子どもが読書に「ハマる」きっかけを、動画世代の読書習慣形成を支援するヨンデミー

子どもが読書に「ハマる」きっかけを、動画世代の読書習慣形成を支援するヨンデミー

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KEPPLE編集部

読書教育のオンライン習い事サービスを提供する株式会社Yondemyが、第三者割当増資による1.3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、XTech Ventures、アコード・ベンチャーズ、旺文社ベンチャーズの3社と、宮本邦久氏、笠原健治氏、吉村英毅氏、大冨智弘氏らを含む個人投資家11名。

今回の資金調達により、プロダクトの機能拡張や出版業界とのアライアンス、人材採用強化を目指す。

子どもの読書習慣を育むオンライン習い事サービス

近年、子どもたちの本を読む時間は減少傾向にある。文字を読む能力が学習に与える影響は計り知れず、読書習慣は極めて重要視されている。

こうした課題を解決すべく同社が運営するアプリが「ヨンデミー」だ。アプリ内でのおすすめの本の提案やAIによる読書習慣のコーチングを通じて、子どもたちが読書に「ハマる」きっかけの提供を目指している。

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チャット形式のコンテンツ配信で習慣化を促進する工夫がされている(画像:Yondemy提供)


同サービスは、全国の図書館と連携している。アプリがレコメンドした本をオンライン上で予約し、図書館で借りるだけでなく、利用者が近くの図書館をアプリに登録することで、今すぐに借りられる本をおすすめする機能も備える。

アプリにゲーム性を持たせている点も特徴だ。本を読むことによるレベルアップやバッジの獲得など、ゲーム感覚の仕掛けで子どもの読書意欲を高め、読書の習慣化を促進する。

ヨンデミーは2020年12月にリリース。無料会員・有料会員を合わせた総会員数は8000人を超えた。

今後は出版社や書店とのアライアンスを強化し、アプリを通じた読書教育の普及拡大を目指す。

今回の資金調達に際して、代表取締役 笹沼 颯太氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

動画世代に不足する「読む力」

―― 子どもの読書時間が増えないのはなぜでしょうか?

笹沼氏:子どものいる家庭の中で、90%以上が本の読み聞かせを実施しています。読み聞かせの実施自体は増えているにもかかわらず、子どもが自分で本を読む時間は増えていません。

背景にはYouTubeやゲームなど、子どものインターネット利用時間がここ十数年で増えたことが挙げられます。

特にコロナ禍ではその時間が一気に増え、平均1日3時間半ほど動画を見る子どももいるとされているほどです。子どもたちにとって、本を読むよりもインターネットでの娯楽が手軽で楽しく、本の読書時間の減少につながっているのです。

―― 本を読まないことでどのような影響があるのでしょうか?

今の子どもたちは、読み聞かせや動画など、文字を読まないエンタメコンテンツを多く消費しています。一方で、小学校に入ると教科書やプリント、テストなど、文章を読み解く必要のあるものがほとんどです。

教科書やテストの文章を読み解くには、一定の読解力が必要です。文字を読むことに慣れていないと、教科書が読めずにテスト問題も解けません。文字に対する恐怖心や、学習意欲の低下につながってしまいます。

子どもが読書している様子

(写真:Yondemy提供)


さらに長期的な視点から見ると、大人になると文章の読み書きを伴う仕事がほとんどになります。あまり文字を読まない職種であっても、現場から管理職に昇進すると文書を読む機会が増えますよね。

だからこそ、子どものうちから読書を通じて文章を読み解く力を身につける必要があります。水泳で水が怖くなくなることで溺れなくなるように、読書によって文字への恐怖心をなくせば、大人になっても学び続けることができるはずです。

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―― 創業のきっかけは?

大学時代に、国語専門の家庭教師としてアルバイトをしていたことがあります。その際に保護者から、「学生時代にどのような本を読んでいたか?」という質問を良く受けたんです。

東京大学の同級生に話すと、ほとんどが同じ質問をされたことがあったそうです。ただ、おすすめの本を教えたとしても、それをどうすれば読みたくなるのか、楽しく読めるのかわからない人は多い。それであれば、子どもたちが本を楽しむきっかけを作りたいと思ったのが読書に関する課題を知ったきっかけです。

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読書意欲向上を目的とした音声付きのオリジナル絵本もアプリ上で提供している(画像:Yondemy提供)


また、私自身が英語を学ぶために、たくさんの英語書籍を読む英語多読という学習方法を実践していたことがあります。読書を通じて英語を勉強した経験を活かせるのではないかと、今の事業構想にたどり着きました。

出版業界との連携強化、グローバル展開も視野に

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

2023年以降、ヨンデミーは急速に認知が広がり事業拡大を続けています。今後もこの勢いをそのままに、より多くの人にサービスを届けるための成長資金として調達を行いました。

主には、マーケティングに注力し、出版業界などとのアライアンスを強化することを計画しています。また、プロダクトの改善やアップセル機能の開発も進めており、そのために開発やビジネスサイドの人材採用も進行中です。

今後は読書だけでなく、物語を書く力を身につける作家教育も行います。本を読むことで、学ぶ力の獲得につながります。文章を書く能力も同様です。自分の意見や主張を表現し、リーダーシップを養うことにつながるはずです。

読み書きの基礎を身につけるサービスを提供することで、子どもたちの人生の可能性を広げる土台になれればと思っています。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

まずは、有料会員数を1年半で現在の5倍に増やすことが目標です。さらに、累計会員数も同様の推移を目指しています。こうした成長をしっかりと実現しつつ、中期で新規事業も仕込んでいく予定です。

また、出版社や書店との連携の引き合いも多くいただいています。これまで読書をしなかった子どもたちが読書の楽しさや魅力を知ることで、出版業界も盛り上がるはずです。今後は出版社や書店とのアライアンスも強化していきます。

将来的には、グローバル展開も視野に入れています。AIなどのテクノロジーを活用した読書教育というモデルは、まだ世界でも広くは知られていません。このモデルを多言語展開することで、「読書を習う」という文化を作っていきたいと思います。

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