BCP関連サービスで企業のリスク管理をサポートするスタートアップ5選

BCP関連サービスで企業のリスク管理をサポートするスタートアップ5選

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KEPPLE編集部

はじめに

BCP(事業継続計画)は、企業が自然災害やテロ攻撃などの緊急事態に遭遇した際に、事業資産の損害を最小限にとどめ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことを指す。

近年は地震や台風などの災害の頻発に加え、新型コロナウイルスの流行など、企業のリスク管理が一層求められている。BCPの具体的な対策例としては、重要な情報・システムのバックアップ実施、建物・設備の防御対策、通信・電源・水などのライフラインの代替対策が挙げられる。

内閣府※1によると、2021年度の時点で、大企業は70.8%が、中小企業は40.2%の企業がBCPの策定を行っている。しかし、日本政府が掲げていた「2020年までに大企業でほぼ100%、中堅企業で50%」というBCP策定率の目標には届いていない。帝国データバンク※2の2023年の調査によると、BCPを策定していない理由としてスキル・ノウハウの不足、人材を確保できないという回答が多いことが分かっている。

そのような中、2024年4月にはすべての介護事業者を対象にBCPの策定が義務づけられており、BCP策定サービスや、気象データやSNSからリスク情報を収集するサービスなど、BCP関連のサービスに注目が集まっている。

今回は、企業のリスク管理をサポートするBCP関連サービスを運営するスタートアップを5社紹介する。

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スタートアップ5選

株式会社レスキューナウ

危機管理情報の配信、BCP・BCM(事業継続マネジメント)サポートなどのサービスを展開している企業。リアルタイムで災害が発生した際の企業への影響を地図上で可視化する「レスキューWeb MAP」や、災害時の従業員の「安否確認サービス」を展開している。さらに、エリア別に災害情報、交通インフラ情報、停電などライフライン情報などをリアルタイムで発信する「コンテンツシェアサービス」を運営している。また、従業員の安否確認、事業所の状況確認、リスク情報の収集、災害被害に対する要対応事項をオールインワンで管理できる「imatome」を提供している。その他、災害時の体制構築を行うアドバイザリーサービス、防災備蓄品の選定・販売なども手がける。

2024年2月までで、延べ500社以上の企業にサービスを導入し、3000万人以上のサービス利用者がいる。コンテンツシェアサービスの導入事例として、シャープ株式会社、レスキューWeb/レスキューWeb MAPでは日本テレビ放送網株式会社、キユーピー株式会社などが挙げられる。

企業HP:https://www.rescuenow.co.jp/

CloudBCP株式会社

企業のBCP活動のサポートシステム「CloudBCP」などを開発・運営する企業。
CloudBCPは、地震などの自然災害や、パンデミックなどが起こった際に、企業が事業復旧・継続できるようにするための計画であるBCPの策定・運用を行うSaaSだ。同システムでは、従業員や役員の緊急安否確認機能も備える。ユーザーは、専用のスマホアプリをインストールしておくことで、スマホで安否確認連絡を受け取ることが可能。 そのほか同社では、先端技術の研究開発事業や、地域活性化のソフトウエア開発事業などを運営する。

2023年5月には、介護業界でのセールス・プロダクト開発を強化する目的で、シードラウンドにて総額5000万円の資金調達を実施したことを発表している。また、2024年1月時点で、CloudBCPの全国の介護事業所への導入数が150事業所を突破している。

ローイット株式会社

リーガルテック関連事業を展開する企業。 具体的な事業として、創業・起業支援や許認可業務、BCP策定支援・導入を行う「シンプルBCP研究所」を提供するほか、法律とITをもとにテレワーク環境構築の支援などを行う。シンプルBCP研究所では、法律家やシステム専門家によるBCPコンサルティングを行い、BCP策定の支援から机上訓練・演習の実施までを手がける。その他、創業・起業向けの事業では、会社設立や資金調達、法律相談やマーケティングおよびWebサイト制作のサポートを行う。また、建設業・宅建業・建築士事務所に向けた許認可一括クラウド管理「マルット」を提供している。

2024年2月時点で、BCP対応実績としては、公共事業関連業、通信代理店業、医療法人業、高齢者福祉・介護サービス業、ホテル・宿泊業、包装資材・プラスチック製品製造業など多様な業界に利用されている。また、2024年2月時点で創業・起業支援として起業支援16件以上、会社設立100件以上、新規事業支援18件以上を誇る。

企業HP:https://lawit.jp/

アンドレジリエンス株式会社

企業向け事業継続力強化支援サービス「&Resilience」の運営を行う、三井不動産のグループ企業。 &Resilienceは、企業向けに事業継続力強化を支援し、BCP対策における対策・訓練・課題抽出をトータルでサポートする。また同サービスでは、企業向けに災害時の対応策や、災害シナリオの追体験を提供する「災害模擬体験」を提供する。さらに、同業や同エリアの平均と比較した際の脆弱性診断、ITツールによる対策実施も行う。

2023年3月までに、&Resilienceの実績として、累計1000社(組織)に、のべ3000人以上の訓練参加者がいる。参加者の9割以上が効果を実感しているという。

株式会社Spectee

AI防災・危機管理ソリューション「Spectee Pro」を提供する企業。Spectee Proでは、世界中の災害発生時にSNS投稿やライブカメラ、人工衛星といったさまざまな情報ソースから、AIを用いた解析を行い、リアルタイムに正確な情報を配信する。また、マップ表示や検索絞り込み機能、登録した地域で災害が発生した際のアラート機能がある。災害以外にも、小売・製造・物流などでサプライチェーン・マネジメント目的でも使用されている。さらに、気象や交通状況などの情報を一元管理することで、今後起こりうるリスクの分析・予測をする機能もある。

2023年時点で、Spectee Proの導入実績としては、契約数900件以上、利用継続率99.9%だ。導入事例としては、株式会社NTTデータ関西、ソニーグループ、精密機器メーカー、物流企業、システム開発企業、福井県・大分県などの自治体などだ。

おわりに

能登半島地震や近年の地政学リスクなど、企業がリスクに対する事業継続の対策をする重要性が高まっている。企業のリスク管理をサポートするスタートアップの動向にはさらに注目が集まりそうだ。

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※1 内閣府「令和3年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査
※2 帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2023年)

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