船舶管理SaaS「MARITIME7」提供のザブーンがシードラウンドにて資金調達

船舶管理SaaS「MARITIME7」提供のザブーンがシードラウンドにて資金調達

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マネー・トゥ・モメンタム

written by

KEPPLE編集部


船員の働き方改革を実現する株式会社ザブーンが6月23日、シードラウンドにて、第三者割当増資による4,000万円の資金調達を明らかにした。
また、船員の煩雑な勤怠情報を記録し、労務管理記録簿を自動作成するクラウドサービス「MARITIME7」のリリースを発表した。

シードラウンドにおける引受先は、インキュベイトファンド(リード)。

今回の資金調達およびプロダクトリリースに際して、ザブーン代表の戸高氏に、詳しく話を伺った。


―― まずは、御社の事業についてお聞かせください。
 
戸高氏:弊社は、船舶管理のSaaS「MARITIME7」の開発・運用を行っております。
MARITIME 7は海事産業のDX化を担うサービスです。

陸上の物流サービスと違い、船が海上に出てからのサービスです。まだまだ紙での管理が主流な業界なので、ペーパーレス化が進んでいなかったり、陸上と船上の情報共有がリアルタイムに行われていなかったりするのが現状です。
また、条約や改正が年々増加し、書類管理等の煩雑な事務作業もそれに比例して増加している状況にあります。さらに、日本の船員の新規求職者は十年以上前から減少傾向ですが、それとは対照的に新規求人数は年々増加しています。
 
これらの課題をMARITIME 7で解決します。
 
現在のメイン機能は、船員労務管理機能です。現状は、紙で記入した勤怠管理記録を陸上に送り、その書類をそのまま保管するかExcelなどに転記して管理しています。MARITIME 7を導入することで、船員さんも陸上管理者も労務管理記録簿を作成する必要がなくなります。
また、バラバラだった情報をクラウド上で一元管理することで、書類整理等にかかっていた時間や印刷費、運行管理費用の削減に繋げていきます。
 
特徴として、MARITIME 7は電波の届かない海域を航海する船も対象にしているので、通信状況に左右されないサービスになっています。これまでのサービスは、船に追加機器(オフラインのサーバー)を搭載して、一旦データをそこに保管するなどのケースが多かったのですが、弊社のサービスはサーバー等の機器の追加は一切不要で、完全にオフラインでも使用できるクラウドサービスとなっています。
 
―― 法改正が頻繁に行われるようになってきたとのことですが、どのような背景があるのでしょうか。
 
近年のトレンドとしては、環境に関する内容が多く、海水汚染問題やCO2の削減など、国連で採択され、それが船舶においても求められてきます。
また、直近では4月1日に船員法が改正され、内航船員さんの労務管理や労働時間の管理を厳しく求められるようになり、私たちもそれに対応するためのサービスを作りました。
私たちのプロダクトとしては追い風の側面もありますが、実状として船員さんの働き方は陸上と同じように扱うのはかなり難しい状況です。私自身も船舶管理者として船員さんの働き方を見てきているので、現場の働き方を理解しつつ、プロダクトの開発や使用方法に反映させています。
 
―― 続いて、会社を立ち上げようと思ったきっかけについて、お聞かせください。
 
私は造船業の街で育ち、家業も船舶管理業を行っています。ただ、大学卒業後は人材広告の会社に入社し、法人営業として勤めていました。その後、家業を継ぐために戻ったところ、日本において重要な役割を担っている海事産業がこんなにアナログなんだと衝撃を受けました。ただ、その頃はいつかどこかのスタートアップがやってきて、この業界を変えてくれるだろうと考えていました。しかし、特に変化が起こる気配がなかった為、自分でやるしかないと、2018年に株式会社ザブーンを立ち上げました。
 
―― 家業の船舶管理を行う中で、特にどのあたりに一番課題を感じていましたか。
 
一番は業務効率化が全く進んでいないというところです。昔からの方法がずっと引き継がれています。加えて、社内外問わず情報の共有もスムーズに行われていません。今の技術があれば、そのあたりをぐっとスムーズに最適化できるのではないかと考えていました。
 
―― 今回調達した資金の使途や計画について、お聞かせください。
 
今回の調達資金は、主に採用と開発費用になります。
現状のメンバー構成は、海事産業に関わってきた者と、IT業界や、スタートアップ界隈で経験を積んだメンバーで構成されています。
 
―― 今後の展望について、お聞かせください。
 
現状は、船員労務機能からスタートしていますが、今後は業界DXをサポートし、海事産業全体の構造を変えられるようなサービス展開を目指していきたいと考えています。
 
―― 最後に、今後どのような会社の方々と一緒に取り組んでいきたいとお考えですか。
 
次回以降の出資者を含め、この業界に少しでも興味のある方や、もともとこの業界と繋がりのある方々と一緒に業界課題に取り組んでいきたいです。島国日本の要となる産業を一緒に盛り上げていただけたらと思います。

株式会社ザブーン

株式会社ザブーンは、海事産業における船員労務管理クラウドサービス『MARITIME 7(マリタイムセブン)』を開発・運用する企業。 『MARITIME 7』は、船員がスマホやタブレット上で勤怠登録を行うことで、自動で労務管理記録簿が作成されるクラウドサービス。複数の船に乗下船する船員を一元管理することが可能。また、日報・航海日誌・保守管理・予備品管理機能で構成される船舶管理機能により船のデータを一元化する。

代表者名戸髙克也
設立日2018年10月10日
住所東京都中央区日本橋2丁目1番17号
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