抗菌薬が効きにくい感染症に新たな選択肢──Arrowsmith、10.5億円調達でファージ治療の米国治験へ

抗菌薬が効きにくい感染症に新たな選択肢──Arrowsmith、10.5億円調達でファージ治療の米国治験へ

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バクテリオファージを活用した感染症治療薬の開発を手がける株式会社Arrowsmithは、シリーズAラウンドで第三者割当増資による総額10.5億円の資金調達を実施したと明らかにした。1stクローズではJAFCO、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ(JIC-VGI)、ANRIが、2ndクローズではDBJキャピタルが引受先として参加した。

あわせて同社は、リードプログラムである緑膿菌感染症向けファージカクテル※1「ARW001」について、米国食品医薬品局(FDA)とのPre-INDミーティングを実施し、2025年12月に書面回答を受領したことも発表した。初回臨床試験の設計方針や、非臨床試験・製造品質関連データの充足性、GLP毒性試験を要しない開発方針などについて確認できたとしており、同社は2026年中のIND※2申請と初回臨床試験の開始を目指す。

Arrowsmithは2025年設立の創薬スタートアップで、細菌に感染するウイルスであるバクテリオファージを利用した「ファージセラピー」の開発に取り組む。薬剤耐性菌の増加が深刻化するなか、既存の抗菌薬が効きにくい感染症に対する新たな治療選択肢として注目されている。

同社のリードプログラムであるARW001は、緑膿菌感染症を対象としたファージカクテルだ。緑膿菌は院内感染の原因菌の一つとして知られ、薬剤耐性化が問題視されている。ARW001は複数のファージを組み合わせることで幅広い菌株への対応を目指すほか、独自の改変技術により、細菌が形成するバイオフィルム3の分解機能も備える。

薬剤耐性菌への対応は、世界的な医療課題となっている。WHOも薬剤耐性菌を公衆衛生上の重大な脅威と位置づけており、近年は欧米を中心にファージセラピーの研究開発や臨床応用に向けた取り組みが進んでいる。

今回調達した資金は、ARW001の臨床開発に加え、後続パイプラインの研究開発にも活用する。FDAとの協議を経て米国での臨床試験準備を進めるなか、同社は次世代ファージセラピーの実用化を目指す。

※1 ファージカクテル:特定の細菌(病原菌)を攻撃する複数のバクテリオファージ(細菌に感染するウイルス)を組み合わせた混合製剤のこと。

※2 IND(Investigational New Drug):主に新薬の臨床試験(治験)を始めるために、規制当局へ提出する申請・届出のこと。INDが認められることで、人に投与する臨床試験を開始できる。

※3 バイオフィルム:複数の微生物と、それらが産生する粘着性の物質などが集まってできる構造体の総称。バリアのような役割を果たすため、内部の微生物は乾燥や消毒薬、抗菌薬などに対して強い抵抗力を持つ。

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