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2025年11月5日から7日の3日間にわたり、国内最大級のスタートアップカンファレンス「B Dash Camp 2025 Fall」が開催された。B Dash Ventures が主催する同カンファレンスには、起業家や投資家をはじめとする約1000人のスタートアップ関係者が集まり、多彩なセッションやピッチコンテストが行われた。
KEPPLE では、2日目に行われたセッション「スタートアップの成長はどこへ向かうのか(2025年秋編)」の一部を編集してお届けする。
このセッションは、業界のリーダーがスタートアップエコシステムにおける今後の見通しや将来像を語る場として、オープニングに設けられる恒例の注目プログラムとなっている。
今回のセッションには、野村證券 産業戦略開発部マネージングディレクターの武田純人氏、マネーフォワード 代表取締役社長グループCEOの辻庸介氏、LINEヤフー上級執行役員の宮澤弦氏が登壇。モデレーターは、B Dash Ventures代表の渡辺洋行氏が務めた。
辻氏:本当に久しぶりにプラットフォームが変わるじゃないですか。つまり新大陸がワーッと出てきているので、いろんなところに入れる余地がたくさんあって、これはみんなにすごいチャンスだなって思ってます。
あと、スポーツやエンタメがすごい楽しいなと思っていて。AIって突き詰めると、機械の世界で、人間としてはちょっとしんどいじゃないですか。なんかSNSとかも最近しんどいですし。
そうなると人間は感情・エモーションの部分にお金を払いたくなるので、今で言えば推し活だったり、スポーツやエンターテインメント分野は、今すでに盛り上がっていますけど、さらに伸びる領域だと思っていて、そっちもすごい楽しいんですよね。
渡辺氏:いいですね、その話はぜひしたかったんですよ。
まさにそうだなと思っていて、地方を含めた既存産業のロールアップだったりも、これからまだまだチャンスがあるよねという話をここ1年くらいずっとしています。まさに辻さんがおっしゃったとおりで、AI化がどんどん進んでいって、ロボットもこれから普及が進んでいく中で、人と人とのふれ合いはすごく価値が高くなっていくし、高くなるだろうと思っています。
例えば、お寿司屋さん。もちろん寿司ロボットみたいなものも出てくると思うんですけど、でも、寿司ロボットとは別に話したくないじゃないですか。
やっぱり、少し雰囲気のある寿司屋さんに行って、大将ともいろんな話をして面白いねというのは一つの価値だと思うんですよね。もちろん寿司に限らず、飲食店をはじめ、こういった部分に実はチャンスがあると思っていて。
実際、アメリカでは今ホワイトカラーがどんどん削減されている中で、これまでホワイトカラーに就職していたような学生がブルーカラーに就職していく流れが結構あると聞いているんですよね。(AIに対する)アンチテーゼとしての人と人のコミュニケーションの中での商売。そういった飲食だったりはさらに伸びると思っていて、自分たちもこれまであんまり投資してこなかったんですけど、最近は積極的に見ています。
辻氏:僕らが投資させて頂いている会社で、まん福ホールディングスの加藤さんが今回登壇もされているんですけど、食×地方×M&Aといった成長市場にしっかりと軸足をおいて取り組んでいくのは、まさに「Path to Winning」というか、まだまだチャンスあるよなと思いますね。
渡辺氏:絶対ありますね。まん福ホールディングスの加藤さんもそうですし、近い分野でいうと皆さんご存じのnewmoもそうですね。分野としてはまだ伸び代がたくさんある業界で、まん福の加藤さんやnewmoの青柳さんのように強烈なキャラクターを持つリーダーと優秀なメンバーがいて、一気に業界を変えていく。そういったモデルは全然ありますよね。
辻氏:SHIFTの丹下さんもそうですよね。やっぱりIPOがこれだけ減っていっているので、M&Aが目的ではないにせよ、一つのマイルストーンとしてやっていく方が現実的な気がしますね。
武田氏:M&Aの議論は間違いなく増えているんですけど、上場時のサイズを大きくしていく文脈とあわせて、買う側の議論がよく話されている印象で、これはとても大事なことではあるんですけど、もっと売る側の議論が増えていってもいいなと思っているんですよね。さっきのマーケットの二極化みたいなこともある中で、遠心力を使う形での成長に関する議論をもっと考えていけたらいいなと思いますね。
渡辺氏:そうですね。あんまり地方にこだわることもないなと思ってはいるんですけど、やっぱり地方にはちょっとテコ入れしたり、それはお金の面でも、そして人材の面でも、やると一気に活性化する会社や産業がたくさんあるんですよね。
そこはもうちょっと何とかしたいなと思っています。ここにいる皆さんが普段の経営ノウハウを持ち込んでいただいて、気合を入れるだけで実は作れると思っているんですよね。
武田氏:ここまでの議論を伺っていて面白いなと思ったのが、AIシフトがどんどん進んでいく中で、AIのコモディティ化・インフラ化は必ず進んでいくわけじゃないですか。この加速度はエクスポネンシャル(指数関数的)な形で、もう逆流することはないと思っています。
一方で、よく言われている、例えばホワイトカラーがいなくなっちゃうんじゃないかといった、人のコモディティ化みたいなところも一定起きるとは思うんですけど、そういった人のコモディティ化も逆に言うと、生成AIのコモディティ化があまりにも早く進んでいくので、先ほどの辻さんの議論を聞いて思ったのが、実は人のコモディティ化のスピードが相対的に落ちてるというか、いずれは(こういった観点が)なるのかもしれないな、と。
加えて、(AIの登場によって)コモディティ化全くしない価値を持つフィジカルな人たち、先ほどのお寿司屋さんやスポーツ選手なんかもそうですけど、そこに大事なのは機能や技術だけじゃなくて、それこそエンタメやコンテンツで融合していくみたいな作り方になるのかなと思いましたね。
渡辺氏:今みたいな話はスタートアップが割と入りやすい話ではありますよね。







