【開催レポート】シード起業家のための祭典、JAFCO SEED 2026|優勝はSynTopic、未来賞はZeimee

【開催レポート】シード起業家のための祭典、JAFCO SEED 2026|優勝はSynTopic、未来賞はZeimee

Written by
KEPPLE編集部
xfacebooklinkedInnoteline

2026年8月6日(木)、シード起業家のためのスタートアップカンファレンス「JAFCO SEED 2026」が、ベルサール飯田橋ファースト(東京)で開催された。主催はジャフコ グループ株式会社(JAFCO)。今年で3回目を迎えた同カンファレンスには、当日324名が来場した。

「JAFCO SEED」は、「シード起業家に必要な情報・人・資金機会を届ける」をコンセプトに、最前線のスタートアップ情報を伝えるプログラム、ピッチコンテスト、起業家・事業会社・投資家をつなぐネットワーキングの場を提供してきたカンファレンスだ。

「スタートアップ育成5か年計画」の策定からまもなく4年。国内のスタートアップの数が着実に増えるなか、エコシステムの課題は「量の広がり」から「一社あたりの高さ(スケールアップ)」へと移りつつある。本稿では、政策・制度・市場をめぐるセッションと、シード起業家による決勝ピッチの模様をレポートする。

セッション:マクロから捉えるスタートアップの「勝ち筋」

政策・金融・市場のキーパーソン3名が登壇し、シード起業家がマクロ環境からつかむべき「勝ち筋」を議論した。登壇したのは、経済産業省 イノベーション・環境局 イノベーション創出新事業推進課 課長補佐(総括)の榊裕太氏、東京証券取引所 上場推進部 課長の宇壽山図南氏、日本政策金融公庫 国民生活事業本部 東京スタートアップサポートプラザ 所長の佐藤俊太氏。

まず語られたのは、エコシステムの現在地だ。榊氏は、スタートアップ数が2021年の約1.6万社から約2.5万社へ増えた一方、ユニコーン100社という目標にはほぼ届いていない現状を示しつつ、評価額500〜1500億円の「予備軍」が育ちつつある点を明るい兆しとして挙げた。佐藤氏は、創業者の平均年齢や女性比率が過去最高を更新し、カーブアウトや海外経験者による起業も増えていると述べ、裾野の広がりは単なる「数」ではなく、担い手の「多様性」に表れていると指摘した。

セッションでは、昨年見直されたグロース市場の上場維持基準(上場後5年で時価総額100億円)にも触れられた。宇壽山氏は、「IPOは目的ではなく手段」だとして、上場の目的やタイミング、市場選択はよく問い直すべきだと述べた。

シード期を支えるスタートアップ支援策なども示された。佐藤氏は、日本政策金融公庫による「資本性ローン」が、赤字が続く時期の資金繰りを支える手段になると解説した。榊氏は、出口戦略としてのM&Aを後押しする「M&Aガイダンス」の公開や、海外進出・海外VCとの接続を支える施策、政府調達を強化するSBIR制度のさらなる改革方針などを紹介した。登壇者は口々に、こうした制度を成長のレバレッジとして使いこなしてほしいと呼びかけた。

ピッチコンテスト「JAFCO SEED Pitch」

決勝には、選考を勝ち抜いたシード期のスタートアップ5社が登壇。審査員は、ANRI ジェネラル・パートナーの佐俣アンリ氏、East Ventures パートナーの金子剛士氏、JAFCOパートナーの坂祐太郎の3名が務めた。

株式会社クラシテク

医療・介護・福祉などの事務・制度対応をAIで自動化するスタートアップ。制度ルールを構造化する「CAIVA」と、現場で判断を実行する業界特化型AIエージェント「SHISHI」を提供し、導入施設は200を超える。

FUJI EXCHANGE Ltd.

汎用PCをつなぎ、最新GPU相当の計算力を合成する「合成型コンピュートマーケットプレイス」を手がけるシンガポール発のスタートアップ。同じ分散基盤を、ランサムウェア対策やBCP(事業継続)製品としても展開する。

SynTopic株式会社

東京大学大学院の航空宇宙工学専攻の研究を基盤に設立。関係者が多く認識がずれやすい衛星開発の知見をもとに、情報と判断の経緯を独自の知識単位「Topic」として構造化し、プロジェクトの全体像を「生きた地図」として描くプラットフォームを開発する。

株式会社ZeroBizAX

中小企業の営業初動を担うセールスAIクローン「UniAgent」を開発する。AI導入を「現場で使われる成果」に変えることを掲げ、課題整理から開発・運用定着までを一社で支援する。

株式会社Zeimee

会計事務所の月次業務を効率化する会計AIを開発するスタートアップ。月次経理AIエージェント「Zeimee」が記帳・証憑確認・消込を処理し、要確認のタスクだけをToDo化して担当者に提示する。

まとめ

審査員とオーディエンスの投票により、宇宙開発の方法論から生まれた知識基盤で組織の意思決定を支えるSynTopicが優勝。会計事務所の月次業務を自動化するZeimeeが未来賞に輝いた。

多彩な5社が事業構想を競い合い、324名が集ったJAFCO SEED 2026は盛況のうちに幕を閉じた。ここから羽ばたくシード起業家たちの活躍に期待が高まる。

新着記事

STARTUP NEWSLETTER

スタートアップの資金調達情報を漏れなくキャッチアップしたい方へ1週間分の資金調達情報を毎週お届けします

※登録することでプライバシーポリシーに同意したものとします

※配信はいつでも停止できます

ケップルグループの事業