(2022年5月30日週) 海外資金調達 Weekly <Unicorn編> TikTokが禁止されているインドでローカルの短編動画アプリの拡大が続く

この記事では、4月4日週に報道された資金調達に伴い、ユニコーン(企業評価額10億ドル以上の企業)となった3社を企業評価額順に紹介します。
第一位は、スポーツ製品ECのFanatics(企業評価額:270億ドル)でした。この案件の特徴は、資金提供元の多くがVCではなく、アメリカのプロスポーツ団体であることです。今期売上は、50億ドルを見込んでおり、売上に対する企業評価額は5.4倍程度です。欧米や日本のスポーツメーカーのPSR(株価売上高倍率)は、1-2倍程度であるため(ナイキは例外で4.4倍)、Fanaticsの評価の高さがうかがえます。NFT、ゲーム、スポーツの賭けサイト事業に参入するなど、単なるEC会社にとどまるつもりはないようです。
第二位は、短編動画とニュースキュレーションアプリを提供するVerSe Innovation(企業評価額:50億ドル)でした。インドでは、2020年にTikTokが禁止されたことをきっかけにローカルのアプリが台頭しました。MAU(マンスリーアクティブユーザー)に占めるDAU(ディリーアクティブユーザー)が49%とインスタグラム並みであり(※1)、インドでは高いエンゲージメントを誇っています。中国では、TikTokの中国版「抖音(Douyin)」における14歳未満のユーザーの利用時間を制限したり、ライブ配信を規制する計画を予定していたり、規制リスクが伴います。Daily Huntの類似サービスとしては、5000万ダウンロードと月間ユーザー2000万(2019年時点)をMAU持つスマートニュースがあげられます(※2)。Daily Huntはインド中心に展開している一方、スマートニュースは日米中心のため、現在は競合していませんが、今後の両社の動向に注目です。
第三位は、リモート社員向けのHRサービスRemote(企業評価額:30億ドル以上)でした。世界各地で社員を雇い、管理するためには、現地の労働規制や人事管理など、さまざまな問題があり、コロナで在宅勤務が推奨される中で、これらの問題はより悪化しました。これまで、企業は、各国のローカル人材会社とそれぞれ契約を結ぶことで対処してきましたが、コストや管理が高くなりがちです。シンプルに一元管理を目指すのがRemoteです。現在、Remoteは60か国以上で展開しており、今年には100か国で展開する予定である(※3)ことから、世界のどこでもニーズが強い問題に取り組んでいる企業といえます。
注)
(※1)
https://backlinko.com/instagram-users
(※2)
https://signal.diamond.jp/articles/-/288
(※3)
https://techcrunch.com/2022/04/05/remote-payroll-hr-workforce-3-billion/
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