クエストリーが2.6億円を調達──ブロックチェーン活用でエンタメ金融に挑む

韓国のブロックチェーンインフラ企業・DSRV Labsが、シリーズBラウンドで約160億ウォン(約16億円)の資金調達を実施した。今回のラウンドにはインターベスト、ナイス、SK証券など、韓国の大手金融機関が出資に参加しており、今後も追加投資が予定されている。厳しい投資環境が続く中での大型調達であり、主要な金融系ベンチャーキャピタルが名を連ねたことは、同社への市場の期待を示すものといえる。
DSRVは2019年9月に設立され、70を超えるブロックチェーンネットワークのインフラ提供を事業の軸とする。主な事業領域は、バリデータ(ステーキング)運用やノード運用、カストディ(デジタル資産管理)、開発ツールやウォレットの提供、法人・機関投資家向けの大規模な資産管理ソリューションの設計など多岐に及ぶ。約4兆ウォン(約4,400億円)相当のデジタル資産を管理し、バリデータ運用実績はグローバルTop10に位置するとされる。これらの実績が、ブロックチェーンインフラ領域における同社の存在感を支えている。
加えて、仮想資産サービスプロバイダー(VASP:Virtual Asset Service Provider)ライセンスを取得したバリデータ企業であり、規制対応力も大きな特徴となっている。2024年度の業績は、売上約107億ウォン(約10.7億円)、純利益30億ウォン(約3億円)と公表しており、されており、インフラ運用中心の事業で安定した収益を上げている。今後はステーブルコイン事業やクロスボーダー決済インフラ、法人向けカストディサービスなど、新たな領域への事業拡大を計画している。
代表取締役のJiyun Kim氏は共同創業者であり、CEOを務める。Kim氏は創業以来、複数の関連プロジェクトに携わり、事業拡大に取り組んできた。DSRVは2026年上半期の新規株式公開(IPO)も計画している。
ブロックチェーンインフラ業界は、ここ数年で大手テクノロジー企業や金融機関の参入が加速し、資金流入も活発化している。一方、2022年から2023年にかけての暗号資産市場の低迷を受けて、投資判断の選別や規制強化、企業淘汰も進行した。特にウォレット、バリデータ、カストディ分野では、Coinbase、Anchorage、Fireblocksなど米国系大手による競争が激化している。日本国内でもLayerX、Ginco、ブロックチェーンゲーム開発企業などがカストディやノード運用サービスを展開している。
2023年時点の世界ブロックチェーンサービス市場規模は約170億米ドル、2030年には約1.3兆米ドル規模へと成長が見込まれる。東アジア地域では、規制への適応力と技術標準の確立が依然として大きな課題となっている。
今回のシリーズB資金調達は、第1次ラウンド終了時点で約160億ウォン(約16億円)を調達済みであり、第2次ラウンドも来月に予定されている。DSRVによると、調達した資金は主にブロックチェーン技術者の採用強化、伝統的金融バックグラウンドを持つ人材確保、基盤技術の高度化、グローバル展開の加速に充てる方針である。日本、米国、アフリカ市場を重点ターゲットとし、新規事業としてステーブルコイン、カストディサービス、国際決済領域への進出を計画している。また、IPOを見据えたSOCレポートなど、上場や透明性確保のためのドキュメント整備も進めている。
現在、ブロックチェーンインフラ事業者には、機関投資家や法人顧客の需要増加を背景に、信頼性やスケーラビリティの確保、規制対応力の強化が求められている。従来の暗号資産の保有・決済領域に加え、ブロックチェーンベースの証券や分散型金融(DeFi)といった新たなユースケースへの対応も重要になっている。さらに、他のネットワークや金融インフラ企業との連携も、今後の成長を左右する要素といえる。
業界全体では、セキュリティの確保、人材流動の活性化、規制とのバランス、グローバル標準の策定など、多面的な課題とチャンスが並行して存在する状況が続いている。DSRVの資金調達動向は、変化の激しいブロックチェーン業界のなかで、インフラ企業が求められる成長戦略や規模拡大の一例となった。今後、DSRVは新規事業領域への拡大やグローバル展開を通じて、ブロックチェーンインフラ市場の変動に対応していくことが期待される。
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