3.6百万米ドルのシードラウンドを獲得したInstill AI、非構造化データを金に変える準備が整う
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翻訳元の記事公開日:2023年2月3日 記事提供:Meet Global
同社のソリューションは、最近、ベンチャーキャピタルのRTP Globalが主導する360万米ドルのシードラウンド投資により、大きな後押しを受けた。
Instill AIは、音声、チャット、画像、動画ファイルから生成されるデータである非構造化データを扱うためのオープンソースのソリューションを提供している。音声や画像がデータ収集プロセスを複雑にし続ける中、組織は価値あるインサイトを抽出し、情報に基づいた意思決定を行う上で課題に直面している。通常、ETL(Extract、Transform、Load)と呼ばれる3ステップのデータ管理プロセスは、時間とコストがかかる。Instill AIは、最先端の非構造化データETLツールによって、こうした課題に対処する。このツールは、抽出と変換の手動ステップを自動化することで、非構造化データの取り扱いプロセスを簡素化し、貴重な時間とリソースを解放する。
AIビジネスのペインポイントを解決する、経験豊富なエンジニアが構築する非構造化データのためのツール
ETLツールは、抽出と変換の手動ステップを自動化することにより、非構造化データの取り扱いプロセスを簡素化し、貴重な時間とリソースを解放することができる。画像クレジット: Instill AI
Instill AIのアイデアは、2人のベテランAIサイエンティストから生まれた。Imperial College Londonの博士課程を卒業したPing-Lin Changは、AI分野での連続起業家である。彼は、自律型ビデオセキュリティシステムを提供するAIスタートアップ、Umbo Computer Visionの共同設立者兼CTOだった。Umboがサービスをピボットした後、Changはチームから辞任した。2020年、Ping-LinはXiaofei DuとInstill AIを共同設立し、非構造化データETLのインフラを構築し、あらゆる産業分野にAIをより身近なものにする。
Xiaofei Duは、Umbo Computer Visionで2年以上AI研究者として働いていた。AI分野での経験も豊富で、University College Londonで医学物理学の博士号を取得し、機械学習による外科用ビジョンと医療画像解析の研究に重点を置いている。
AIに詳しいChangとDuは、同じような考え方を有する。二人は、AIモデルが更新・訓練するためのビッグデータを用意することは、時間とコストがかかるということを経験的に学んできた。さらに、非構造化ビジュアルデータを活用することのペインポイントは、ワークフローの切断につながる。つまり、データベースとAIの間には大きなギャップがある。非構造化データの複雑さは、データサイエンティストの処理に膨大な時間を要する一方、AIサイエンティストの新しいデータセットに対する要求は急増している。断絶されたワークフローは、AIの反復とアイデア出しを難しくしている。
データサイエンティストもAIサイエンティストも素晴らしい職業だが、その仕事を繋ぐ橋がない。そこでChangとDuは、非構造化データを扱うオープンソースプロジェクト「Versatile Data Pipeline(VDP)」を立ち上げた。このETLツールを使えば、開発者はデータコネクター、メンテナンスの大変なモデル提供プラットフォーム、ETLパイプライン自動化ツールなどを独自に構築する必要がない。
非構造化データの世界に飛び込んだスタートアップがパイプラインをシームレスに接続
ユーザーは非構造化データをVDPに送信し、最後に構造化データを受信する。画像クレジット: Instill AI
氷山の一角のように、構造化データはデータ全体の20%を占めている。そして、属性やタグ、ラベルなどのスキーマがあらかじめ定義されている20%は、一般的にSQLやNoSQLなどの特定のデータベースに格納されている。しかし、残りの80%、いわゆる非構造化データは、これまで放置され、ビジネスチャンスを大きく損失してきた。
非構造化データを構造化するのは、リソースがかかる。AIモデルの研究・実装から、データ収集、モデル学習、モデル評価の実施まで、多かれ少なかれ1年はかかる。そして、AIの性能を高めるために機械学習サイクルを継続的に維持・実行するには数カ月を要する。
VDPは、データプロセスを自動的に変換することで、この問題を解決することを目的としている。ユーザーは、非構造化データをVDPに送信し、最後に構造化データを受け取る。このローコードデータETLツールは、データエンジニアとデータサイエンティストの双方に力を与え、柔軟なデータ統合を可能にする。
急成長するAI市場でチャンスを掴んだInstill AI、様々な産業で活用される
AI技術が飛躍している。Grand View Researchによると、AI市場は2021年から2028年までの年平均成長率(CAGR)が40.2%で、Total Addressable Market(TAM)が874億米ドル相当となる見込みである。このうち、ビジュアルAI市場は159億米ドルの価値を占めることになる。AI市場が拡大する中、Instill AIは様々な産業に最適であることがわかった。
Instill AIの製品VDPは、非構造化データの処理を必要とするあらゆる状況に適用できる。例えば、あるEコマース・プラットフォームは、その画像を分類する必要がある。以前は、会社が構造化されたデータベースを持つように、何百万もの画像に手作業でラベルを付けるためにスタッフを雇う必要があった。しかし、現在では、VDPによって、Eコマース・プラットフォームは、この作業を数分で自動的に実現することができる。
Eコマース業界だけでなく、VDPは現在、ドローン、サービスロボット、クラウドセキュリティカメラ、製造業、AIコンテンツ制作などの分野でも顧客にサービスを提供している。VDPはAIチームの仕事を引き受け、AI製品のインフラを構築し、AIの反復を促進させる。
同社の革新的なソリューションは、ベンチャーキャピタルのRTP Globalの目に留まり、Instill AIへの360万ドルのシードラウンド投資を主導した。このラウンドには、Lunar Ventures、Hive Ventures、Microsoftの元企業戦略幹部でM&Aを実行したCharles Songhurst,、Cavnueのシステム・技術統合責任者のDemetrios Kellari、GoogleのAI/ML Research の製品担当ディレクターのMehdi Ghissassiも参加している。
また、2023年には、Instill AIがAIの運用を担うSaaSソリューション「Instill Cloud」を発表し、企業のAIエンパワーメントを実現する予定である。このような投資とビジョンにより、Instill AIは、組織が非構造化データにアプローチし、データ駆動型の意思決定を行う方法を変革することができる体制を整えている。
トップ画像クレジット:Instill AI
翻訳元:https://meet-global.bnext.com.tw/articles/view/47875
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