(2022年4月11日週) 海外資金調達 Weekly <Seed&Early編>

(2022年4月11日週) 海外資金調達 Weekly <Seed&Early編>

    4月11日週に資金調達が報道されたシード・シリーズA・シリーズB(それぞれプレラウンドを含む)の企業を調達額順に紹介します。

    シード第1位 Pylon(資金調達額1,900万ドル)

    シードラウンドで1,900万ドルを調達したエジプトのPylonは水道・電気などのインフラ企業に対してスマートメーターをSaaSで提供する企業です。同社は現在エジプトとフィリピンで事業を展開しています。同社のサービスは、グリッドやネットワークにおける非効率(漏れや盗難)の削減、水道料金等の回収、環境フットプリントの実現を支援します。新興国ではこうした損失や未回収の獲得機会が最大4,000億米ドルも存在しており、同社を利用するインフラ企業は売上を40%も伸ばすことができるとのことです。

    サブスクリプションモデル採用による初期費用の低さも同社の成長を後押ししており、2021年には3.5倍の成長を遂げて既に黒字化しています。現在は配電会社15社に対してスマートメーターを1万台以上を配備しており、2023年までに前年比4倍の成長となる300万台に増やすことを目標としています。(※1)


    シード第2位 Abrobo(資金調達額1,885万ドル)

    第2位は中国の医療用ロボットを開発・製造するAbrobo(愛博医療機器人)で、1億2,000万元の調達となりました。

    2019年現在、中国における冠動脈インターベンション手術は100万件超、冠動脈造影手術は約400万件となっています。神経インターベンション手術の件数は、2019年現在で12万4千件ですが、高齢化の深化に伴い、2030年には210万件まで増加することが予想されています。一方、カテーテル検査室で働く医療スタッフは健康に影響が出やすく、皮膚病変の有病率は4倍以上になり、首、腰、膝の痛みは6倍近くになり、白内障は5倍近く増加することが指摘されています。こうした中で血管インターベンション用ロボットへのニーズは強く、中国の血管インターベンション用ロボット市場の規模は、22年は3400万元(約6億5000万円)、30年には58億2400万元(約1110億円・年間成長率90.3%)に達する見通しとなっています(※2)。

    同じく血管インターベンション用ロボットのうち、米食品医薬品局またはEUの安全認証を取得したロボットは仏Robocathの「R-One」、独シーメンスの「CorPath 200」と「CorPath GRX」、米Stereotaxisの「Genesis RMN 」の4種のみであり、まだ発展の初期段階と言える分野です。


    シリーズA第1位 Shipium(資金調達額2,700万ドル)

    シリーズAの調達で調達額が大きかったのは、米国のShipiumです。Shipiumはeコマース企業に対して配送管理プラットフォームを提供しています。Shipiumは機械学習とロジックにより、最安・最速の配送方法決定を自動化し、Amazon Primeへの対抗手段を中小規模のeコマース企業に提供します。同社は2019年末にサービスをローンチし、これまで約1,000万件の出荷を処理し、年末までに処理数は5,000万件に達する見込みです(※3)。


    シリーズA第2位 EvolutionIQ(資金調達額2,100万ドル)

    第2位のEvolutionIQは同じく米国企業で、保険会社の保険請求処理を支援します。過去の保険金請求データの分析とそれに基づく洞察により、請求処理改善を支援するデータ会社です。同社が主な対象としている障害者保険、労災保険、複雑な商業災害の分野だけでも、保険会社は年間およそ2,300億ドルの保険金支払いを行っています。

    Reliance StandardやPrincipal、Sun Lifeなどの顧客とともにEvolutionIQは数百万件の請求を処理しており、1年以上同社ソフトを使用している企業においては損害率最大3.3%低下、クレームフロー最大45%削減、短期障害から長期障害への移行率約50%低下といった業務改善につながっていると言います(※4)。

    今回のラウンドは投資家だけではなくReliance Standard Life、New York Life Ventures、Guardian Life、Sedgwickといったパートナーを含む保険会社からも調達をしています。


    シリーズB第1位 Diligent Robotics(資金調達額3,000万ドル超)

    シリーズB1社目は3,000万ドル超の調達となった看護師支援ロボットを開発製造するDiligent Roboticsです。同社ロボットのMoxiは患者用備品の管理、検査用サンプルの配送、セントラルサプライからの品物の取り寄せ、PPEの配布、医薬品の配送といった仕事をサポートし、看護師が患者と向き合う時間を長く確保できるようにします。最短12週間でロボットによる自動化を実現し、現場スタッフを即座にサポートすることができます。

    看護師の需要は急増しているものの、供給はなかなか増えておらず(270万人(2014年)、320万人(2024年))、臨床看護師の離職率は16.8%に上っています(※5)。パンデミックはこの状況に拍車をかけており、ロボットとの協業ニーズは高まっています。


    シリーズB第2位① BlueOcean(資金調達額3,000万ドル)

    Industry Researchのレポートによると、世界のセンチメント分析市場規模が2020年の37億ドルから2027年までに63億5000万ドルに達するといわれています(※6)。ブランドのマーケティングコンテンツ、財務データベース、メディアのコンテンツ等1,200ものデータソースから情報を収集・分析して顧客にインサイトを提供するBlueOceanは3,000万ドルをシリーズBで調達しました。


    シリーズB第2位② DoControl(資金調達額3,000万ドル)

    2022 年には全体で約 4 兆 4000 億ドルの IT 投資が行われると推定され、その中でサイバーセキュリティのマーケットは1,558億ドルに上ると推定されています(※7)。SlackやGoogle Drive、SalesforceなどのSaaSツールを利用し社内外と協業する動きが増える中、退職に伴うアクセス制限や情報漏洩のリスク、外部からのデータへのアクセスをはじめとしたリスクに企業はさらされています。DoControlはSaaSアプリのデータへのアクセス管理を自動的に制御するシステムを提供することでこうしたリスクを軽減しています。



    ラウンド別の主要案件は下記のとおりです。



    (※1)
    https://disrupt-africa.com/2022/04/13/yc-based-egyptian-infrastructure-management-startup-pylon-banks-19m-seed-funding-round/
    (※2)
    https://mp.weixin.qq.com/s/fS-nhYq1cAssLSvF5_NJvg
    (※3)
    https://www.geekwire.com/2022/solving-the-prime-problem-shipium-lands-27m-to-help-online-retailers-compete-with-amazon/
    (※4)
    https://venturebeat.com/2022/04/12/evolutioniq-unveils-its-ai-driven-tech-to-reduce-the-cost-of-insurance-claims/
    (※5)
    https://www.diligentrobots.com/moxi
    (※6)
    https://venturebeat.com/2021/05/27/blueocean-unveils-sentiment-analytics-api-for-tracking-brands/
    (※7)
    https://techcrunch.com/2022/04/14/docontrol-raises-30m-for-no-code-security-tools-for-cloud-app-log-ins/
    https://www.fortunebusinessinsights.com/industry-reports/cyber-security-market-101165

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