(2022年6月6日週) 海外資金調達 Weekly <Unicorn編> ウクライナ侵攻を機にFAANGからFAANG2.0へ

(2022年6月6日週) 海外資金調達 Weekly <Unicorn編> ウクライナ侵攻を機にFAANGからFAANG2.0へ

    この記事では、6月6日週に資金調達が報道されたユニコーン(企業評価額10億ドル以上の未公開企業)3社を評価額順に紹介します。

    第1位 Backbase(企業評価額 26億ドル)

    第一位は、金融をクラウド化するBaaS(=Banking as a Service)のBackbase(企業評価額 26億ドル)です。同社のシステムは、金融機関がスマートフォンを活用したオンラインバンキングを立ち上げたい時に役立ちます。例えば、同社のシステムを使うことで、スマホで瞬時に口座開設ができたり、カード紛失時にアプリで即時再発行ができるようです。また、このような開発には通常3-5年かかりますが、同社の場合、2年弱で終えられることが強みです。同社は、中東、アフリカ、ラテンアメリカでチームを増強する計画ですが、これは、既存金融機関における口座開設が少ない新興国にビジネスチャンスが大きいことを示唆しています。

    Backbase

    • 設立期:

      2003年

    • 本社:

      オランダ

    • 企業評価額:

      26億ドル

    • 今回調達額:

      1.28億ドル(企業評価額の5%)

    • 参加投資家:

      Motive Partners

    • 銀行が保有するデータをより構造化して活用し、銀行の顧客向けにカスタマイズしたサービスや新機能を活用できるようにするプラットフォーム。売上は2億ユーロで大手銀行を中心に150社の顧客がいる。

    同社のような企業は、既存金融機関のITシステムを担うという銀行の裏方であり、自らが既存金融機関のように顧客にサービスを直接行う「デジタルバンク」とは役割が異なります(デジタルバンクの説明についてはFinTech第二弾レポートをご覧ください)。同社のようなBaaSを担う企業は多く、イギリスでは、10xやBud Financial、日本では、Finatext、インフキュリオン、Kippなどが該当します。

    株式会社Finatextホールディングス

    株式会社Finatextホールディングスは、複数の金融領域で事業を展開する事業会社を傘下にもつ持ち株会社。 傘下の事業会社として、主力である金融サービス開発の株式会社Finatext、ビッグデータ解析サービスを行う株式会社ナウキャスト(2016年8月経営統合)、証券ビジネスプラットフォームを提供する株式会社スマートプラス、少額短期保険業を展開するスマートプラス少額短期保険株式会社などがある。

    代表者名林良太
    設立日2013年12月27日
    住所

    〒102-0073

    東京都千代田区九段北1丁目8番10号住友不動産九段ビル9階

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    スタートアップの詳細データはKEPPLE DB
    KEPPLE DB

    株式会社インフキュリオン

    株式会社インフキュリオンは金融基盤の開発を手掛ける会社。主力サービス「ウォレットステーション」は、事業会社がバーコード決済や後払いサービスなどを実施できるようにするサービス。 また、事業会社向けに、国際ブランド「VISA」に対応した法人カードの発行を支援するサービス「Xard(エクサード)」を手掛ける。同事業は2020年に決済・送金アプリのKyash(キャッシュ、東京・港)から買い取った。

    代表者名丸山弘毅
    設立日2006年5月1日
    住所

    〒102-0083

    東京都千代田区麹町5丁目7番地2MFPR麹町ビル7F

    Kipp Financial Technologies株式会社

    Kipp Financial Technologies株式会社は、金融機関向けにシステムを開発する企業。 金融機関が運営するサービスと外部のシステムとの連携を整備する。

    代表者名中島拓也
    設立日2018年3月20日
    住所

    〒100-0004

    東京都千代田区大手町1丁目6番1号大手町ビル4階

    第2位 Shield AI(企業評価額 23億ドル)

    第二位は、軍用機の自動操縦のためのAIの開発を行うShield AI(企業評価額 23億ドル)です。垂直離着陸型の無人航空機「V-BAT」を開発するMartin AIを2021年に買収しており、同社の自動操縦システムが「V-BAT」に組み込まれるそうです。「V-BAT」の強みは、強風などの悪天候にも耐えることができることです。

    ロシアのウクライナ侵攻を機に防衛産業に対する風向きが変わりました。上場株式では、米国IT大手企業の頭文字を取った「FAANG」に代わり、「FAANG2.0」が提唱され、その中には、燃料(Fuel)、航空・防衛(Aerospace and defense)、農業(Agriculture)、原子力と再生可能エネルギー(Nuclear and renewable energy)、金・金属・鉱業(Gold, metal, mineral)が含まれます。ウクライナ侵攻後のFAANG2.0の株価上昇率は、市場平均を17%上回っており、市場平均を12%下回ったFAANGとは対照的な動きを示しています(※1)。Shield AIのCEOであるRyan Tseng氏は、「これまで、防衛分野は物議をかもすと判断されたため、初期の投資家の多くに断られた。資金調達環境が現在ほど有利になったことはない。」と語っています(※2)。

    Shield AI

    • 設立期:

      2015年

    • 本社:

      アメリカ

    • 企業評価額:

      23億ドル

    • 今回調達額:

      1.65億ドル(企業評価額の7%)

    • 参加投資家:

      Snowpoint Ventures, Riot Ventures, Disruptive, Homebrew, Point72, Andreessen Horowitz, Breyer Capital, SVB Capital

    • 軍用機の自動操縦のためのAIやV-BAT(垂直離着陸の無人機)を米軍などに販売。

    第3位 Go1(企業評価額 20億ドル)

    第三位は、従業員向けのオンライン研修のGo1(企業評価額 20億ドル)です。同社はオーストラリアにある企業ですが、同社の最大の市場は北米であり、フランス語とドイツ語のコンテンツを持つCoorpacademyの買収により、ヨーロッパでの拡大も狙っています。Go1の特徴は、Blinkist、Thrive、Skillsoft、Pluralsight、Harvard Business Publishingなどの多くのプロバイダーからコンテンツを集約することで(※3)、幅広い従業員研修のニーズに対応していることです。日本では、インソースなどが同じような事業を展開しており、インソースによると、社会人教育の市場規模は2,400億円(2021年)から2024年には3,400億円以上と想定しており(※4)、労働人口が減少する中でも堅調な市場であることが分かります。

    Go1

    • 設立期:

      2015年

    • 本社:

      オーストラリア

    • 企業評価額:

      20億ドル

    • 今回調達額:

      1億ドル(企業評価額の5%)

    • 参加投資家:

      AirTree Ventures, Five Sigma,SoftBank Vision Fund 2, Salesforce Ventures, Blue Cloud Ventures, Larsen Ventures, Scott Shleifer, John Curtius, TEN13, M12, Madrona Venture Group, SEEK, Y Combinator

    • 企業の従業員向けのオンライン教育プラットフォーム。約500万人の学習者が利用(昨年から倍増)。TikTokやシンガポール政府など幅広い組織に利用されている。

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