MEMEが累計2.8億円を調達──「スクペイ」で進める教育現場のキャッシュレス改革と家庭の金融教育支援

MEMEが累計2.8億円を調達──「スクペイ」で進める教育現場のキャッシュレス改革と家庭の金融教育支援

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キャッシュレス事業・子ども向け金融教育事業を手がける株式会社MEMEが、理想科学工業および個人投資家の小西祐介氏を引受先とする第三者割当増資を実施した。プレシリーズAラウンド・セカンドクローズとして、累計2.8億円の資金調達を完了した。

MEMEは2021年創業のスタートアップであり、学校・保護者間の現金集金業務や子どもの金融教育という、家庭と教育現場双方の「お金」にまつわる課題に取り組んでいる。

主力サービス「スクペイ」は、公立小中学校を中心に導入が進む集金決済プラットフォームで、教材費や給食費、遠足費など各種集金をデジタル化・キャッシュレス化する。従来の紙袋や銀行口座振替に比べ、保護者はスマートフォンから請求通知を受け取り、複数の方法で支払いが可能となる。学校側も個人情報を保持せずに請求・管理ができ、帳簿への自動反映や収支の一元管理といった運用負担の軽減を実現している。2025年5月時点で約400校、保護者約11万人が利用し、ゆうちょ銀行・大手都市銀行を含む382の金融機関口座と連携している。

もう一つのサービス「manimo」は、親子が家庭内で「貯める」「使う」「稼ぐ」体験を通じて、日常的な金銭管理を学ぶことを目的としたスマートフォンアプリである。家庭のお小遣い管理やキャッシュレス決済体験を通じて、子どもが実践的に金融リテラシーを身につけることを支援する。

スクペイは、岡山県瀬戸内市の全小中学校・幼稚園など自治体規模での導入実績があり、文部科学省の「探究・校務改革支援補助金2025」採択による導入拡大も進む。こうした事例を通じて、自治体全体での集金業務のデジタル化や保護者負担軽減のモデルケースが形成されつつある。

代表取締役CEOの齋藤舞氏は、二児の母として家計や老後資金への不安、日本の金融教育の遅れなど自身の経験をきっかけにMEMEを創業した。齋藤氏は、少子高齢化や労働人口減少といった社会的背景の中で、家計や子育てを取り巻く金銭的課題の深刻化、教育現場のデジタル化の遅れに対応するため、テクノロジーの活用による解決を目指している。

国内の教育現場では、教職員の業務負担増加が社会課題となっている。文部科学省の調査によれば、教職員の多くが集金や事務作業など間接業務の負担を指摘している。現金袋による回収が多くの学校で続く一方、口座振替の導入も普及しきっておらず、業務のデジタル化も進んでいない。

また、家庭・教育分野におけるデジタル化には、ITリテラシーの差や個人情報保護要件、現場独自の運用事情など、乗り越えるべき課題も多い。競争環境下で現場ニーズを的確に把握し、運用サポートや安全性を確保しながらサービス拡大を進めることが重要である。

この分野には、他にも学校や保育園向けの集金システム、電子マネー決済サービス、連絡帳アプリとの統合を図る事業者が存在している。教育現場では導入や運用のハードル、操作性、情報セキュリティへの慎重な姿勢が根強く、現場に即したソリューション提案と定着支援が求められている。

今回のセカンドクローズを経て、ファーストクローズに続き、全国の学校現場で「スクペイ」の活用を広げていく方針を固めた。中長期的には、学校集金にとどまらず、保護者が日常的に子育てに関連する支払いや決済を行うさまざまな場面においても利用可能なサービスへと拡張していく計画だ。今後はその実現に向けて、プロダクト開発および提供体制のいっそうの強化を進めていく。

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