AIがAIと面接する──NexusAdvisorsがシード調達 採用媒体「AVACAREER」正式ローンチ


面接するのも、応募するのも、AI──。株式会社NexusAdvisorsが開発する「AVACAREER(アバキャリア)」は、企業と求職者双方のAIエージェントが対話を重ね、採用工程の大半を自動化する採用媒体だ。同社は2026年8月4日、シードラウンドで第三者割当増資により総額5000万円を調達したと発表し、8月19日にAVACAREERを正式ローンチした。調達資金はプロダクト開発や組織強化に充てるという。
AVACAREERは、求人票の作成や応募、日程調整、テキスト上での一次面談といった採用工程をAIエージェントが担う採用媒体である。NexusAdvisorsによると、企業の採用工程の9割を自動化可能であるという。企業側はブラウザやSlackから採用したい人物像を伝えると、AIが求人票を作成する。求職者側はLINE上で希望条件を伝えることで、AIが出稿されている求人票の選定から応募、テキスト上での面談までを代行する。

双方のAIが対話を通じてスキルや条件の適合性を判断し、適合度が高いと判断された候補者のみが人間同士の面接に進む仕組みだ。「企業側・求職者側双方がAIエージェントを活用する採用媒体は国内初の取り組み」と、代表取締役の山本稔氏は説明する。同社によると、料金は月額3万9800円で250名までAI同士のメッセージが可能なプランを用意しており、求職者側の利用は無料としている。
求職者側にもAIエージェントを持たせた理由について、山本氏は「転職活動では毎回同じことを聞かれ、書類選考にも時間がかかる。人間が対応する必要のない工程が多い。そこをAIに任せれば、求職者は副業や自分の強みを磨くことに時間を使える」と述べる。

一方、既存の採用媒体では、求人票が上位表示されなければ候補者の目に触れにくいという課題があるが、受け手をAIにすることで「1000件の求人があってもAIがすべてに目を通せる」ため、企業側の利点としては応募数の担保につながるという考えだ。
代表取締役の山本稔氏は18歳で上京し、マーケティング会社や不動産のインサイドセールスを経験した後、起業した。不動産の内見予約を自動化するアプリ、採用管理システムと2つのプロダクトをローンチしたが事業として軌道に乗らず、その後に手掛けた採用代行事業での経験を通じて現在のAVACAREERに着想したという。
山本氏は「2回事業に失敗し、食いつなぎのような時期も経験した。順風満帆ではなかったが、その過程で採用現場のペインを数多く知った。しつこさや辛抱強さは他社に負けない強み」と、自身の経緯を振り返る。
少子高齢化に伴う労働力不足やAIの進化により、HR領域のデジタル化は進展し続けている。調査会社IMARC Groupによれば、日本のHRテック市場は2025年に21億6000万米ドルに達し、2034年までに39億3000万米ドルへ拡大すると予測されている。既存の求人サービスもAIによる求人票作成やスカウト送付といった機能を拡充しているが、その多くは企業側の作業効率化に主眼を置いたものであり、求職者側の負担軽減にAIを用いる点にAVACAREERの特徴がある。
今回の資金調達は、ANOBAKAとEast Venturesが新規投資家として参画し、Skyland Venturesが既存投資家として参加した。調達資金の用途について同社は、企業・求職者双方のAIエージェント機能の高度化を含む「プロダクト開発の加速」、マーケティングや法人営業などの人材採用を進める「組織づくり」、ローンチ後の利用者獲得に向けた「認知拡大」の3点を挙げる。同社によると、2026年8月4日の資金調達発表時点で導入が決まっている企業は約30社で、これから本格的な営業活動を行っていくという。
同社は当面、中途採用領域を中心に展開する方針を示している。将来的にはパート・アルバイトや副業領域への展開も視野に入れる。「パート・アルバイト領域は条件が単純で参入自体は難しくない。ただ、その分AIに学習させる情報が少ない。(より高度なAIを育てるため)難易度が高く一人ひとりの適性が問われる中途・スタートアップ領域で先にAIを鍛える」と山本氏は語る。同氏は求人票のあり方についても、「人間が読んで良いと思う文章と、AIが分かりやすいと感じる文章は全く違う。将来的には(AI向けに最適化するため)人間が求人票を書かない形を目指している」との見通しを示す。AIエージェントを前提とした採用のあり方がどこまで広がっていくのか。今後の展開が注目される。
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