自然言語処理AIのストックマーク株式会社が、累計32億円の調達で目指す日本企業のDXとは

自然言語処理AIのストックマーク株式会社が、累計32億円の調達で目指す日本企業のDXとは

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KEPPLE編集部

自然言語処理に特化したAIスタートアップであるストックマーク株式会社 が、シリーズCラウンドにて、第三者割当増資による11億円の資金調達を実施したことを明らかにした。累計資金調達金額は32億円となる。

既存株主である大和企業投資、Bonds Investment Group、WiL、NTTドコモ・ベンチャーズに加えて、今回のラウンドでは、新たに、東北大学ベンチャーパートナーズ、HAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND、ユナイテッド、三菱UFJキャピタルが出資した。

ストックマーク株式会社は「AIとヒトのポテンシャルを最大化し、顧客価値経営を実現するプラットフォームを提供する」というビジョンを掲げ、最先端の自然言語処理技術を用いて、企業の事業創造活動を加速させるAI SaaSを提供している。

同社は「Anews」と「Astrategy」という2つのAI SaaSを提供している。「Anews」では、国内外約3万5千サイトの膨大なビジネスニュースから、業務に直結する情報をAIによって分類、必要な情報を抽出して届けている。ニュースを起点に社内コミュニケーションを促進し、組織の情報収集能力と感度を高め、事業アイデアの着想を促す。「Astrategy」は、ニュースをもとに事業環境の把握に必要な様々な情報検索ができ、市場分析から将来動向までを端的に可視化し、リサーチ業務をサポートしている。

これらのプロダクトによって企業の新たなイノベーション創出を支援している。国内エンタープライズ企業を中心に導入が進んでおり、日経225にノミネートされる企業の約25%が同社のプロダクトを利用している。

また、SaaS企業には珍しく、強固なリサーチチームを持っていることや、創業当初から受託業務は行わず、プロダクトカンパニーとして一貫して開発に注力してきたことも同社の強みだという。

サービス紹介資料

同社のサービスの特長は、情報が高速かつ複雑に変化する現代において、まだ原始的だとも言える情報活用を、最適な形で加工・整理し、意思決定に必要な情報として、いつでも瞬時にアクセスできる環境作りを実現している点である。1つのプロダクトにとどまらず、ビジネスパーソン個人のあらゆる業務を支援するパートナーとして、個々の情報活用を組み合わせて企業の意思決定を支えるインフラとしても機能する世界を目指している。

調達した資金は、販路の拡大やイノベーション支援体制づくりのためのデータ獲得、リサーチの強化、さらには採用活動の加速に充て、各部門においてスペシャリストが融合する高度な企業文化の構築を進めていくという。

代表取締役CEO 林達氏に、創業の経緯や今後の展望などについて詳しく話を伺った。

スタートアップスカウト

情報収集における課題の解決を目指して

―― ストックマークを始めようと思ったきっかけを教えてください。

林氏:私は元々、伊藤忠商事でM&Aやファイナンス系の業務に携わっていました。その中で、例えばある事業会社を買収するときに、その会社や属する業界などについて総合的にリサーチし、判断していくという仕事を続けていました。とにかく量が多くて読みきれない情報の中で、日々意思決定をしていく必要があったのです。当然、自分自身で頑張ってリサーチして資料を作っていたのですが、情報収集をやり切れていないとずっと思っていました。

そのような中、2015年頃から大学時代からの友人であり、現在では取締役CTOの有馬と、自分たちが解決すべき様々な課題についてディスカッションを重ねていき、今のアイデアにたどり着きました。彼は元々、東京大学大学院情報理工学系研究科で機械学習やテキストマイニング(※)の技術を研究していました。自然言語処理やAI技術を使えば、人間の能力を超えて膨大な情報の中から分析し、正しいインサイト導き出したうえで意思決定ができ、資料作成も代替できるような時代がくるのではないかと議論していました。同時期に、孫正義氏が「AI革命」について話し始められるなど、技術もようやく時代に追いつき、タイミングと技術力が合致して、2016年11月に起業に至りました。
(※)テキストデータから必要な情報を抽出する分析方法。

意思決定を支えるインフラとして新たな価値創造を

―― 今後の展望を教えてください。

AnewsとAstrategyの二つのプロダクトをどんどん進化させ、新規開発や顧客開拓をスピーディーに行い、日本企業のトランスフォーメーションを進めていきたいと考えています。私たちは、データを価値に変えていくビジネスを行っています。現段階では情報ソースは公開されているビジネスニュースや企業のプレスリリースなどをメインで扱っていますが、他にもマーケットレポート、技術製品情報、特許、論文、顧客情報、社内情報など、まだまだ膨大な情報があります。私たちのビジネスモデルをさらに進化させるために、来年中にはこのあらゆるビジネスデータを取り込み、AI技術で構造化して、簡単に検索、情報発見、必要な情報への加工ができるような状態にしたいと思っています。

長期的には、企業のテキストワークをゼロにするのが目標です。現在のホワイトカラーの方々は、膨大な時間をテキスト作業に時間を費やしています。あるコンサルティング会社のリサーチによると、1人当たり情報収集に週7時間、社内検索に週5時間、資料作成24時間、つまり足し合わせて週36時間をテキスト作業に使っているのが現状です。これらのテキストワークをゼロにし、自分が知らない情報を自動的に収集してくれて、社内のノウハウ蓄積とともに、意思決定に導くための資料作成も自動化できるような、そんな世界を作っていきたいと考えています。

進化を続ける組織で多様な価値創出を

我々の組織の特徴は、自律型でフラット、横断的なところです。例えば、セールスでもプロダクトの仕様を書いたり、エンジニアでもCSのミーティングに出て色々な説明をするなど、横断的かつ多様な価値創出をコラボレーションしながら進めていくという新しいやり方を試しています。また、常に横断プロジェクトが立ち上がりつつ、現場では柔軟な意思決定が行われています。さらに、自己申告制による評価制度により給与決定にも自身で関われるなど、斬新な制度も多くあります。チャレンジ精神があり好奇心旺盛で、顧客価値創造に取り組んでいただけるような方と一緒に働きたいと思っています。

ストックマーク株式会社

ストックマーク株式会社は、自然言語処理を活用したサービスの開発・運営を行う企業。 同社は、組織のナレッジシェアをサポートし、AI×Webニュースで環境変化に強い組織作りを実現するWeb ニュースプラットフォーム『Anews』をはじめ、テキストデータからの分析事業戦略を意思決定する『Astrategy』などのサービスを運営している。

代表者名林達
設立日2016年11月15日
住所東京都港区南青山1丁目12番3号
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