可能になります。



ラウンド別の主要案件は下記のとおりです。


※1
https://magnitt.com/news/mena-zenda-9-4m-seed-53385
※2
https://techcrunch.com/2022/04/24/zenda-gets-9-4m-to-streamline-school-fee-payment-and-management/
※3
https://www.businesswire.com/news/home/20220427005999/en/Gigya-Founding-Team-Deliver-OwnID-Passwordless-Identity-Platform
※4
https://daxueconsulting.com/wp-content/uploads/2020/09/Ride-hailing-market-in-China-by-daxue-consulting.pdf
※5
https://www.prweb.com/releases/2022/4/prweb18631250.htm


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